「52店舗が5店舗に…」突然、スーパーが“夜逃げ”のように閉店…企業城下町を襲った誤算【バブル遺産マニア探訪】

2025.11.19

戦後からバブル期にかけ、松下電気（現在のパナソニック）と共に発展を遂げた大阪府門真市。そこには「大真トップセンター」をはじめ、50以上の店舗が軒を連ね、活気あふれる商店街がありました。

かつての賑わいは薄れ、中核だったスーパーが“夜逃げ同然”に突然閉鎖する事態も発生。現在は5店舗が営業するのみとなり、企業城下町としての勢いは大きく衰えています。

都市開発や商業施設の情報を発信するYouTuber・だいまつさんに、実際に商店街を歩いて感じたこと、そしてシャッター街の実態と、この場所が持つ可能性についてお話を伺いました。

スーパーが夜逃げ同然に…

---以前は賑わっていたであろう商店街で、シャッターが多く下ろされている光景に哀愁を感じました。だいまつさんが現地で肌で感じた、大真トップセンター・大真トップ名店街の奇妙な点を教えてください。

「大真トップセンター内にあったスーパーが夜逃げのように閉店し、スーパーの運営会社は破産。大真トップセンターを運営していた組合も解散してしまったことですね。目の前に存在するトップ名店街の店主も寝耳に水だったようです」

---門真市は企業城下町として栄えていたそうですね。

「門真市は企業城下町と呼ばれるほど『パナソニック』におんぶに抱っこの状態だったそうです。『パナソニック』の製造拠点が海外に移っていき、門真市自体も衰退。1つの企業に依存してしまう怖さを知りました」

一企業に依存した街は、なぜこれほど脆く崩れてしまったのでしょうか。

なぜ衰退は止められなかった？

---大真トップセンター周辺には、団地やマンションの住民がいるにもかかわらず、今ではシャッター街と化しています。なぜここまで衰退が進んでしまったか、だいまつさんの分析を教えていただけますでしょうか。

「パナソニックが工場を日本ではなく海外へ展開するようになったり、拠点が東京に移り始めるなどで人口流入が止まってしまいました。そのまま高齢化が進み続けてしまい、経済力が低下してしまったのだと思います」

---街全体で活気は失われてしまったのですね。

「それでも、車通りの多い道路沿いでは生き残っているお店・繁盛しているお店も存在します。大真トップセンターがもし駅から近かったり、車で行きやすければ現在のような衰退にはなっておらず、別の未来もあったかもしれません。ここは車でも入りづらい場所で、立地条件が悪すぎたのが大きいかと思います。住宅街ど真ん中に存在していて商圏も狭いです」

企業の移転により大打撃を受けてしまった大真トップセンター。この消えゆく商店街に、再生の道は残されているのでしょうか。

廃墟通りの現実的な未来は…

---もしだいまつさんが、この大真トップセンターを“消えゆく商店街”として終わらせず、「記録・再生・活用」のいずれかの形で残すとしたら、どのようなアプローチが現実的だと思われますか？

「このまま商業エリアとして活用するのはむずかしいように感じます。大真トップセンターも2019年のスーパー閉店以降、後継テナントは決まっていません」

---未だに後継テナントが決まらないのですね。

「えぇ。駅からも遠く、大きい道から逸れますし駐車台数も少ないので立地が良くありません」

---商業エリアとしての活用は厳しそうですね。

「ただ、建物は巨大で構造も複雑じゃないので、別の用途に転用できると思います。トラックは入っていけるようなので、物流倉庫などに転用するのが良いのではないでしょうか」

---たしかに、それは現実的な着地点かもしれません。貴重なお話をありがとうございました！

時代に翻弄された企業城下町のリアル

一大企業の発展とともに生まれ、その衰退とともに往年の活気を失った「大真トップセンター」。商業用地としての再生はむずかしくとも、だいまつさんのいうように「物流倉庫」など別の形で活用できるかもしれません。

だいまつさんの話は、時代に翻弄された街の「リアルな今」を浮き彫りにしています。

動画：【夜逃げ】52店舗が閉店相次ぎ5店舗に…スーパーが突然閉店して崩壊した企業城下町「大真トップセンター」

取材協力：だいまつさん『だいまつのどこでも探検隊』
都市開発や商業施設、バブル遺産などの情報をYouTubeで発信。独自の視点で街の変化や歴史を伝えている。
・X：だいまつ（@Daimatsu__）
・Instagram：だいまつ（daimatsu___）
・TikTok：だいまつのどこでも探検隊（daimatsu_）

参考：全国スーパーマーケット協会「スーパーマーケット統計調査（月次）」（https://www.super.or.jp/?page_id=2646）
パナソニックホールディングス「1961年（昭和36年）」（https://holdings.panasonic/jp/corporate/about/history/chronicle/1961.html）

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