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【イカの栄養】効果的な食べ方は?イカそうめんには理由があった!? 栄養士ライターが解説

  • 2025.8.17

イカの栄養を解説!

高たんぱくでアンチエイジングや筋活効果も期待できる
高たんぱくでアンチエイジングや筋活効果も期待できる

「夏イカ」とも呼ばれる、夏が旬のスルメイカ。この記事ではスルメイカの栄養ポイントや効果的な食べ方についてクローズアップします。

イカの栄養の特徴は、高たんぱく×低脂質であること。必須アミノ酸がバランスよく含まれ、筋活中の人にもおすすめの食材です。コレステロールがスルメイカの胴1ぱい分(皮つき・約100g)に210mg含まれ、比較的多めですが、血中コレステロールを下げる働きがあるタウリンも豊富に含まれています。1日あたり1/2ぱい程度までを目安にすれば、心配ないでしょう(脂質異常症の診断を受けている方は、かかりつけ医の指示に従ってください)。

また、重要なホルモンをつくる手助けをする亜鉛、脂質と糖質の代謝を助けるナイアシン、傷ついた神経細胞を修復するビタミンB12、更年期障害や老化を予防するセレンが多く含まれ、コラーゲンも豊富です。

塩辛などに活用される肝にもタウリンが含まれ、イカ墨には粘り気のもととなっているムコ多糖類が含まれています。ムコ多糖類には、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸などがあり、関節をなめらかに動かす潤滑油のような役割を果たしている物質です。近年、がん予防や細胞を活性化させる機能性も注目されています。

栄養面では皮ごと調理がおすすめ

イカの栄養を最大限に享受できる、昔ながらの煮物。イカは加熱しすぎると硬くなるので野菜が程よい柔らかさになった段階で投入し、4分程度を加熱の目安に
イカの栄養を最大限に享受できる、昔ながらの煮物。イカは加熱しすぎると硬くなるので野菜が程よい柔らかさになった段階で投入し、4分程度を加熱の目安に

タウリン、亜鉛、ナイアシン、ビタミンB12は水溶性で、コラーゲンは皮の部分に多く含まれています。皮付きのまま煮物にすると栄養を余すことなくいただくことができます。大根や里芋と一緒に煮込む昔ながらの定番料理は、イカに足りないビタミンCも補うことができる好相性の組み合わせです。

大根には消化酵素(アミラーゼ、プロテアーゼ)が含まれているためイカをやわらかくいただく効果も期待できます。

イカには必須アミノ酸のリジン(リシン)が多く含まれています。「イカめし」はお米に不足しているリジンを補えるメリットも。
イカには必須アミノ酸のリジン(リシン)が多く含まれています。「イカめし」はお米に不足しているリジンを補えるメリットも。

なお、皮と身の間に水分があるため、天ぷらやフライにする際に油ハネを避けたい場合は、皮をむいて調理するようにしましょう。

イカは切り方で食感が変化する

ダイエットやアンチエイジング目的なら、噛みごたえのある輪切りに。
ダイエットやアンチエイジング目的なら、噛みごたえのある輪切りに。

ダイエットやアンチエイジングにためには、イカを輪切りにして調理するのがおすすめ。程よい噛みごたえが生まれ、食べ過ぎを防止しやすく、咀嚼回数と唾液が増えるため脳の活性化や虫歯予防につながりやすいでしょう。

食感をやわらかくしたい場合は、格子状に切り目を入れましょう。
食感をやわらかくしたい場合は、格子状に切り目を入れましょう。

逆に、高齢者の方や小さな子どもさん向けにはイカの繊維を断ち切るように縦方向に切り、表面に格子状に切り込みを入れると、やわらかく仕上がりやすく、味も染み込みやすいでしょう。

「イカそうめん」には理由があった

アニサキス症は激しい腹痛をともないます。体調の良くない日は、イカの生食を避けた方が良いでしょう。
アニサキス症は激しい腹痛をともないます。体調の良くない日は、イカの生食を避けた方が良いでしょう。

実は、イカの中でもスルメイカは寄生虫のアニサキスに注意する必要があります。筆者は栄養士養成学校の食品衛生学実習でスルメイカに潜むアニサキスを目の当たりにした経験があります。アニサキスは主に内臓に寄生し、時間の経過とともに筋肉である身にも移動します。

70℃以上で加熱調理する場合は心配いりませんが、刺身用のスルメイカをご家庭で下処理して食べる場合は、特に注意してください。鮮度のいいうちに内臓を取り除き、身を細かく包丁で切るのがポイント。イカをそうめん状に細かく切る「イカそうめん」はアニサキス対策でもあるのです。

※参考文献:杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、久保田紀久枝・森光康次郎編『食品学-食品成分と機能性-』東京化学同人,2017、藤原昌高著『からだにおいしい 魚の便利帳』高橋書店,2010、上西一弘ほか監修『健やかな毎日のための栄養大全』NHK出版,2022、レジア編『日本の食材図鑑』新星出版社,2018

(野村ゆき)

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