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「1番合ってる」「最高」“2人の超有名女優”が彼氏をシェア…!“令和の恋愛ドラマ”で新境地へ【新火ドラ・イレブン】

  • 2025.7.8

令和の恋愛ドラマは、もはや“ふたりきり”だけのものではない。7月1日よりスタートしたカンテレ制作・フジテレビ系列 火ドラ・イレブン『北くんがかわいすぎて手に余るので、3人でシェアすることにしました。』は、そんな“いま”の価値観を鋭くもチャーミングに突きつける意欲作だ。原作は榊こつぶの同名漫画。物語は、老若男女を虜にしてしまう“ナチュラルボーン天使”こと真中北(岩瀬洋志)に、三人の男女が同時に恋をするところから始まる。看護師の浅田南(本田翼)、パン屋店員の比留間東子(志田未来)、書店員の西野悠(増子敦貴)。彼らは恋のライバルとして火花を散らす……かと思いきや、なんと「33%の会」なるものを結成し、北くんを3等分して共同生活を始めてしまうという、型破りな展開に突入する。

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(C)SANKEI

冒頭から“ありえない”を成立させる説得力

第1話の冒頭、たった5分ほどで状況説明を済ませ、すでに4人の不思議なシェア生活はスタートしている。このスピード感と、詳細の説明はすっ飛ばしても気にならない説得力の理由は、ひとえに北くんの存在感にあるだろう。

岩瀬が演じる北くんは、端正なルックスもさることながら、人の懐にすっと入り込む天性の人たらし。公園で「一緒に死んで」と頼んできた女性に「いいよ〜」と笑顔で返してしまうほど、無垢で危なっかしい。そんな彼に振り回される南・東子・悠の三人のやり取りが、いちいちコミカルで可愛らしく、むしろこの設定だからこそ成り立つバランスが絶妙なのだ。

三人で北くんを支える生活は、家賃や生活費もきっちり三等分。まるでルームシェア契約のような緻密さだが、そこには「誰か一人が抜け駆けすればすべてが壊れてしまう」という切実さや危なさもある。

とくに興味深いのは、彼らが“ワーストよりはマシ”な選択をしているという描写。つまり、「北くんを誰か一人に取られてしまうくらいなら、三人で分け合ったほうが幸せ」という新しい恋愛の均衡感覚を持っているのだ。これまでのドラマなら、嫉妬や修羅場の展開になりそうなものを、あくまでポップに、前向きに描いている点も現代的に見える。本作に対してはSNS上でも「4人のシェア生活どうなる?」「最高のドラマ」「キャスティングも1番合ってる感じ」と1話放送時点から評価が高い。

本田翼×志田未来が新境地へ

近年、恋愛の形をアップデートする深夜ドラマが増えている。たとえば、栗山千明主演『彼女がそれも愛と呼ぶなら』は、複数恋愛において揺れる心を繊細に描いて見せた。『三人夫婦』では、「三人で夫婦になりたい」という思いが丁寧に掘り下げられた。

『北くんがかわいすぎて~』は、これらの“新しい愛のかたち”を描く作品群のなかでも、よりライトに、よりキャッチーに複雑な恋愛観について提示してくれる。重苦しさよりも、むしろ「こんな生活も楽しそうじゃない?」と思わせてくれる空気感がある。恋愛はこうでなければいけない、という固定観念を、心地よく裏切ってくれる作品なのだ。

そして、なんといってもこのシェアラブコメディで注目すべきは、やはり本田翼と志田未来のキャスティングだろう。ともに確固たるキャリアを持つ女優だが、こんなにゆるくも芯のある恋愛ドラマに挑んでいるのを見るのは新鮮だ。

本田が演じる南は、自身が美人であることを存分に自覚している潔いナルシストであり、細かいことは気にしない奔放な様も魅力的。一方、志田が演じる東子は、真面目でどこか職人気質なところがあるが、実は人一倍情が深く、そこが視聴者の共感を呼びそうだ。

シェアハウス×ラブコメ×多様性恋愛という要素が絶妙に融合した本作は、「普通じゃない」からこそ、私たちの日常に一石を投じてくれる。ひとつの形に縛られず、それでも誰かと一緒に生きたいと願う人たちの、不器用でやさしい共存の物語。

北くんと三人の関係性は、この先どう変化していくのか? その行方を見守るだけで、きっと毎週火曜の夜がちょっと楽しくなるはずだ。


カンテレ制作・フジテレビ系列 火ドラ・イレブン『北くんがかわいすぎて手に余るので、3人でシェアすることにしました。』 毎週火曜よる11時

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。Twitter:@yuu_uu_