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アカデミー賞を受賞した日本人は誰? 歴代オスカー受賞者&日本映画まとめ

  • 2026.3.14
第96回アカデミー賞で視覚効果賞を受賞した『ゴジラ-1.0』(左から)高橋正紀、山崎貴監督、渋谷紀世子、野島達司 (C)AFLO width=
第96回アカデミー賞で視覚効果賞を受賞した『ゴジラ-1.0』(左から)高橋正紀、山崎貴監督、渋谷紀世子、野島達司 (C)AFLO

いよいよ米映画賞の最高峰、アカデミー賞授賞式が、日本時間3月16日に開催される。今年はメイクアップ&ヘアスタイリング賞に、日本映画の『国宝』と、日本出身のオスカー受賞アーティストであるカズ・ヒロが手掛ける『スマッシング・マシーン』がノミネートされており、受賞に期待がかかる。今回は、最高の名誉であるアカデミー賞を獲得した歴代の日本人&日本映画を紹介する。

【写真】歴代オスカー受賞の日本人&日本映画をチェック!

日本人唯一の俳優賞受賞者も ~90年代の受賞者&受賞作品

<>内はアカデミー賞開催年。()内は映画製作年。

■黒澤明監督 『羅生門』名誉賞<1952年>、『デルス・ウザーラ』外国語映画賞<1976年>、アカデミー名誉賞<1990年>

日本映画として初めてアカデミー賞を獲得したのは、1952年の第24回アカデミー賞で現在の国際長編映画賞にあたる名誉賞(第28回までは非競技部門の特別賞)に輝いた黒澤明監督の『羅生門』(1950)。1つの事象を異なる視点で描く手法が「羅生門効果」と呼ばれるようになり、本作を機に日本映画への注目が高まった。50年代に相次いだ日本映画のオスカー受賞の土台となるなど、国内外の映画に影響を与えた。1976年の第48回アカデミー賞でも黒澤作品『デルス・ウザーラ』(1975)が外国語映画賞(現国際長編映画賞)を受賞したほか、1990年には長年の功績を称えられ、黒澤監督がアカデミー名誉賞を受賞。彼を師と仰ぐスティーヴン・スピルバーグとジョージ・ルーカスがプレゼンターを務めた。

■衣笠貞之助監督『地獄門』アカデミー賞名誉賞&衣装デザイン賞<1955年>

1955年に開催された第27回アカデミー賞では、衣笠貞之助監督の『地獄門』(1953)がアカデミー賞名誉賞(現国際長編映画賞)を受賞するとともに、和田三造が個人として初めて衣装デザイン賞を受賞する快挙を成し遂げた。菊池寛の戯曲『袈裟の良人』を映画化した同作は、長谷川一夫、京マチ子らが出演。第7回カンヌ国際映画祭では最高賞のグランプリを受賞した。

■稲垣浩監督『宮本武蔵』アカデミー賞名誉賞<1956年>

続く1956年の第28回アカデミー賞では、稲垣浩監督が吉川英二の小説を映画化し、三船敏郎、三國連太郎、八千草薫らが出演する『宮本武蔵』(1954)がアカデミー賞名誉賞(現国際長編映画賞)を受賞。日本映画として2年連続受賞の快挙となった。

■ナンシー梅木、助演女優賞<1958年>

1958年の第30回アカデミー賞では、ナンシー梅木がマーロン・ブランド主演の『サヨナラ』(1957)で、助演女優賞を受賞。これがハリウッドデビュー作だった彼女は、アジア系としてのみならず、米英以外の出身者として初の快挙を成し遂げた。ジェームズ・ミッチェナーの同名小説を基にジョシュア・ローガン監督が手掛けた同作は、朝鮮戦争時の日本を舞台に、アメリカ人兵士と日本人女性の悲恋を描いた作品。助演女優賞のほか、助演男優賞(レッド・バトンズ)と美術賞、音響賞の4部門に輝いた。

■ワダ・エミ、衣装デザイン賞<1986年>

1986年の第58回アカデミー賞では、ワダ・エミが黒澤明監督『乱』(1985)で和田三造以来31年ぶりに衣装デザイン賞を受賞。授賞式には、彼女の作風を思わせる小物に赤を利かせた漆黒の着物姿で出席し、オスカー像を掲げて「この像に私の衣装は必要ありません」とスピーチしたことは語り草となっている。国境とジャンルを越えて活躍した彼女は、メイベル・チャン監督の『宗家の三姉妹』(1997)やチャン・イーモウ監督の『HERO』(2002)ほか、オペラ作品でも衣装を担当。2021年の逝去を受け、翌年の第94回アカデミー賞授賞式で追悼された。

■坂本龍一、作曲賞<1988年>

1988年の第60回アカデミー賞では、坂本龍一が『ラストエンペラー』(1987)で日本人初となる作曲賞を受賞した。『戦場のメリークリスマス』(1983)で初めて映画音楽を手掛けた坂本は、ブライアン・デ・パルマ監督の『スネーク・アイズ』(1998)と『ファム・ファタール』(2002)、ペドロ・アルモドバル監督の『ハイヒール』、ベルナルド・ベルトルッチ監督の『リトル・ブッダ』と『シェルタリング・スカイ』、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の『レヴェナント:蘇えりし者』(2015)などで作曲を担当。是枝裕和監督の『怪物』(2023)が遺作となった。2023年3月に逝去した際は、『戦場のメリークリスマス』で共演したデヴィッド・ボウイの公式Twitter(現X)で追悼文が発表された。

■石岡瑛子、衣装デザイン賞<1993年>

1993年の第65回アカデミー賞では、石岡瑛子がフランシス・フォード・コッポラ監督の『ドラキュラ』(1992)で衣装デザイン賞を受賞。『ザ・セル』(2000)や『インモータルズ ‐神々の戦い‐ Immortals』(2011)でも衣装を手掛け、遺作となった『白雪姫と鏡の女王』(2012)では再びアカデミー賞衣装デザイン賞にノミネートされた。また、多岐にわたって活躍した彼女は、マイルス・デイヴィスのアルバム『TUTU』のジャケットデザインでグラミー賞を獲得したほか、ブロードウェイ舞台『M.バタフライ』とミュージカル『Spider‐Man: Turn Off the Dark』でトニー賞にノミネートされている。


■伊比恵子監督『ザ・パーソナルズ~黄昏のロマンス~』短編ドキュメンタリー賞<1999年>

1999年の第71回アカデミー賞では、伊比恵子監督がマンハッタンのコミュニティセンターで演劇活動に打ち込むユダヤ系の高齢者たちの姿を捉えた『ザ・パーソナルズ~黄昏のロマンス~』(1998)が、短編ドキュメンタリー賞を受賞。日本人の女性監督として初の受賞となった。プレゼンターを務めたのは、前年『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』で脚本賞を受賞したマット・デイモンとベン・アフレックだった。

2000年~2010年代 長編アニメ映画賞を2度受賞した巨匠

■宮崎駿監督 『千と千尋の神隠し』長編アニメ映画賞<2003年>、名誉賞<2014年>、『君たちはどう生きるか』長編アニメ映画賞<2024年>

2003年の第75回アカデミー賞では、宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』(2001)が、日本映画初の長編アニメ映画賞を受賞。日本の長編映画がオスカーを獲得するのは、稲垣浩監督『宮本武蔵』以来47年ぶりの快挙だった。その後も、『ハウルの動く城』(2004)と『風立ちぬ』(2013)が同賞にノミネートされ、2014年には、黒沢監督以来日本人として24年ぶり2人目となる名誉賞を受賞。2024年の第96回アカデミー賞では、『君たちはどう生きるか』(2023)が長編アニメ映画賞を受賞した。

宮崎監督は長編アニメ映画賞に輝いた授賞式は2度とも欠席したが、名誉賞授与式には、本人曰く、プレゼンターを務めたジョン・ラセター(ピクサー・アニメーション・スタジオの共同創業者)との友情に負けて出席。スピーチでは「私の家内は『おまえは幸運だ』とよく言います」と言い、こう語った。「ひとつは、紙と鉛筆とフィルムの最後の50年に私が付き合えたことだと思います。それから、私の50年間に私たちの国は一度も戦争をしませんでした。戦争で儲けたりはしましたけれど、でも戦争はしなかった。そのおかげが、僕らの仕事にとってはとても力になったと思います」。

■加藤久仁生監督『つみきのいえ』短編アニメーション賞<2009年>

2009年の第81回アカデミー賞では、加藤久仁生監督の『つみきのいえ』(2008)が短編アニメーション賞を受賞。同作は、海面上昇のため水没しつつある街で、家を「つみき」のように上へ上へと建て増してきた男性の物語を、鉛筆の優しいタッチで描いた作品。アヌシー国際アニメーション映画祭でも最高賞を含む2部門に輝いた。

■滝田洋二郎監督『おくりびと』<2009年>

第81回アカデミー賞では、滝田洋二郎監督の『おくりびと』(2008)が、現在の国際長編映画賞に当たる外国語映画賞を受賞。授賞式で、主演の本木雅弘や広末涼子、余貴美子らと共に登壇した滝田監督は、「アカデミー会員の皆さまありがとう、本作に協力してくれた皆さまありがとう。とても幸せです。ここにいるのは映画のおかげです。僕にとって新たな出発です。願わくばまた戻ってきたいです。サンキュー、ありがとう!」とシンプルな英語でスピーチ。帰国後の会見では、「受賞の瞬間までは冷静だったが、プレゼンターのリーアム・ニーソンが『Depertures(「おくりびと」の英題)』と読み上げた途端、記憶が途切れ途切れになった」と笑いながらコメント。受賞スピーチの最中にブラッド・ピットと目が合い舞い上がってしまったなど、思い出を語った。

2020年代以降~ 日本映画史上初の快挙も

■カズ・ヒロ、メイクアップ&ヘアスタイリング賞<2018年><2020年>

日本出身のメイクアップアーティストで現代美術家のカズ・ヒロは、『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』(2018)でゲイリー・オールドマンをチャーチル元英首相に、『スキャンダル』(2019)でシャーリーズ・セロンを実在のテレビキャスター、メーガン・ケリーに変身させ、それぞれ2018年の第90回授賞式と、2020年の第92回授賞式でメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞。

ほかにも、『もしも昨日が選べたら』(2006)と『マッド・ファット・ワイフ』(2007)、『マエストロ: その音楽と愛と』(2023)で同賞にノミネートされたほか、ドウェイン・ジョンソンが伝説のMMA(総合格闘技)戦士、マーク・ケアーに扮した『スマッシング・マシーン』(2026日本公開)で、自身6度目となるアカデミー賞ノミネートを獲得しており、3度目の受賞に期待がかかる。

■濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』国際長編映画賞<2022年>

2022年の第94回アカデミー賞では、村上春樹の短編小説『女のいない男たち』を基に、濱口竜介が監督・脚本を手掛けた『ドライブ・マイ・カー』(2021)が、国際長編映画賞を受賞した。授賞式には、西島秀俊、岡田将生、霧島れいか、パク・ユリム、ジン・デヨン、アン・フィテ、ソニア・ユアンらも出席。濱口監督は流ちょうな英語でスピーチし、「アカデミーのみなさまへ感謝いたします。ヤヌスフィルムとサイドショウとワーナーメディア150とシネティック、この映画をアメリカに持ってきてくれてありがとう」と感謝。出演者への感謝と祝福を語った。

■山崎貴監督、渋谷紀世子、高橋正紀、野島達司『ゴジラ‐1.0』視覚効果賞<2024年>

そして2024の第96回アカデミー賞では、1954年に初めて姿を現して以来、日本をはじめ世界中を魅了し、衝撃を与え続けてきた「ゴジラ」の生誕70周年記念作品にして、日本で製作された実写版ゴジラの30作品目となる『ゴジラ‐1.0』(2023)の山崎貴と渋谷紀世子、高橋正紀、野島達司が、アジア映画史上初の視覚効果賞を受賞した。山崎監督は帰国後に出演した『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)で、「夢の中みたいな感じでしたね。どっちを見てもスクリーンでしか見たことがない人たち」とうれしそうにコメントしている。

(文・寺井多恵)

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