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「遅い!」バスの徐行に文句。直後、自転車が飛び出すと…“事故回避”した運転士に放った“信じられない一言”

  • 2025.12.9
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。送迎バスの運行管理や運転士経験を持つVenus☆トラベルです。

みなさんは、バスを見たとき「女性ドライバーが増えたなー」と思うことはありませんか?私がバス会社で働いていた10~15年前、女性運転士はもっと数少ない存在でした。

当時、私の周囲では『1営業所に1人いれば多いほうだ』と言われるほど、女性運転士はまだ珍しい存在でした。

だからこそ当時は、運行中の女性運転士には、多数のクレームがあったものです。今回は、私が送迎バスに携わっていた当時にあった、「女性運転士に多いクレームあるある」を紹介します。

交通量の多い時間帯の延着…誰が運転しても同じだと思う…

朝夕は交通量が増えやすく、とくに幹線道路では渋滞が起きやすい状況です。しかし、女性運転士と分かれば、クレームを言いたくなる乗客も少なくありません。

『これだから女性の運転は遅い』といった趣旨の言葉を投げつけられたこともあります。

これは、神戸市内である施設の送迎バスに乗務していたときのクレームです。

バスにはレールはありません。道路が混雑すれば速度も落ちますし、乗客がいればバス停に停車するため、原則左側を走行します。つまり、「女性だから延着した」ではなく、「誰が運転しても延着する」が当たり前なのです。

私自身、延着は非常に少ない運転士として自負していましたが、このような車内クレームはトップ3に入るほど多い内容でした。

そのため私も慣れたもので「交通量が多い時間帯ですからね。他のバスも延着で大変みたいですよ。」とさりげなく言い返していたものです。

左折先の信号待ち車両がニヤニヤしてどかない…試されてる?

多くの信号には、停止線がありますよね。この停止線の存在理由はご存じでしょうか?

車両の長いバスほど、右左折時はバスのフロント部を大きく前面に出さなければ内輪差による事故を招いてしまいます。そのため、車長のあるバスが右左折する際、スムーズに走行できるよう危険な位置に他車が停車しないよう、停止線が設けられているのです。

しかし、女性運転士だと分かると、停止線を越えて停車するなど、こちらの運転を試しているかのように感じられるドライバーに遭遇することもありました。『曲がりにくいだろう』と言われているかのような、プレッシャーを感じる位置に停車されることもしばしば…

もちろん、右左折の前には走行先の状況を確認するため、そのような意地悪をされても、スムーズに右左折できるよう車体を操ります。しかし、車内でも「曲がれるの?」「女性って怖いよねぇ…」という言葉を耳にすることが多々ありました。

当時は、クレームに負けないよう女性ドライバーだからこそ、テクニックを磨いたものです。

危険予測に対する徐行にまで苦言する乗客

狭い道で対向一車線の道路で信号待ちの車が停車している場合、何も気にせず走行すると危険です。車が停止しているということは、自転車や歩行者が、車の間から出てくる可能性も…

安全運行には、万が一のことを考えた危険予測が欠かせません。

しかし、車内では「前に車がいないのに遅く走るなぁ…」と口にする乗客もいます。そんなときに限ってタイミング良く自転車が出てくるものなんです。

もちろん、乗客からは「うわっ!危ないなぁ!」という声が漏れてきます。しかし、その苦言は私に向けられたもの。

「だから女の運転手は怖いねん…」

乗客に言い返しても良いことは一つもないと、女性運転士は十分学んでいます。だからこそ、心の中で思うのです。

「何も考えずアクセル踏んでたら、接触事故や急ブレーキで車内事故。それこそ運行が止まって到着が遅れますよ。危険予測してたから何もなく今運行できているんです。」

性別にかかわらず「バスの乗務に求められること」は同じ

男性でも女性でも、バスの運転士に求められるのは「安心・安全・快適な運行」です。それは今も昔も変わりません。

「女性だから運転が下手」と決めつけるのは、運転のプロである女性運転士に対して失礼な発言だと私は思います。最近、公共交通機関を利用する際に思うのは、「女性運転士だからこそ気配りができている」と感じることが多々あります。

バスの運転士が減ってきている時代ですが、これからも女性が活躍できる仕事として、女性運転士が増えることを願っています。また、バスの乗務員が女性であっても、性別という色眼鏡で見ず、実際の乗り心地で判断してくれる乗客が増えたらいいなと思います。


ライター:Venus☆トラベル

近畿地方でバスの運転に関わる仕事に携わって約12年、多くの送迎バスを運転しました。幼稚園や自治体、企業や施設など、それぞれの場所で学ぶことが多くありました。その反面、運転士視点で感じた心の声をリアルにお届けします。


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