『なぜか嫌われない人』は使っている…「でもね」でも「違うんじゃない？」でもない、“やわらかく伝えるクッション言葉”とは？

2025.11.7

人と話しているとき、意見が違ったり、何か指摘したくなったりすることはよくありますよね。でも、率直にズバッと言うと相手の気持ちを傷つけてしまいがち。そんな中で不思議と「なぜか嫌われない人」っています。彼らが使っている“クッション言葉”とは何でしょうか？

「でもね」や「違うんじゃない？」といったストレートな表現ではなく、もっとやわらかく伝える言葉遣いの秘密に迫ります。

ささいな言葉の柔らかさが人間関係を大きく左右する理由

はじめに、なぜ伝え方の“やわらかさ”が重要なのか考えてみましょう。人は基本的に否定や反論を受けると防御的な反応を示しやすく、それが日常の小さな衝突やストレスに繋がっていることがあります。

「でもね」や「違うんじゃない？」といった言葉は、相手に「否定された」「『評価された」と感じさせやすく、心を閉ざしてしまうことがあります。反対に、やわらかい言葉を選ぶことで、相手は「自分の意見も尊重されている」と感じやすくなり、「話を聞こう」という姿勢が自然に生まれるのです。

つまり、相手の気持ちに配慮しつつ自分の意見を伝えられるかどうかが、良好な人間関係のカギといえそうです。

“やわらかく伝える”ために使われるクッション言葉の実例と効果

では具体的に、“なぜか嫌われない人”が使っているクッション言葉とはどのようなものなのでしょうか。ポイントとなるのは、相手の意見や気持ちに寄り添う姿勢を示しながら、自分の意見を伝えることができることです。

「そうですね、〇〇という見方もありますが、私の考えは…」
「お話ありがとうございます。少し別の視点もあるかもしれません」
「それについてはこう思うところもありますが、どう思われますか？」
「なるほど、ご指摘の点は理解しています。その上で、こちらの考えもお伝えしますね」

こうした表現は、一見すると回りくどいように感じるかもしれません。でも、相手に「否定」されている感覚を与えにくいので、冷静に会話が進む可能性が高くなります。また、「どう思われますか？」と質問形で返すことで、相互理解を促す効果も期待できます。

こうしたクッション言葉を意識的に使うだけでも、意見がぶつかりやすい場面が穏やかに進みやすくなります。

やわらかいクッション言葉が有効とされる背景には、相手の心理的安全性を守るという考え方があります。心理学の研究（例：ハーバード大学のエイミー・エドモンソン教授による“心理的安全性”の研究）では、話し手と聞き手の双方が安心して意見を交わせる環境が、信頼関係の構築や建設的な議論に役立つと報告されています。

これを踏まえると、相手の意見を完全には否定せず、尊重の姿勢を言葉で示すことは、心理的安全性を高める手立ての1つだとも考えられています。つまり、「話しても大丈夫」と感じられれば、人は自然に心を開きやすくなるのです。

“思いやり言葉”が日常に与える小さな奇跡

言葉の選び方ひとつで相手の受け取り方やその後の関係性が変わる可能性があります。日常的に「でも」「違うんじゃない？」など硬い否定語を無意識に使っていたら、知らず知らずのうちに相手に壁を作ってしまうことも。一方、少し言い回しを柔らかくするだけで、不快感を減らし、双方が落ち着いて話に集中できます。

クッション言葉は特別な言葉ではなく、日常の会話に手軽に取り入れられるものです。ぜひ今日から試してみてはいかがでしょうか。

監修者：あゆ実社労士事務所

人材育成とキャリア支援の分野で約10年の経験を持ち、社会保険労務士・国家資格キャリアコンサルタントとしても活動。
累計100名以上のキャリア面談を実施し、1on1面談制度の設計やキャリア面談シート作成などを通じて、組織の人材定着と成長を支援してきた。
新入社員向け「ビジネスマナー」「マインドセット」「ロジカルシンキング」研修やキャリア研修では、企画・コンテンツ作成から講師まで一貫して担当。
人間関係構築や部下育成、効果的な伝え方に関する豊富な実務経験を活かし、読者や受講者が一歩踏み出すきっかけとなる関わりを大切にしている。