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ただの“考察ドラマ”じゃない…SNSで話題沸騰中の作品に広がる“意外なハマり方”【新・土曜ドラマ】

  • 2025.7.24

櫻井翔が主演を務める『放送局占拠』が話題を集めている。良作の多い2025年7月期ドラマの中でも、SNSを中心に様々な考察で早くも加熱している印象だ。

『大病院占拠』(2023年)、『新空港占拠』(2024年)に続く、『占拠』シリーズ第3作目。これまでは鬼、干支をモチーフにしたお面が印象的だった武装集団だったが、本作では妖怪のお面をかぶった妖が500名の人質をとり、放送局を占拠する。

※【ご注意下さい】本記事はネタバレを含みます。

「妖」のリーダーは伊吹(加藤清史郎)なのか?

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『放送局占拠』第1話より(C)日本テレビ

『占拠』シリーズにおいて、その話題の中心となるのは、お面を被った武装集団の正体だ。今回の武装集団は「妖」。リーダーが“般若”のように、それぞれ妖怪の名前が付けられており、第2話では“天狗”が芝大輔、“がしゃどくろ”が瞳水ひまりであることが明らかになった。芝は芸人のモグライダー、瞳水はNHK連続テレビ小説『あんぱん』で柳井家の女中を演じている女優だ。この2人が、ここまで全シリーズに登場している“青鬼”の大和(菊池風磨)を拘置所から脱走させており、今後は彼らの過去やなぜ「妖」に参加しているのかが分かっていくのだろう。

ほかにも多く予想されているのが、“座敷童”が忽那翡翠(齊藤なぎさ)ではないかということ。『新空港占拠』では武蔵(櫻井翔)の味方だったはずの、岩槻澪(白石聖)が最後の「獣」というどんでん返しがあった。いわゆるスパイのポジションに忽那=齊藤なぎさがおり、上唇にあるホクロの位置から確実視されている。

そして最も気になるリーダー“般若”が誰かは、顔が全てお面で隠れており、一人だけボイスチェンジャーではなくAI音声という、制作側も絶対にバレないように趣向を凝らしている。これまでの武装集団のリーダーを振り返っていくと、『大病院占拠』でのリーダーは“青鬼”の大和(菊池風磨)、そして『新空港占拠』では“龍”の駿河(高橋メアリージュン)だった。現在有力とされているのは、“般若”が伊吹(加藤清史郎)ではないかというかなり大胆な予想だ。伊吹は武蔵の義弟に当たり、第1話で大和に拉致されている。本筋のストーリー軸と並行して進む、『新空港占拠』での新見(ジェシー)の位置におり、結果的に新見は武装集団の一人だった。伊吹が“般若”だとするならば、第2話の時点で放送局にいる“般若”は誰なのかという疑問が生まれるが、伊吹と大和のパートは過去の出来事として進んでいるというウルトラCの考察も出てきている。その真偽は今後ジャッジされていくことになるが、シリーズ3作目としてそれほどのインパクトがないとコアファンを満足させられないのも確かだろう。

絶対に死なない不死身の武蔵

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『放送局占拠』第1話より(C)日本テレビ

一方で、『占拠』シリーズは考察要素を抜きにして、気楽に観られるドラマでもある。その一つが不死身の武蔵の活躍だ。爆発に巻き込まれようと拳銃で撃たれようと、武蔵は絶対に死なない。それは主人公だからというほかに理由はないが、『放送局占拠』第2話では「妖」の目を欺くために、テラスにぶら下がって見つかるのを回避する。力尽きそうになり片手でのぶら下がりになるが、「妖」が去っていったことを確認すると、まるで『スター・ウォーズ』シリーズのオビ=ワン・ケノービかのように、身体を持ち上げ何事もなかったかのように捜査に復帰するのだ。普通のドラマではツッコミ要素満載で叩かれそうなものだが、今ではそういうものとしてファンの間でもすっかり浸透している。

シリーズ恒例の拷問器具はよりコミカルに。第2話では熱湯風呂、第3話では箱の中身はなんだろな、とテレビ局が舞台ということでバラエティ番組に寄せたセットも使われていくようだ。

一見すると全てを網羅していないと楽しめないように思う『占拠』シリーズだが、武蔵の動向を追っているだけでも十分に面白い、案外頭を空っぽにして観られるドラマの一つでもあるように思う。


日本テレビ系ドラマ『放送局占拠』毎週土曜よる9時

ライター:渡辺彰浩
1988年生まれ。福島県出身。リアルサウンド編集部を経て独立。荒木飛呂彦、藤井健太郎、乃木坂46など多岐にわたるインタビューを担当。映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』、ドラマ『岸辺露伴は動かない』展、『LIVE AZUMA』ではオフィシャルライターを務める。