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目の健康、あなたはどれだけ気にかけている? 日常的に心がけたい4つのこと

  • 2025.5.18

見落とされがちな「目の健康」

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パンデミックを契機に、人々の健康意識が底上げされた。腸内環境を整える、ストレスをためないようにする、口腔衛生に気をつけるなど、多くの人が基本的なケアを積極的に行うようになったが、見落とされがちなのが「目の健康」だ。体内のほかの重要なシステムと同様、視覚と健康との間には無視できないつながりがあり、ある研究では腸内細菌叢(腸内フローラ)と目にはコミュニケーション軸が存在すると示されている。

「目は全身の健康状態を知るための『窓』です」と話すのは、眼科医のアレックス・デイ。「糖尿病から高血圧まで、多くの全身疾患はまず目に兆候が現れることがあります。目は体の健康状態を早期的に示す重要な指標なのです。目の健康状態が悪化すると、生活の質を下げてしまうさまざまな問題を引き起こす可能性があります」と続ける。

目の不調を、ただ疲れているせいだと片付けてしまうのは簡単だが、複数の症状が同時に、または長期間続くなら、基礎疾患の検査をするタイミングかもしれない。よくある症状として、視界がぼやける、二重に見える、頻繁に頭痛がする、眼精疲労や不快感などが挙げられる。また、充血、乾燥、かゆみ、光に対する過敏性、暗くなると見えづらくなる、突然視力が低下する、飛蚊症、視界が暗くなるなど、デイによると潜在的な警告サインはほかにもある。こういった症状が頻繁に起こるなら、近くの眼科で診察を受けよう。

皮膚と同様、目も酒さ(しゅさ)のような炎症性疾患を発症することがあり、熱やアルコールなどの環境要因に反応することが多い。長時間パソコンに向かっている人や更年期の人は、目のかゆみや痛み、ゴロゴロ感を特徴とするドライアイ症候群を抱えているかも。ドライアイは深刻な病気ではないように聞こえるが、重症になるまで放っておくと角膜の損傷や視力障害につながるため要注意だ。

目と脳の関係

実は、目は脳の一部。少しグロテスクな話だが、脳の中で唯一、直接見れる部分なのだ。「網膜は神経組織で構成されているため、目は脳の延長なのです」とデイは説明する。「視神経は、眼科医が検診で使用する検眼鏡や細隙灯で見ることができます。これらの器具は、眼球の最も内側にある層(網膜)と、網膜から脳に信号を伝える視神経をはっきりと映し出します」。目の健康状態の悪化と認知機能の低下にも、明確な関連性がある。ラフバラー大学の最近の研究によると、視感度の低下が認知症の兆候になる可能性が高いそうで、目を検査すれば、現在の医学で認知症と正式に診断される12年前に、認知症の発症を予測できるかもしれないという。

目の変化は、脳卒中や脳腫瘍などの神経疾患、糖尿病や高血圧などの慢性疾患も示す。「多発性硬化症や脳卒中など多くの神経疾患では、視神経や網膜に異変があるため、直接的な診断に役立ちます。例えば、脳腫瘍などで脳内圧が上昇すると、視神経が腫れることがあります」

心臓や血管の状態も教えてくれる

目は、心臓や血管などほかの重要な組織の健康状態についても貴重な手がかりを与えてくれる。「網膜は、心臓や脳と同じような、細い動脈や静脈から血液供給を受けています」とデイは言う。「頸動脈からはがれ落ちた脂肪プラークが、網膜動脈に留まることがあります。これが発見された場合、脳卒中リスクが高いとわかります。また、血栓や高血圧による網膜静脈の詰まりは、高コレステロールや高血圧といった体の状態を表します」。眼科検診では、高コレステロールを示すまぶたの脂肪腫や、心血管疾患の警告でもある網膜血管の漏出などもチェックしてもらおう。

家族歴を知ってリスクの把握を

加齢に伴う視力の低下は自然なこと。加齢により遠視になる老眼は誰もが経験するし、年を取るプロセスの正常な一部といえる。ただ、私たちの視力が日々衰えるとはいえ、できるだけ目の健康の悪化を防ぐことは大切だ。白内障や緑内障のような疾患の家族歴を知ることは、自身のリスクを把握し、目の健康と全身の健康を守る予防措置をとるきっかけにもなる。

目の健康のために日常的に心がけたい4つのこと

Woman holding glasses against eye chart on blue background, closeup. Ophthalmologist prescription

1. 定期検診を受ける

歯と同じように、近くの眼科で定期的に検診を受けよう。視力が完璧で、不穏な症状がなくても、全身の健康を維持するためには大切だ。イギリスの検眼専門協会 the College of Optometristsは、16歳以上の人は2年に1度、16歳未満の子どもは1年に1度、目の検査を勧めている。家族に目の病歴がある場合は、60歳を過ぎたら毎年検査を受ける必要があるかもしれない。

2. サングラスと食事で目を守る

日差しが強いときは、UVカット効果の高いサングラスを常用すること。長期的に紫外線を浴びる習慣は、ダメージを引き起こす可能性がある。「タバコを吸う人なら、禁煙しましょう。また、緑黄色野菜(ほうれん草、キャベツ、カーリーケールなど)やオメガ3系の油を多く含む健康的でバランスの取れた食事が、目の健康をさらに促進します」とデイ。「十分な水分補給と睡眠でドライアイを防ぎ、1日の終わりにはきちんとメイクを落とすのも重要です」

一般的な眼疾患のリスクを最小限に抑えるには、目の健康を改善するサプリメントの摂取を検討してもいいだろう。ビタミンAは角膜の透明性を保ち、暗い中での視力を向上させる働きがある。ビタミンEは眼球細胞へのダメージを緩和する抗酸化物質。一方、オメガ3脂肪酸には抗炎症作用があり、加齢黄斑変性症(かれいおうはんへんせい)の進行を遅らせるのに役立つ可能性があるほか、ルテインは紫外線から目を守ってくれる。

3. スマホはほどほどに

目の健康を考えると、スマホやパソコンの時間制限は、子どもだけでなく大人にも必要だ。「スクリーンを見ているとまばたきの回数が減り、眼精疲労や眼球の乾燥の原因になります」とデイは警告する。これを防ぐには、定期的な休憩が欠かせない。「20/20/20の法則を守ってください。20分ごとにデジタル機器から20秒離れ、20フィート(約6メートル)先のものを見る。リマインダーとしてスマホにカウントダウンタイマーをセットするといいですよ」

スクリーンから離れる時間を確保することで、画面を何時間も見つめた後によく感じる、目がずんと重い感覚からも解放される。休憩時間に外を散歩できればなおよし。時間や状況が許さない場合は、近くの窓から外を眺めてみよう。そうすることで、目が“ハイフォーカスモード”から“パノラマモード”に切り替わる。この単純な行為でも視野が広がり、脳ができるだけ多くの視覚的環境を受け取って、疲労感の軽減につながる。

4. コンタクトは正しく使う

目の健康を維持するために、コンタクトレンズの衛生管理が絶対条件であることは言うまでもない。感染症を避けるため、清潔な手でコンタクトをきちんと洗浄・消毒し、推奨される頻度で交換すること。感染症や炎症のリスクを高める可能性があるため、コンタクトをつけたまま泳いだりシャワーを浴びるのも好ましくない。寝る前に外すのも絶対に忘れずに。コンタクトの装着感が良くなるだけでなく、潜在的なダメージも最小限に抑えられる。「角膜炎は、細菌、ウイルス、真菌の感染、角膜の損傷、コンタクトレンズの使い過ぎなどによって起こります」

Text: Georgia Day Translation: Rikako Takahashi

From VOGUE.CO.UK

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