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10代にして朝ドラで好演をみせた若手女優、新ドラマでも“圧倒的な表現力“で実力を発揮…!【日曜ドラマ】

  • 2025.7.18

医療ドラマといえば、手術室や救急外来の緊迫感を思い浮かべる方も多いはず。しかし、2025年7月にスタートした、夏の日曜ドラマ、日本テレビ系『DOCTOR PRICE』(毎週日曜よる10時30分〜)は、そのイメージを軽々と裏切る作品だ。舞台は、医師専門の転職エージェントという異色の世界。主人公・鳴木金成(岩田剛典)は、父親の死の真相を追い求めながら、医療業界の深い闇に切り込んでいく。

善か悪か、その境界線

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(C)ytv (C)逆津ツカサ・有柚まさき/双葉社

本作は『漫画アクション』で連載されていた同名漫画が原作だが、ドラマでは原作の骨格を活かしつつ、オリジナル展開も多数盛り込まれている。主演の岩田剛典とバディ役の蒔田彩珠という異色タッグも話題となり、TVer総合ランキングでは早くも1位を獲得。放送開始直後からその勢いを感じさせている。

主人公・鳴木金成は、父・将成(林泰文)が3年前に起こした医療過誤事件の真相を追い続ける男だ。その姿は一見、正義感に満ちた探偵のようでもあるが、単純なヒーロー像に収まらないところがこのドラマのおもしろさだ。

たとえば第2話では、草野球仲間である医師・安斎悠人(尾上寛之)の転職相談を受ける場面が描かれる。一見、人助けのように見える行動も、その裏には、父親の死の真相に迫るための情報収集という自身の目的が透けて見える。転職エージェントという職業柄、鳴木は医師たちの人生を左右する重大な局面に立ち会う。しかし彼は、彼らの希望を尊重しながらも、自らの利益も冷静に計算しているのだ。

それでも、鳴木が単なる「悪」には見えないのはなぜか。それは彼自身が、友人である安斎の力量や人柄をしっかり見極めたうえで、あくまで最善と思われる道を提案しているからだ。

利己的なだけでなく、根っこには「人を信じたい」「人に信じられたい」という人間らしさが見え隠れする……。そんな複雑さが、鳴木金成というキャラクターを特別な存在にしているように見える。SNS上でも、長髪を後頭部でくくった髪型という新鮮なビジュアルも相まって、鳴木を演じる岩田に対し「ギャップがありすぎ」との声も多い。

静かな熱を感じさせるバディ役

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(C)ytv (C)逆津ツカサ・有柚まさき/双葉社

そんな鳴木の隣に立つのが、蒔田彩珠が演じる夜長亜季だ。事務スタッフとして「Dr.コネクション」に所属する夜長は、鳴木の行動に疑問を抱きつつも、彼の力強さや目的意識に引かれて行動をともにする。

蒔田といえば、是枝裕和監督作品への出演歴や、映画『朝が来る』での難役が記憶に新しい。10代にして圧倒的な表現力を見せつけ、朝ドラ『おかえりモネ』でも芯の強い少女を好演した。その実力は『DOCTOR PRICE』でも存分に発揮されており、夜長亜季というキャラクターに、どこか寂しげで慎重ながらも芯のある存在感を与えている。

とくに印象的なのは、夜長が鳴木の存在を指し「もう少し信じてみようと思います」と示すシーン。テキストメッセージにさえ滲む、蒔田ならではの着実な目線と冷静さが、物語の緊張感を一気に高めている。

また、脇を固めるキャスト陣も豪華だ。院長・天童を演じる篠原涼子、極東系列のキーパーソン・網野役のユースケ・サンタマリアなど、実力派たちが顔を揃える。そのため、医療過誤という重いテーマも、ただのフィクションとして片付けられず、どこか現実の問題として考えさせられる。

「転職エージェント」と「医療」という、一見遠いもの同士の組み合わせが新鮮なのもこの作品の特徴だ。医師たちのキャリア選択というテーマを通じて、人の生き方や働き方、さらには社会構造のゆがみまでが見えてくる。

『DOCTOR PRICE』をいま観るべき理由

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(C)ytv (C)逆津ツカサ・有柚まさき/双葉社

第2話ラストで描かれた、「鳴木の過去」をめぐる新たな伏線や、同期・依岡(北山宏光)の動きなど、まだまだ謎は深まるばかりだ。父の死に本当に関わっていたのは誰なのか? 鳴木は本当に正義なのか? それとも……。

また、夜長亜季自身も、単なる“相棒”ポジション以上の存在感を放ち始めており、今後は彼女自身のバックボーンや選択にも注目したいところだ。

医療ドラマでありながら、キャラクター同士の駆け引きや、人間関係の機微を繊細に描く『DOCTOR PRICE』。岩田剛典のクールさと蒔田彩珠の静かな熱、そのバランスが絶妙だ。

ただの勧善懲悪ではなく、登場人物それぞれの「正義」がぶつかり合う構図は、社会派ドラマとしても見応えがある。日曜夜、ちょっと心がザワつくような物語を求めている方には、ぜひ一度チェックしてほしい作品だ。


読売テレビ・日本テレビ系『DOCTOR PRICE』毎週日曜よる10時30分〜

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X(旧Twitter):@yuu_uu_