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「エグすぎ」「闇がすごい」整形して別人に… トリンドル玲奈、“狂気と怒り”に満ちた主人公役で“女優としての新境地“へ

  • 2025.7.20

ふんわり柔らかな空気感で知られるトリンドル玲奈が、復讐劇のヒロインに挑戦した。意外性とともに、スタートした日本テレビ系ドラマプレミア23『レプリカ 元妻の復讐』の主人公は、伊藤すみれ(トリンドル玲奈)。一見穏やかな花屋の店員だが、その正体は、かつての幼馴染である花梨(宮本茉由)に愛する夫を奪われた藤村葵だった。整形を経て名前も顔も変え、復讐の機会を狙って生きてきた彼女が、ついに宿敵・花梨へと静かに近づいていく……。1話目からゾクゾクする展開が詰め込まれており、SNSでも「展開がエグすぎ」「内に秘めた闇がすごい」と早くも盛り上がりを見せている。

癒し系から復讐劇ヒロインへ

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(C)「レプリカ 元妻の復讐」製作委員会

本作の最大の見どころは、なんといっても主演・トリンドル玲奈さんの壮絶な演技だ。これまで『ワタシってサバサバしてるから』や『月読くんの禁断お夜食』などで親しみやすい役柄を演じてきた彼女だが、本作ではそのイメージが一転。微笑みの奥に狂気と怒りを隠し持つ主人公・すみれ役で、女優としての新境地を開いているように思える。

穏やかな口調や癒し系の柔らかい表情はそのままに、目の奥だけがどこか冷たい。そのギャップが視聴者の心を掴んで離さない仕上がりに。すみれ=葵が花梨に復讐を誓った理由のひとつは、容姿を理由にした執拗ないじめだったという背景も、その微笑みの禍々しさをましている。

容姿を変えれば、すべてが変わる。そんな希望と絶望が入り混じるテーマは、現代社会でも無視できないルッキズム(外見至上主義)問題と重なっている。

同じく整形復讐劇として話題となった『地獄の果てまで連れていく』にも連なるが、人は外見だけではないと頭ではわかっていても、どうしても第一印象や周囲からの扱いに影響してしまうものだ。その生々しいリアリティが、このドラマをただのフィクションで終わらせない要素になっている。

“純粋悪”として君臨する花梨、謎多き桔平の心理

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(C)「レプリカ 元妻の復讐」製作委員会

もう一人のキーパーソンである花梨(宮本茉由)のキャラクターも印象的だ。すみれの夫だった桔平(木村了)を略奪し、幸せな結婚生活を送っている花梨。しかし、彼女の態度は終始「自分が一番」だ。友人も夫も、あくまで自分の幸せのためのパーツに過ぎないような振る舞いが目立つ。

そして謎なのが桔平の心理。すみれと結婚していたころは花梨にホイホイと靡き、不倫までしていた桔平。しかし現在、すみれが整形して別人となり目の前に現れても、なぜか花梨を守ろうとする姿勢を崩さない。その理由は単純な愛なのか、それとも別の目的があるのか……? 2話終了時点ではまだ明かされていないこの部分が、今後の展開でどう描かれるのか。

近年、深夜帯で復讐ドラマが増えているのも印象的に映る。『肝臓を奪われた妻』『夫の家庭を壊すまで』『財閥復讐〜兄嫁になった元嫁へ〜』など、似た系統の作品が次々と放送されている。

背景には、現代の複雑化した人間関係や格差、SNS時代ならではの嫉妬や承認欲求があると想像できる。とくに女性同士の争いや裏切りをテーマに据えることで、視聴者自身の鬱屈した感情や「こういうこと、実際ありそう」という共感を引き出しやすいのかもしれない。

トリンドル玲奈×宮本茉由の“微笑みのバトル”がクセになる

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(C)「レプリカ 元妻の復讐」製作委員会

本作は、激しいバトルや血が飛び散るような過激描写は控えめだ。しかし、主人公のすみれと、その宿敵である花梨の間で繰り広げられる“微笑みの心理戦”こそが真骨頂と言える。

とくに、すみれと桔平がバーで隣り合っているとき、花梨がやってきたシーンの緊張感が凄まじい。その後、見ているこちらまで胃が痛くなりそうなシーンが続くのに、映像はどこか静かで美しいのだ。

整形をし、名前も顔も変えて人生をやり直す。その先に待つものは、本物の幸福か? それともさらなる孤独なのか?

『レプリカ 元妻の復讐』は単なるスリルだけでなく、人間の根本的な寂しさや執着心をえぐる作品だ。主演のトリンドル玲奈をはじめ、宮本茉由や木村了などのキャスト陣の演技にも期待したい。


テレビ東京系 ドラマプレミア23『レプリカ 元妻の復讐』毎週月曜11時6分〜

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X(旧Twitter):@yuu_uu_