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老後の『住宅ローン残債』どうする?→お金のプロが導く“最適な選択肢”とは

  • 2025.10.12
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

住宅ローンは多くの人にとって人生の大きな借金。しかし、老後に差し掛かると、「まだローン残っている…どうしよう?」と不安になる方も多いでしょう。収入が減る、体調が変わるなど環境も変わる中で、住宅ローンの残債を払い続けるか、繰り上げ返済するか。どちらが賢明なのかは単純な話ではありません。

そこで今回は、住宅ローンの残債問題に悩むシニア層に向けて、お金の専門家の見解をもとに最適な選択肢を読み解いていきます。

住宅ローン残債が老後に問いかけるリアルな問題とは?

住宅ローンは長期にわたる返済計画が基本ですが、多くの人が定年後もなお残債を抱えるケースが増えています。老後は年金を主な収入源とした生活に切り替わるため、毎月の返済負担が重くのしかかることも。加えて、医療費や予期せぬ支出が増えるリスクもあり、「本当に今のまま払っていけるのか?」という不安につながるのは自然なことです。

一方で、繰り上げ返済は利息の軽減や安心感の面で魅力的に映りますが、手元の預貯金を減らすリスクも伴います。特に老後の緊急資金を確保しなければならない状況では、繰り上げ返済が必ずしも合理的な選択とは限りません。さらに、低い金利環境が続くなかでは、無理してローンを早期返済するよりも、資産運用で効率的に資産を増やす方法を検討するほうが賢い場合もあります。

賢い選択を導くために知っておきたい具体的なポイント

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

住宅ローンの残債をどうするべきかの判断材料は複数あります。まずは「現在の金利」と「手元資金の状況」を把握すること。例えば、固定金利で低金利のローンであれば、無理に繰り上げ返済せずに手元資金を充実させ、老後の生活費や医療費のリスクに備えることが得策です。逆に、金利が高めであったり、変動金利で金利上昇リスクがある場合は、繰上げ返済による利息軽減効果が大きくなります。

次に「今後の収入と支出の見通し」も重要です。退職金や年金の額、生活費の支出傾向を踏まえ、返済可能額を算出しましょう。無理のない返済計画なら払い続けることも現実的ですし、負担が大きいなら部分的な繰上げ返済や借り換えを検討すると良いでしょう。具体的に、全額繰り上げ返済が難しければ、一部繰り上げ返済で毎月の返済額を減らす方法もあります。

また、最近は住宅ローン控除や税制優遇を活用する場合もあり、そうした制度を踏まえて返済計画を考えるのもポイントです。重要なのは、生活の安心を最優先に考え、無理なく返済できる体制を築くこと。お金のプロは「固定費を減らしつつ、緊急予備資金は必ず確保しておくこと」をアドバイスしています。

老後の住宅ローン完済は“個別の事情に合わせた柔軟な対応”が必要に

結局のところ、老後の住宅ローン残債にどう対処するかは一律で正解はないのが実情です。払い続けるのも選択肢、繰り上げ返済も選択肢。それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで、自分や家族のライフプラン、資金計画を踏まえて柔軟に判断することが最適解と言えます。

ただし、漠然と不安を抱えたまま払い続けるのは避けたいもの。定期的に専門家に相談し、最新の制度や市場状況を踏まえたうえで、返済計画の見直しを行いましょう。住宅ローンは人生で最も大きな借金の一つです。焦らず、しかし確実に、賢いお金の使い方を目指していきたいですね。


監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。
専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。