1. トップ
  2. 恋愛
  3. 【ドラマレビュー】老いとどう向き合う?腎をいわたる薬膳に注目した「最終回」は帰れる場所を手に入れた司さんの笑顔が最高!NHKドラマ10『しあわせは食べて寝て待て』

【ドラマレビュー】老いとどう向き合う?腎をいわたる薬膳に注目した「最終回」は帰れる場所を手に入れた司さんの笑顔が最高!NHKドラマ10『しあわせは食べて寝て待て』

  • 2025.6.1

さて、前回では「鈴(加賀まりこ)さんの面倒を見てほしい」という鈴さんの娘である透子(池津祥子)さんの一言で、司(宮沢氷魚)さんがまた山に行ってしまう場面がラストシーンでした。

もしかしたら戻るつもりはないのかもしれないと感じられるような演出がちりばめられていて、胸が苦しくなる回でした。

「食べて寝て待て」な3人に、しあわせはやってくるのか、そしてそれはどんな形なのでしょう。

もう3人や団地の皆さんとのやり取りを見られないかと思うと寂しすぎますが、最終回でも気になる薬膳の知識がぎゅぎゅっとまとまっていましたよね。

老いに関係する「腎」のケアをどうする⁉ レビューをお届けします。

誰かのために、そして自分のために。 居場所を作ろうと麦巻さんが奔走!

写真提供:NHK

司さんがいなくなったことで、鈴さんとの時間、ひいては団地の皆さんとの時間が増えたような印象の麦巻さん。団地の皆さんと持ち寄りご飯付きの井戸端会議です。
(鈴さんが持ち寄ったしいたけの肉詰め、とっても美味しそう……)

そこで初めて、70歳近くになって仕事の面接に出かける団地の住人の方を知ります。

年齢を重ねても、家庭の事情であれ、自分の意志であれ、働きたい人もいる。
でも、どうやら高齢の方の働き口はなかなか見つからないらしい、ということを知った麦巻さんは、まるで将来の自分を見ているような気持ちになり、色々と情報収集を始めるようです。

職場の人たち、そしてギンナン舎の青葉(田畑智子)さんと話すうちに、「働く場所がなければ作ればいい!」とひらめいた麦巻さん。

その場で青葉さんが指摘したように、きっとそれは働き口を探すより、ずっと大変なことかもしれません。それでも、薬膳を続けることで気持ちや体が健やかになった麦巻さんは、自分のできる範囲で、みんなの働く場所を団地につくろうとします。

とはいえ、賛同してくれる人も多かったにもかかわらず、現実は甘くはなく、実現することは叶いませんでした。

腎のケアにいい食材はわかめ! 自分をいたわる大切さにハッとする

写真提供:NHK

そんなとき、自身の耳鳴りに気づく麦巻さん。

ドラマでは、耳鳴りは「腎」の衰えによって出てくる症状のひとつ。
ちなみに薬膳の考えでの「腎」は、老化によってダメージを受けるといわれていて、腎をケアすることでアンチエイジングにもなるといわれています。

ドラマ内では書籍を読み、「老化」というキーワードにショックを受ける麦巻さん。

でも腎をいたわる食材を食べてみようと、わかめたっぷりのおでんを作ります。

そこへ、旧友から「話を聞いてほしい」との連絡が。
この友人、悪い人ではなさそうなのですが、これまでとにかく愚痴を麦巻さんに聞いてもらっていたようで、元気なときでさえ、麦巻さんにとって少ししんどい時間だったようです。

思い切って、友人のお願いを断る麦巻さん。
友人からの返事はなく(個人的には麦巻さんの友人さん、それってどうなのと思ってしまいましたが……)、心をざわつかせながらも、自分を守ったことに目を向けようとする麦巻さんがなんともいじらしいシーンでした。

さらに、司さんの不在が、鈴さんにとっても、麦巻さんにとっても、団地の人たちにとってもどんどん大きくなっていきます。

思い切って、司さんに電話をかける麦巻さんですが、はじめは司さんにつながりません。

そのとき司さんは、施設を抜け出して「家に帰ろう」として山道に迷い込んでしまったおじいさんを救出中でした。

施設の人を待つ間も、「家に帰るんだよ」と言っていたおじいさんに、司さんは、自分のおばあさんが同じく家を飛び出してしまったとき「帰ってこなければいいのに」と思ってしまった過去の記憶を話してしまいます。

きっと、ずっと、それがわだかまりとなっていて、自分は誰かの帰る場所を守る資格はないし、同時に、自分も帰れる場所を持つことはできない、と思ってしまっていたのかしらと感じられてしまいます。

でも、認知力が弱まっているように見えるそのおじいさんは、司さんに一言「気にすんな」といいます。

その言葉にはっとする司さん。

そしてそのおじいさんを送りだした後、偶然電波のつながる場所にいた司さんに2回目の麦巻さんからの電話が。

電話を取った司さんと、麦巻さんは、他愛もない話をします。
麦巻さんは、件の友人とのやりとりを話し、そこで「自分はやれるだけやった、そう思うことにします」と司さんに決意表明のようなものを伝えました。

その後、そっけなく電話を切ったように見えた司さんでしたが、その麦巻さんの言葉は、司さんにもしっかり響いていて、いつものどっしりとしたおだやかな司さんの笑顔に戻っているようでした。

そして暑さが厳しくなるであろう夏に向けて、ベランダで梅干しを仕込む鈴さんと麦巻さん。
そこへなんと長ねぎを持った司さんが山から帰ってきます。

嬉しさのあまり、涙がにじんでいるようにも見える鈴さんと麦巻さんは「おかえりなさい」と何度も何度もいいます。

満面の笑みで「ただいま」と答える司さん。
(長ねぎでピースサインを作る司さん、可愛すぎます…!)

それを見て、きっと、しあわせというのは、「ただいま」といって帰れる場所があることなのかもしれない、と思えました。

そして、その「居場所」は老いることだったり、体調が悪くなったり、お金がなくなったりなどの事情でなくなってしまうこともあるかもしれませんが、一方で「やれるだけやる」ことで、また新たにひょいと見つかるのかもしれないですよね。

司さんが「ただいま」といって帰れる場所を見つけたように。
麦巻さんが、「おかえりなさい」といえる場所にいるように。

そんな穏やかで、でもじんと響くようなエールをもらったような気持ちになりました。

そんなドラマのなかに出てきた薬膳のレシピがHPに掲載中です。
ぜひ、こちらもチェックしてみてください!

写真提供:NHK

ドラマ10「しあわせは食べて寝て待て」(最終話)は
NHKプラスで、6月3日までご覧いただけます。

この記事を書いた人

大人のおしゃれ手帖編集部

大人のおしゃれ手帖編集部

ファッション、美容、更年期対策など、50代女性の暮らしを豊かにする記事を毎日更新中! ※記事の画像・文章の無断転載はご遠慮ください

元記事で読む
の記事をもっとみる