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「この免許証、何かおかしい…」元銀行員が語る、窓口での“偽造書類事件”→犯人引き留めに成功した『冷静な対応』とは 

  • 2025.10.30
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出典:photoAC(写真はイメージです)

こんにちは、元銀行員のマイルドバンカーです。

銀行の預金口座やATMは詐欺に利用される場合があります。架空名義やマネーロンダリング用の預金口座、ATMに誘導する振り込め詐欺などが代表例です。

本人確認書類の偽造もあるため、「本物」を前提にした事務処理はできません。

今回は、銀行員時代に体験した、運転免許証の偽造を見抜き110番通報したときの状況を詳しくお伝えします。

窓口に持ち込まれた偽造の運転免許証

いつもどおりに営業していたある日の午後、口座開設のお客さまが来店されました。

窓口ではKさんが対応し、口座開設の申込書と本人確認用の運転免許証を受け付けましたが、見た目の違和感に気付きました。

後方業務の私が運転免許証を受け取り、デスクの引き出しに入れている自分の免許証と比べたところ、やはり偽造のようです。

具体的には、「全体的に黄ばんでいる」「本物よりも少し厚い」などさまざまな違いがありましたが、ほんのわずかな違いなので、手に取ってみなければわかりません。

さらに、本物かどうかのチェックに時間がかかると、持ち主が逃走する恐れがあるため、スピーディな対応が求められます。

偽造を見抜いたら行員同士の連携も必要

運転免許証の偽造が判明したら、次のアクションが重要です。

まず警察に通報しますが、到着までの間に逃げられないよう、犯人を引き留めておく必要があります。

書類のチェックが終わったかのような素振りで、Kさんには「定期預金の勧誘とかで引き留めて!」と書いたメモを渡しました。

さらに、裏口から出た男性行員2人が入口側に回り、犯人の逃走に備えます。

行員が犯人の身柄を取り押さえるわけではありませんが、逃走経路を確認しておけば、捜査の役に立つ可能性があったためです。

Kさんも定期預金やNISAを勧誘してくれたおかげで、警察が到着するまで犯人を引き留めることに成功しました。

窓口はかなりざわつきましたが、これで一安心です。

詐欺被害の防止は臨機応変に

銀行は警察から情報提供されているため、詐欺の手口や偽造書類を見抜くポイントを理解しています。

しかし、巧妙化する手口のすべてを事前にマニュアル化することは、どの金融機関にとっても容易ではありません。詐欺や書類偽造への対応は、状況に応じた臨機応変な判断が求められます。

そのため、当時の支店では、あまりしゃべらなくても窓口の状況が伝わるようなさまざまな工夫をしていました。

窓口担当が平常どおりの接客態度であれば、水面下の動きがわかりにくいため、警察への通報までがスムーズです。

偽造を見抜けるかどうか

銀行の窓口担当は本人確認書類を見慣れているので、運転免許証やパスポートなどの偽造は見抜ける確率が高いと思います。

「銀行がそこまで考えなくてもいいのでは?」と思われるかもしれませんが、偽造された書類を見抜けなかった場合、銀行の過失(落ち度)を問われます。

詐欺に気付かず預金の引き出しに応じてしまい、お客さまが損害を被ったときは、損害賠償請求される恐れもあります。

支店や担当者も大きなマイナス評価になるので、本人確認書類は入念なチェックが必要ですね。



ライター:マイルドバンカー

銀行の本部・本店・支店を経験し、早期リタイヤで個人事業主となりました。各銀行には独自の文化や風土があるので、「なぜこんなことをやっているの?」など、違和感を覚えやすい業務が少なくありません。元銀行員の立場として、「だからそうなっているのか!」とご納得いただける情報を発信します。


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