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「子どもが乗っていたら…」深夜の塾バスで起きた“後退玉突き事故” 元運転士が語るゾッとした瞬間

  • 2025.10.30
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出典:photoAC(写真はイメージです)

こんにちは。送迎バスの運行管理やバス運転士の経験を持つVenus☆トラベルです。

今回は、10年ほど前に私が経験した、送迎バスの運転士として今でも心に残る「衝撃的なトラブル」をご紹介します。軽微とはいえ、安心・安全の通学バスが3台も傷つく玉突き事故でした。

今でも確認の大切さを意識するきっかけとなった、私の運転士歴で衝撃的だった経験の1つをお話します。

深夜の最終便で起きた悲劇

塾の送迎バスは、最終の送り便が深夜に差し掛かります。塾から出てくる生徒を待つ間、5台並ぶ運転士達は、バスから降りて道路や生徒の情報を共有するのがこの時間の日課です。

行きと帰りは違うバスに乗る生徒もいるため、情報共有は欠かせません。

「今夜も事故なく最後まで終わったらいいな…」

運行管理の責任者でもある私は、5台並ぶバスを眺めて、なんとなく体操を始めました。そのとき、やや上り坂に停車するバスの先頭車両が、後退したように見えました。

「え!?」

運転士は全員降りており、バスはもちろん無人です。運転で目が疲れているのかと目を閉じた瞬間、「ドン…ドンドン!」と鈍い音が聞こえました。

無人のはずのバスが「後退玉突き事故」となっており、私は目を疑いました。

うっかりミスが招いた事故

緩やかな坂でタイヤが転がって起きた事故のため、バス同士の衝突音は決して大きな音がしたわけではありません。しかし、深夜の静かな時間でもあり、間近で見た私には、ものすごく大きな音のように感じました。

授業はまだ終わっておらず、生徒が乗車する前の事故だったことが幸いでした。

停車中のバスは、大型バスを先頭に、中型バス、マイクロバスの3台が続いています。懐中電灯を照らし確認すると、大型・中型・マイクロバスの3台が凹みを伴う傷がついていました。

大型バスと中型バスの運転士が、サイドブレーキをかけずに離れたことが事故の原因です。前から4台目に停車していた私は、自分のバスが傷つかなかったことに少しホッとしたことを覚えています。

「もしも…」を考えると肝が冷える思い

もしも、授業が終わって生徒達がバスに乗車するときに起きた事故だったら…

もしも、子どもがバスの前後を通り抜けている最中の事故だったら…

サイドブレーキの引き忘れという、バスの運転士にとってありえない事故です。しかし、人を巻き込む事故にならずに済んで胸をなでおろしました。

大事故が起きてから「あのときああしていれば」という後悔は通用しません。バスの運転士は改めて退勤するまで気を引き締めておかなくてはと感じた瞬間でした。

バスの運転士にとって、「かもしれない運転」が欠かせません。運転時だけでなく、停車中であっても、前後左右から「何かが来るかもしれない」という予知予見が必要です。

「ほんの少しの坂でも後退してしまうかもしれない」

「前のバスが後退してくるかもしれない」

そうした予知予見をしっかりしていれば、サイドブレーキの引き忘れによる3台もの後退玉突き事故は防げたはずです。私自身に非がなかったとはいえ、運行管理者として指導に対する責任の甘さが招いたと深く反省しました。

どんな時にも役立つ「かもしれない」思考

反省と同時に当時の私が学んだのは、自分自身だけでなく、他人が「何か起こすかもしれない」と考えることです。どんなに守りを強固にしても、周りからの影響で失敗を招く可能性があります。

「自分を守れるのは自分だけ」と教官に何度も言われたことを今でも覚えています。

少しでも危険があるなら準備を整え、リスクが高いなら避けることも大切です。バスの運転士を離れた今でも、「かもしれない」という考え方は、公私ともに助かることが多くあります。

これからも「かもしれない」思考を忘れずに、自分の身を守っていきたいと思います。同時に、私が気づいたことは、周囲にも伝えていきたいと思っています。



ライター:Venus☆トラベル

近畿地方でバスの運転に関わる仕事に携わって約12年、多くの送迎バスを運転しました。幼稚園や自治体、企業や施設など、それぞれの場所で学ぶことが多くありました。その反面、運転士視点で感じた心の声をリアルにお届けします。


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