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『介護費で貯金がゼロになる人』に共通している…見逃されがちな“3つの支出”とは?【お金のプロが監修】

  • 2025.9.14
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

介護が必要になると、「親のために何とかしたい」と強い思いが募りますよね。しかしその一方で、知らず知らずのうちに大切な貯金を食いつぶされてしまうケースも少なくありません。特に「介護費用だけしか考えていなかった」という方が陥りがちな、とても見逃しやすい“3つの支出”が存在します。これらを理解し、準備することができれば、介護に伴う経済的な不安は大きく減らせるはず。今回はお金のプロの視点から、介護費用以外に気をつけたい3つの支出についてわかりやすく解説します。

介護費で貯金ゼロに陥る人が見過ごしがちな3つの支出とは?

介護にかかるお金と聞くと、まずは「施設利用費」や「デイサービスの費用」など直接的な介護サービス費用が思い浮かびます。もちろんこれらは大きな出費です。しかし、介護費だけで貯金が底をつく人には、心当たりのない“他の支出”が共通しています。ここで大切なのは介護関連費用全体を俯瞰し、見えにくいコストにも目を向けること。

具体的に、多くの方が見落としているのは以下の3つの支出です。

  1. 交通費や訪問に伴う細かい交通コスト
    通院同行や訪問介護のための車や公共交通機関利用の費用が積み重なります。介護サービス以外にも、家族が何度も足を運ぶことで負担が増します。
  2.  介護用品や生活用品の追加購入
    介護用ベッドや特殊な衣類、使いやすい食器類、消耗品のセット買いなど、介護サービスだけでは賄えない生活用品費が頻繁にかかります。
  3. 仕事や家事に関する支出
    家族が介護に注ぐ時間の分、普段の仕事や家事を外部に委託する必要が発生してしまうケースも。その費用が予想以上に家計に重くのしかかるケースがあります。

これらは目に見えにくく、かつ「介護費用」としてカウントされないため、つい見過ごされがちです。結果として、総合的な支出が膨らみ、「貯金がなくなった」という状況になりやすいのです。

お金が減ったと感じたら「見える化」を実施しよう

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

これらの支出が増える背景には、介護環境の多様化や家族の生活スタイルの変化があります。例えば訪問介護では、スタッフの自宅から対象者宅までの距離が長いほど交通費がかさみますし、家族が自ら介護用品を揃える必要があるケースも多いです。

実際に、介護用品ひとつひとつは数千円から数万円の単位ですが、必要になるアイテムは多岐にわたり頻繁に買い替えが必要になるため、合計するとかなりの負担に。さらに、家事代行や子どもの預け先など、家族の時間的コストを補う支出が発生すると、家計のバランスは一気に崩れやすくなります。

こうした問題に対処するには、まず可能な範囲で「見える化」を行うこと。支出項目を細かく把握し、見落とされがちな交通費や消耗品費、家族のための外注費用を家計簿などで管理しましょう。また、介護保険や自治体の補助制度を最大限活用し、これらの負担を軽減する工夫も不可欠です。さらに、柔軟な働き方や近隣の支援サービスを利用するなど、生活の中で無理なく介護を続ける工夫も重要となります。

見落としがちな3つの支出を知っておこう

介護にかかる費用は、サービス利用料だけにとどまりません。交通費、介護用品の購入費、そして家族の時間と労力の補填にかかる支出という“見えにくい3つの支出”が、知らず知らずのうちに貯金を減らす大きな原因となっています。これらを理解し、計画的に備えることが経済的な負担を軽減し、安心して介護を続ける鍵です。お金のプロの視点を活用して、介護生活に伴う支出をしっかり見直し、無理なく介護を続けていきましょう


監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。
専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。