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13年ぶり“民放連ドラ”出演『アンナチュラル』『MIU404』脚本家の新ドラマで“謎の”妻役に集まる注目

  • 2025.10.2

2025年10月期のテレビドラマで最も大きな期待を集めているのは、なんといっても、2025年10月21日(火)にスタートする野木亜紀子脚本、大泉洋主演のテレビ朝日系『ちょっとだけエスパー』(毎週火曜よる9時〜)だろう。当代随一のドラマ脚本家の手によって描かれる現代日本を舞台にしたSFヒーローものらしい。野木の、社会問題を巧みに織り込みながら、極上のエンターテインメントに昇華させる手腕は本作でも発揮されるだろうし、主演の大泉洋はコミカルな三枚目からシリアスな役までこなすため、単純なかっこいいだけのヒーローものではないだろう。

この異色の組み合わせには期待せずにはいられない。いったいどんな作品になるのか、少し予想してみよう。

人生どん底サラリーマンが世界を救う?

大泉洋がこのドラマで演じるのは、会社をクビになり、妻とも離婚。財産分与と慰謝料で一文無しとなり、どん底にいるサラリーマン・文太だ。文太はそんな失意の日々の中、とある会社の最終面接に合格するのだが、「君には今日から、ちょっとだけエスパーになって、世界を救ってもらいます」と意味不明な言葉をかけられる。

意味もわからぬまま、用意された社宅で文太を待っていたのは、“見知らぬ妻”(演じるのは宮崎あおい)。どうやら文太はエスパーになってこの謎の妻と夫婦として暮らすことになるらしい。この謎の状況で文太に与えられた仕事は“世界を救うこと”らしい。そして、人を愛してはいけないというルールもあるとか。

プロットを聞いても何から何まで不思議な状況で、いったいどんな物語が展開するのか、全く予想がつかない。しかし、この意味不明なシチュエーションに放り込まれた大泉洋を見るのは、絶対に面白いだろうという確信が持てる。こういう理不尽な目に遭うキャラクターは大泉の真骨頂だ。

しかも、エスパーになるといっても「ちょっとだけ」なのがポイントだろう。すごいエスパーになるわけではなく、ちょっとだけという風変りな設定が大泉にはよく似合う。

13年ぶりの民放連ドラ出演の宮崎あおい他、豪華共演陣も注目

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宮崎あおい (C)SANKEI

この一風変わったドラマを支えるのは、豪華出演陣だ。主演の大泉洋をはじめ、宮崎あおい、ディーン・フジオカ、北村匠海、高畑淳子、宇野祥平などの出演が発表されている。

大泉洋と野木亜紀子のタッグで思い出すのは、自分は取るに足らない存在だと自己肯定感の低い中年男性がヒーローとなっていく映画『アイアムアヒーロー』。どん底からの出発という点で本作は『アイアムアヒーロー』とも共通点が見出せそうだが、今回はどんなヒーロー像を見せてくれるのか、期待が高まる。大泉演じる主人公の謎の妻を演じる宮崎あおいは、13年ぶりの民放の連続ドラマ出演となり、大泉とどんなコンビを見せてくれるのか、楽しみだ。

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北村匠海(C)SANKEI

朝の連続テレビ小説『あんぱん』での好演も記憶に新しい北村匠海も本作に出演。北村が演じるのは、エスパーたちに近づく謎の大学生・市松。「『あんぱん』で1年間という長い撮影を終えた次の作品だったので、いい意味で肩の力を抜けるチームに参加したいなという気持ちもありました」と語る彼の別の側面を見せてくれそうだ。そして、ディーン・フジオカが演じるのは、撫でまわすと花が咲く“花咲かエスパー”という役どころ。しかし、咲かせたところで役に立たない。自他共に認める“お荷物”メンバーのようだ。これまでのクールなイメージを覆す“おバカなキャラクター”への挑戦は、本作最大の見どころの一つと言えるだろう

高畑淳子と宇野祥平のベテラン2人は、念じるとほんのり温めることができる“念じてチンのレンチン系エスパー”と、ちょっとだけ動物と話せる“アニマルお願い系エスパー”だという。しかし、2人ともその能力は「ちょっとだけ」なので、あんまり役に立たない能力のようだ。

このほか、まだ解禁されていない主要キャストもおり、今後の続報にも期待が高まる。

日本ドラマでSF作品をヒットさせられるか

日本のテレビドラマでは、大掛かりなVFXのための予算が確保できないなどの事情もあってか、SF作品は極めて少ない。ヒット作も極めて少ないのが現状だ。

そんな難しいジャンルに挑むのは、当代随一のドラマ脚本家・野木亜紀子。これまで、現代社会の世相や問題を反映させたエンタメ作品を数多く発表し、視聴者の共感を集めてきた彼女は、実はSF好きなのだという。彼女は本作の制作に際して、こうコメントしている。

SFやファンタジーが好きです。超能力ブームの時代に育ち『童夢』『AKIRA』『里見八犬伝』『テラ戦士ΨBOY』『帝都物語』といった作品群に夢中だった子供時代。脚本家になってからは「いつかSFを作る」と言い続け、ようやくこうして始まります。
引用元:大泉 洋(文太・役)、野木亜紀子(脚本家)コメント | ちょっとだけエスパー|テレビ朝日

本作は、野木にとって念願の企画なのだろう。果たして、どんな物語になるのか、現段階では予想もつかないが、あっと驚く展開が待っていることだろう。


ライター:杉本穂高
映画ライター。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。X(旧Twitter):@Hotakasugi