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心に残る名作揃い!ヴェネチア国際映画祭「金獅子賞」受賞作3選

  • 2025.9.4

『あのこと』
© 2021 RECTANGLE PRODUCTIONS - FRANCE 3 CINÉMA - WILD BUNCH - SRAB FILMS
 
現在、第82回ヴェネチア国際映画祭が開催中です。1932年に始まった最古の国際映画祭で、国際美術展覧会「ヴェネツィア・ビエンナーレ」の一部として行われていることもあり、芸術的で作家性の高い作品が多く選出されてきました。
 
最優秀作品賞に選ばれた映画には「金獅子賞」が贈られ、日本映画からは黒澤明監督の『羅生門』、稲垣浩監督の『無法松の一生』、北野武監督の『HANA-BI』が、他国の作品ではルイス・ブニュエル監督の『昼顔』、ジョン・カサヴェテス監督の『グロリア』、チャン・イーモウ監督の『あの子を探して』などが受賞しています。そこで今回は、歴代「金獅子賞」受賞作のなかから、2010年以降の作品に限定して3作品を紹介。派手さはないものの、心に残る名作揃いです。

女性の自由とは? 望まぬ妊娠をした大学生の戦いを描く 『あのこと』

『あのこと』© 2021 RECTANGLE PRODUCTIONS - FRANCE 3 CINÉMA - WILD BUNCH - SRAB FILMS

2021年の第78回ヴェネチア国際映画祭で、審査員満場一致で金獅子賞を受賞した作品。法律で中絶が禁止されていた1960年代のフランスを舞台に、望まぬ妊娠をした大学生のアンヌ(アナマリア・ヴァルトロメイが自らの願う未来をつかむために、たった一人で戦う12週間が描かれています。

 監督は、昨年に公開された『エマニュエル』が記憶に新しいフランスの女性監督、オードレイ・ディヴァン。『あのこと』はディヴァン監督の長編2作目で、アニー・エルノーの自伝的小説『事件』を映画化したもの。

『あのこと』© 2021 RECTANGLE PRODUCTIONS - FRANCE 3 CINÉMA - WILD BUNCH - SRAB FILMS

成績優秀で前途有望な大学生のアンヌは、妊娠に気付いて狼狽。「妊娠したら、大学をやめて働くしかない」「刑務所に入りたいの?」といった会話が交わされる時代に、アンヌの選択はただ一つ。自らの未来のために、命がけであらゆる方法を模索します。
 
日が経つほどに焦り、孤立し、追い詰められていくアンヌ。その心情が、アンヌの目線を体験するかのような臨場感ある映像で描かれます。彼女の身に起きたことを自分のこととして考える、というよりも、自分のこととして体験する、といったほうがふさわしい作品で、女性の権利や自由について多くのことを考えさせられます。

『あのこと』

2021年製作

DVD ¥4,290
発売・販売元:ギャガ

© 2021 RECTANGLE PRODUCTIONS - FRANCE 3 CINÉMA - WILD BUNCH - SRAB FILMS

安楽死を望む女性と親友の交流を描いたペドロ・アルモドバル監督作品 『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』

『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』
©2024 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
©El Deseo. Photo by Iglesias Más.

2024年は、『オール・アバウト・マイ・マザー』や『トーク・トゥ・ハー』などで知られるスペインの巨匠ペドロ・アルモドバル監督の作品が金獅子賞を受賞しました。
 
重い病に侵されたマーサは、かつての親友イングリッドと再会し、空白の時間を埋めるように病室で語らう日々を過ごしていました。安楽死を望むマーサは、人の気配を感じながら最期を迎えたいと願い、その時には隣の部屋にいてほしいとイングリッドに頼みます。悩んだ末に、彼女の最期に寄り添うことを決めたイングリッド。最期の時を迎える女性と親友との数日間が始まるのでした。

『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』©2024 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved. ©El Deseo. Photo by Iglesias Más.

これまでにも女性を主人公にした物語を数多く手がけてきたアルモドバル監督。愛とユーモアにあふれた視点と鮮やかな色彩は、アルモドバル監督ならではの魅力。本作では、自らの意志で安楽死を希望する女性と、死に対して恐怖を抱いている親友の交流を通じ、終わりに向かう日々の中で見出される人生の喜びや輝きをいきいきと描き出しています。

『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』©2024 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved. ©El Deseo. Photo by Iglesias Más.

マーサ役にティルダ・スウィントン、イングリッド役にジュリアン・ムーアと、ふたりのオスカー女優が共演。かげがえのない友情を体現した二人の演技も必見です。
 
人生の終わりが見えたとき、自分はどう感じるのだろうか。どう向き合うのだろうか。誰かと温かなつながりを持つことができているだろうか。さまざまな感情が呼び起こされる作品です。

『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』

2024年製作

デジタル配信中
発売・販売元:
ワーナー ブラザース ジャパン合同会社

©2024 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
©El Deseo. Photo by Iglesias Más.

ソフィア・コッポラ監督が描く、ちょっと変わった父と娘の物語 『SOMEWHERE』

『SOMEWHERE』
©2010-Somewhere LLC

2010年の第67回ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞に輝いたのは、ソフィア・コッポラ監督の長編映画4作目となる『SOMEWHERE』。審査員長を務めたクエンティン・タランティーノ監督がソフィアの元恋人だったことから、私情を優先したのではないか、という批判が出ましたが、タランティーノが「審査員の満場一致で選ばれた」と反論する、という一幕もありました。
 
実際のところ、『ヴァージン・スーサイズ』『ロスト・イン・トランスレーション』『マリー・アントワネット』といった過去3作品で示した独自のおしゃれな雰囲気が多くの映画ファンを魅了し、ノリにのっていた時期のソフィア・コッポラ監督作品なので、本作の受賞に不思議はありません。
 
舞台は、ハリウッドの伝説のホテル「シャトー・モーマント」。ハリウッドスターのジョニーは、ホテルで退廃的な暮らしを送っていますが、急遽、離れて暮らす11歳の娘を預かることに。不慣れながらも娘の面倒を見て、一緒に過ごすうちに、本当に大切なものに気づいていきます。
 
主演は『バック・ビート』でアイドル的人気を誇ったスティーヴン・ドーフで、空っぽな心を抱えたスターのジョニーはハマり役。娘クレオを演じたのは、子役時代のエル・ファニングです。
 
フランシス・フォード・コッポラ監督を父に持つソフィアは、生まれながらのセレブリティとして、自分が知っている世界を堂々と描く潔さが魅力。本作もそのひとつですが、華やかなだけでない空虚さがリアル。また、偉大な監督を父に持つ娘としての寂しさも反映させたファンタジーなのではないかとも思えます。 

『SOMEWHERE』

2010年製作

Blu-ray ¥5,170/DVD ¥4,180
発売元:東北新社
販売元:TCエンタテインメント

©2010-Somewhere LLC


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※この記事の内容および、掲載商品の販売有無・価格などは2025年9月時点の情報です。販売が終了している場合や、価格改定が行われている場合があります。ご了承ください

構成・文

ライター
中山恵子

中山恵子

ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。

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