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朝ドラで節目となった“別れの名シーン” 視聴者も待ち焦がれた人物の“まさかの再登場”に感動の声続出

  • 2025.7.18

静かに積み重ねてきた日々が、ふとした瞬間に動き出す。朝ドラ『あんぱん』の第16週「面白がって生きえ」では、そんな人生の岐路を描いたことで話題を呼んでいるように思えた。舞台は戦後の高知、そして東京。主人公・のぶ(今田美桜)の決意をきっかけに、ほかの登場人物たちもそれぞれ新たな道を選び始める。

八木という男の素顔――強さと優しさのはざまで

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『あんぱん』第16週(C)NHK

今週印象的だったエピソードのひとつとして、のぶたちが再会を果たした八木(妻夫木聡)という男の存在がある。かつて嵩(北村匠海)と戦場を生き抜いた戦友である八木は、闇市のガード下で子どもたちにパンを配りながら静かに暮らしていた。

一見、強面で近寄りがたい印象を与える八木。しかし、子どもたちの前では穏やかな笑顔を見せ、ゴーリキーの戯曲『どん底』を読み聞かせる姿まで見せる。のぶはそんな八木に心を動かされ、取材記事を書き上げた。

なぜ八木は子どもたちに『どん底』を始めとする書物を読み聞かせるのか。それはもしかしたら、困難な時代のなかで、最後まで人間として生きる意味とは何かを伝えたかったのかもしれない。そんな八木の姿は、静かに、しかし確かに視聴者の心をも揺らしていた。

「困ったときのメガネくん」が選ぶ道とは?

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『あんぱん』第16週(C)NHK

もうひとり、今週大きな転機を迎えたのが嵩である。高知新聞での社会部勤務を経て、のぶが所属する『月刊くじら』編集部へ異動し、早くも救世主的存在になりつつある。

入稿直前に記事が落ちたピンチ。空いたページを埋めるため、嵩は急遽漫画を描くことになる。「困ったときのメガネくんやなあ」と東海林(津田健次郎)がつぶやいた場面には、嵩への厚い信頼が表れていた。

そしてもうひとつ、嵩が描いた『月刊くじら』表紙のイラストには、長年想い続けたのぶの姿が……。ただし、のぶ本人だけは気づいていないという切なさも合わせて描かれていた。なんとも嵩が不憫に思えてならない展開である。

のぶ、東京へ。その決断の裏にあるもの

物語の節目を象徴する出来事として描かれたのが、のぶの祖父・釜次(吉田鋼太郎)の逝去である。長年、朝田家を支えてきた存在が静かにこの世を去り、家族たちはそれぞれの人生をあらためて考え直すことになった。

葬儀の後、屋村草吉(阿部サダヲ)が朝田家に戻ってくる場面にもSNSがわいた。あんぱんを焼くための材料が不足している状況でも、草吉は「代替材料」であんぱんを焼き上げる。のぶたちはそれを食べて「おいしい」と微笑む。SNS上でも「もしかして、ヤムおんちゃんは釜じいが呼んだんじゃ……」と感動の声が止まない。

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『あんぱん』第16週(C)NHK

そして、ついにのぶが人生の大きな選択を下す瞬間がやってきた。薪鉄子代議士(戸田恵子)から誘われていた東京行きを、正式に決意したのだ。

編集部の東海林も、嵩も、複雑な思いを抱きながらもその決断を後押しする。「あいつが行くところはあいつが決めるべきや」――かつての東海林の言葉には、記者としてののぶを認め、信じている気持ちが滲んでいた。

今回印象的だったのは、メイコ(原菜乃華)が恋の相手・健太郎(高橋文哉)を思った言葉である。この人となら不幸になってもいいと思える相手かどうか。それは、のぶがかつて語った言葉でもあった。

恋愛や結婚、家族との関係、そして仕事。人はなぜ、誰かと一緒に生きるのか。その問いに対し、この一週間はひとつの答えを示してくれたように思える。たとえ困難な道であっても、自分で決めたことならきっと後悔しない。そんな想いを胸に、のぶも嵩も、そしてメイコも、それぞれ新しい一歩を踏み出そうとしている。


ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。Twitter:@yuu_uu_

NHK 連続テレビ小説『あんぱん』毎週月曜〜土曜あさ8時放送
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