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尾上松也さんインタビュー前編!「僕は、歌舞伎は日本のミュージカルだと思っています。歌舞伎という伝統芸能のなかにある豊かな表現も楽しんで見ていただけるような作品にしたいんで

  • 2025.8.1

近年、大きな話題を呼ぶ新作歌舞伎が増えています。キャラクターや世界観の魅力はそのままに、安土桃山時代を舞台にした『流白浪燦星(るぱんさんせい)』、来年にはシネマ歌舞伎としても公開される『歌舞伎NEXT朧の森に棲む鬼』など、そのいずれの作品にも出演しているのが尾上松也さん。この夏上演されている、2023年に大当たりをとった『歌舞伎刀剣乱舞』の新作『東鑑雪魔縁』についてお話を伺いました。 

「#とうかぶ」がトレンド1位に

第1作『月刀剣縁桐(つきのつるぎえにしのきりのは)』を前に、「若手歌舞伎俳優をすべて刀剣男士にするのが夢」と語っていた松也さん。
「『もっと続いてほしい』と望んでいただけるような、そんな作品にしたいと願っていましたから、2年後に新作ができるのは純粋に嬉しいです。観客の皆様に大きなお力をいただきました」

前作を企画しているころから、「次回作にはどんなことがしたいかと常に考えていた」という松也さんの想いと呼応するように、刀剣乱舞のファンの間では、「とうかぶ」という『歌舞伎 刀剣乱舞』の愛称が誕生。そして、新作『東鑑雪魔縁』に登場する刀剣男士がSNSに発表されるたび、「#とうかぶ」がトレンド1位に上昇したのです。
「それだけ歌舞伎の刀剣男士たちを愛してくださっていると思うとあらためて嬉しさが湧いてきます。今回は新キャラクターが三振り、合わせて八振りの刀剣男士がいますが、歌舞伎らしさと刀剣男士の世界の融合を喜んでいただけるよう、さらに磨きをかけます」

『歌舞伎刀剣乱舞』の新作『東鑑雪魔縁』で、刀剣男士の中心的存在である三日月宗近を演じるだけでなく、企画・演出も手がける松也さん。

歴史の改変をもくろむ時間遡行軍と刀剣男士との戦いを描く『刀剣乱舞』。新作の時代設定は、1219年の鎌倉です。
「今回は、歴史としても大きな意味を持ち、しかし真相は謎に包まれたままの“源実朝暗殺”が物語の核となります。企画の段階から、題材は劇的なものを、そして観客の皆様にもなじみのある事件がいいだろうという思いはありました。スタッフとのミーティングで、このアイデアが出たとき、皆の気持ちがすっとひとつになったという感触がありましたね。じつは、第1作では設定が決まるまでに二転三転あったのですが、今回は“源実朝と鎌倉幕府”を扱うことは企画当初から一致して進んできました。雪降る鶴岡八幡宮で起きた、鎌倉時代の一大事件を『とうかぶ』の世界でどう表現していくか、練りに練ってご披露したいと思います」

刀剣男士八振りのキャラクターはすでに発表になっていますが、実朝や北条政子、鎌倉幕府の重臣たちのキャスティングも気になるところ。

「中心となる役の多くは刀剣男士たちが演じる、つまり二役を演じ分けることになります。また、鎌倉時代と縁がある刀剣といえば、髭切と膝丸。物語とどう絡んでいくのかも期待していただきたいと思います」

また、今回は本編となる物語に加えて、刀剣男士たちが舞い踊る大喜利所作事『舞競花刀剣男士(まいきそうはなのつわもの)』も見どころです。

「舞踊を取り入れる演出は、ずっと構想していました。これは、ひとつの作品からさまざまな表現ができるという刀剣乱舞らしさでもあると思います。もとはオンラインゲームである作品が2・5次元になって、ストレートプレイとミュージカルというふたつのバージョンの刀剣男士たちもいる。そしてアニメもある。僕は、歌舞伎は日本のミュージカルだと思っています。歌舞伎という伝統芸能のなかで、たとえば舞踊があり、義太夫など多様な音曲がある、その豊かな表現も楽しんで見ていただけるような作品にしていきたいんです」

松也さんご出演の新作歌舞伎『歌舞伎 刀剣乱舞 東鑑雪魔縁』

本編と舞踊で魅せる舞台は鎌倉時代

北條政子や源実朝の妻の倩子姫、公暁や鎌倉幕府の重臣たちなど多くの人々の思惑が渦巻く混迷した時代。最後の源氏将軍となった源実朝が、鶴岡八幡宮で殺された“源実朝暗殺事件”を題材に、歴史改変を目論む敵・時間遡行軍と刀剣男士が出陣する。また、本編の物語に加えて、大喜利所作事として『舞競花刀剣男士』では、八振りの刀剣男士が華やかに舞い踊る。
 
◎東京・新橋演舞場 2025年7月5日(土)~27日(日)/福岡・博多座 2025年8月5日(火)~11日(月・祝)/京都・南座 2025年8月15日(金)~26日(火)
◎原案 「刀剣乱舞ONLINE」より(DMMGAMES/NITROPLUS)
◎脚本 松岡亮
◎演出 尾上菊之丞、尾上松也
◎出演 尾上松也、中村歌昇、中村鷹之資、中村莟玉、尾上左近、上村吉太朗、河合雪之丞、中村獅童ほか

お話を伺ったのは

尾上松也(おのえ まつや)さん

1985年生まれ。父は六世尾上松助。1990年5月『伽羅先代萩』の鶴千代役にて二代目尾上松也を名乗り初舞台。2009年から歌舞伎自主公演『挑む』を主宰、10回の公演で数々の大役に挑む。2023年は新作歌舞伎『刀剣乱舞月刀剣縁桐』にて主演に加えて演出にも初挑戦。さらにモンキー・パンチ『ルパン三世』原作の新作歌舞伎『流白浪燦星』に石川五右衛門役で出演。2024年『魚屋宗五郎』の魚屋宗五郎ほかをつとめ、長年リーダー役をつとめていた新春浅草歌舞伎への出演が一区切りとなった。今後のさらなる活躍が期待されている。
歌唱力も高く、ミュージカル『エリザベート』ルキーニ役で力強い歌声を聴かせ、劇団☆新感線『メタルマクベス』disc2ではハードなボーカルでランダムスター役を主演。Netflix配信『さぼリーマン甘太朗』は海外で大きな人気を呼んだ。
2013年国立劇場優秀賞。2016年第三十七回松尾芸能賞新人賞。2017年第三十三回浅草芸能大賞新人賞。

撮影/久家靖秀 構成・文/杉村道子

※素敵なあの人2025年8月号「尾上松也さんが語る 新作歌舞伎、楽しみ方の極意」より
※掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売を終了している場合があります。
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この記事を書いた人 素敵なあの人編集部

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