1. トップ
  2. レシピ
  3. 【万博グルメ探訪】トルクメニスタンの「パロウ」や「ソムサ」…レアな料理に舌鼓!ビザ取得困難な国の食文化を日本で味わう

【万博グルメ探訪】トルクメニスタンの「パロウ」や「ソムサ」…レアな料理に舌鼓!ビザ取得困難な国の食文化を日本で味わう

  • 2025.8.19

はじめに:万博で出会った国「トルクメニスタン」

「トルクメニスタン」パビリオン。シルクロードを旅するキャラバンのシルエットや伝統工芸の絨毯、風景映像など、建物のデザインが存在感を放っています!
「トルクメニスタン」パビリオン。シルクロードを旅するキャラバンのシルエットや伝統工芸の絨毯、風景映像など、建物のデザインが存在感を放っています!

大阪・関西万博(以下、万博)の海外パビリオンは約160の国や地域などで構成され、大屋根リングの内側に建ち並んでいます。建物や展示が個性的で、その国を旅した気分が味わえるレストランも。筆者が実際に体験して印象に残った海外パビリオンの料理と展示を紹介したいと思います。今回は「トルクメニスタン」です。

中央アジアの謎多き国?トルクメニスタンの基本情報

「トルクメニスタン」について、筆者は恥ずかしながら万博で初めて国名や場所をちゃんと認識しました。国のプロフィールを簡単に紹介すると以下の通り。

・中央アジア南西部に位置する共和国。面積は日本の約1.3倍。北はカザフスタン、北から東にかけてウズベキスタン、南はイラン、アフガニスタンと国境を接し、西はカスピ海に面している。

・国土の大部分はカラクム砂漠。年間降水量は少なめで乾燥し、寒暖差が大きい。夏は35℃以上(砂漠では50℃に達する場合も)、冬はマイナス30℃以下になる地域も。

・人口は660万人(2024年時点) 。イスラム教徒が多い。住民の85%を占めるトルクメン人の起源とされるオグズ族は、古代トルコ系の遊牧民族。

・1991年にソビエト連邦(現:ロシア連邦)から独立。1995年より永世中立国。

※以上、外務省webサイト、トルクメニスタン大使館webサイト、日本大百科全書(ニッポニカ)電子辞書、ブリタニカ国際大百科事典電子辞書より

トルクメニスタンは中央アジアのトルコ系遊牧民族の文化が残る国であり、多彩な隣国の民族やロシアの影響も受けてきたと言えそうです。多様な民族が融合した独特な食文化が育まれていそうですね。パビリオン3階にあるレストランでは、トルクメニスタンの伝統的な料理やスイーツを味わうことができます。筆者が実食したメニューの一部と感想を紹介します(3人でシェアしてちょうど良い量でした)。

パビリオンで味わう、トルクメニスタンの伝統料理

●パロウ 税込み3450円

トルクメニスタン版ピラフ。牛肉、ニンジン、玉ねぎをお米と一緒に炊き込んだ伝統的な家庭料理であり、結婚式などでも食される祝祭料理だそう。味付けはシンプルで、ほどよい塩加減。スパイス感はほとんど感じず、素朴で優しい味わい。長粒米を使っているのにパラパラし過ぎず、程よい粒感です。キュウリのピクルスとパンのスライスが少量添えられ、トマト、キュウリ、レッドオニオンの生野菜サラダもセットで出てきます。主食・主菜・副菜をバランスよくいただけて、ビタミンAやCも補える栄養バランス的にも優れた料理と言えそうです。

●ソムサ 税込み2900円

軽食として親しまれているソウルフードで、三角形が特徴的。パイ皮に牛ひき肉とカボチャを詰めてタンドール窯で黄金色に焼いてあるとのこと(カボチャの存在感は薄め…)。2種類のソース(サワークリーム系ソース、トマト系スイートチリソース)が添えられ、ディップしながらいただきます。ソースの程よい酸味との組み合わせがクセになりそうでした。

●ドグラマ 税込み2750円

ほぐしたラム肉、ちぎったパンを煮込んだトルクメニスタンの伝統的なスープ。特別な日に出される祝祭料理の一つだそうです。麻婆豆腐のような見た目をしていますが、あっさり系の塩味ベース。黒コショウのアクセントが効いています。パンは肉まんの皮のような食感で、スープが染み込んでお粥のような趣です。

●ピシメ(左)税込み900円/チャル(右)税込み800円

「ピシメ」は揚げパンの一種で、来客時によく振る舞われるお茶菓子だそう。ポンテケージョのような軽めのモチモチした生地で、ほんのり塩味。タイミングが良かったのか揚げたてのホカホカで、とても美味しかったです。「チャル」は国民的なドリンクで微炭酸のヨーグルトドリンク。甘みはなく、酸味がやや強め。グラスの上半分くらいは固めに泡立っていて、ほわほわした食感もユニークです。

絨毯が彩るエキゾチックな空間

トルクメン絨毯で彩られたレストラン内観。席数が多くないため、競争率は高め。
トルクメン絨毯で彩られたレストラン内観。席数が多くないため、競争率は高め。

トルクメニスタンご自慢の絨毯で彩られた、レストランの独特な雰囲気も異国情緒に浸ることができて素敵です。万博会場のウォータープラザとトルクメニスタンの国旗を眺めることができるテラス席もあり、日差しが強くない日や夕方は風が気持ちいいと思います(私は8月上旬の雨上がりの日にテラス席を利用しましたが心地よく食事を楽しめました)。

気になる待ち時間は?

なお、レストランはパビリオン来場者のみが利用できるため、パビリオンとレストランそれぞれの待ち時間が発生します(筆者はパビリオン30分待ち、レストラン1時間待ちでした)。トルクメニスタン料理を日本で味わう機会が少ないとあって、連日かなりの行列ができていますが、エアコンが効いた屋内の廊下で待つことができ、廊下に民族衣装の展示などがあって飽きない工夫がされていました。

おわりに:万博をきっかけに、もっと身近な国へ

入り口でお出迎えしてくれる、現在の大統領(セルダル・ベルディムハメドフ)写真。独特の世界観がパビリオン中に漂っています。
入り口でお出迎えしてくれる、現在の大統領(セルダル・ベルディムハメドフ)写真。独特の世界観がパビリオン中に漂っています。

「トルクメニスタン」は、ビザの取得が難しい国としても知られているそうですが、映像メッセージや展示を見る限りでは、日本への友好ムードを感じました。万博をきっかけに両国の距離感がグッと近くなれば、日本からトルクメニスタンへ気軽に観光旅行へ出かけられる未来が早く訪れるかも知れませんね。いつか現地でトルクメニスタンの伝統料理を味わってみたいです!

参考※料理や価格の情報は8月上旬の取材時点のものです。

※参考)外務省webサイト、トルクメニスタン大使館webサイト、トルクメニスタン政府観光局webサイト、日本大百科全書(ニッポニカ)電子辞書、ブリタニカ国際大百科事典電子辞書

(野村ゆき)

元記事で読む
の記事をもっとみる