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「何とかなる」は通用しない…『退職後』に貧困へ転落する人の“共通点”をお金のプロが解説

  • 2025.9.25
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「退職したら何とかなる」と考えていませんか?定年や自己都合で仕事を辞めた後、予想以上に生活が苦しくなってしまう人が増えています。年金が頼りにならなかったり、貯金が思ったより少なかったり、働ける健康状態でなくなったり…そんな厳しい現実を突きつけられるケースは少なくありません。

今回は、退職後に貧困へ転落してしまう人たちに共通するポイントを探りつつ、なぜ「何とかなる」の考えが通用しないのか、徹底的に解説します。

退職後の生活が思わぬ落とし穴に… 見落とされがちなリスク

日本では高齢化が進むにつれ、退職後の生活設計の重要性がますます高まっています。しかし、実際には多くの人が「退職したらゆっくり過ごせる」「年金があるから大丈夫」と油断してしまいがちです。一方で、いざ年金生活がスタートしたら、年金だけでは最低限の生活を維持できないケースも増えています。

このような状況に陥る背景にはいくつかの共通点があります。まず、生活費や医療費の上昇に対応した貯蓄や資産形成が不足している点です。退職後にかかる費用が想定以上に増えることも多く、計画性がないと急速に資金が枯渇してしまいます。次に、健康状態の悪化や介護問題で予想以上にお金がかかってしまい、食費などを削らなくてはいけなくなるパターンも多くみられます。医療や介護費用が増えていくことを想定して準備しておく必要があります。

深刻化する老後の貧困 …改善策とは?

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

退職後に生活が急激に苦しくなってしまう人たちには、いくつかの特徴があります。まず第一に「収入の多様化ができていない」こと。年金頼みで貯蓄や副収入がほとんどない場合、ちょっとした支出増加や臨時費用が命取りになります。

また、「年金を払っていない期間がある」というケースも要注意です。これらは退職後の公的年金が少なくなる傾向があるためです。さらに、資産の管理不足や金融リテラシーが低いことで、老後資金の運用に失敗することも増えています。

加えて、「健康問題への対処が十分でない」「介護負担が重い」といった状況も追い打ちをかけます。身体の問題が生じると収入の確保が難しくなり、医療費や介護費が増えて経済的負担が増大します。その結果、貯蓄の取り崩しだけでは賄いきれないケースも少なくありません。

社会的孤立も深刻な問題です。地域のコミュニティから離れ、相談相手がいなくなることで、必要な助けが得られず生活が苦しくなる悪循環が起こっています。こうした複合的な要素が絡み合い、退職後に貧困へと転落する人が増えているのです。

具体的には、早い段階から積立投資やiDeCo(個人型確定拠出年金)などを活用し、老後資金を少しずつ増やしていくことが効果的です。また、健康管理を怠らず、介護保険や医療制度の理解・活用も重要です。さらには地域の交流会やボランティアなどに積極的に参加し、人とのつながりを絶やさず社会的孤立を防ぐことも忘れてはいけません。

退職後の貧困を乗り越える鍵は「計画」と「行動」

退職後の生活で貧困に陥る人には、計画性の欠如や収入・支出のバランスの悪さ、健康問題や社会的孤立といった共通点があります。年金だけでは生活が成り立たないケースも多く、「何とかなる」という考えが家計破綻につながってしまいます。重要なのは、早い段階から資産形成・健康管理を徹底し、多様な収入源と社会的つながりを確保しておくことです。

社会制度の理解と活用も忘れずに、現実に即した備えを進めることが退職後の安定した生活を支える最大のポイントと言えます。今日から少しずつ準備を進めていきましょう。


監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。
専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。