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もしも…《災害》《盗難》の被害に遭ったとき 損失を少しでも “取り戻す” ための方法とは?【FPが解説!】

  • 2025.5.3

「いざ」に備えて知っておきたい

空き巣・盗難のイメージ
空き巣・盗難のイメージ

災害や盗難で大切な財産を失ったとき、税金の負担を軽くできる「雑損控除」をご存じですか? 損失を申告すると税金の負担を軽くできますが、対象になる損失や資産には条件があります。雑損控除の基本や条件についてファイナンシャルプランナー(FP)が解説します。いざというときに備えて、ぜひチェックしておきましょう。

雑損控除は、災害や盗難、横領などで思い掛けない損害を受けたときに、税金の負担を軽くできる制度です。損失を申告して条件を満たせば、課税所得を減らせる仕組みになっています。

雑損控除の対象となるケースとは、災害(地震、台風、火災、害虫などによる被害)、盗難(泥棒に現金などを盗まれた場合)、横領(他人に預けた資産を持ち逃げされた場合)。一方で、詐欺や恐喝による損失は雑損控除の対象外です。税金面での救済措置は受けられませんので、注意しましょう。

雑損控除の対象になるのは納税者本人と、同じ家計で暮らしている家族(その年の総所得金額などが48万円以下)が持つ「生活に必要な物」です。

対象となる資産の例としては、自宅や家財道具(家具、家電など)、通勤用の車やバイク、衣類や日用品、書籍など。ただし、全ての資産が対象になるわけではありません。事業や投資用の資産などは対象外です。

対象外の例は、別荘や投資用不動産(事業規模の賃貸物件など)、趣味で購入した車、事業用の資産(棚卸資産、事業用の機械など)、貴金属、書画、骨とうなどで、1個または1組が30万円を超える物。つまり、雑損控除は「生活に必要な資産」が損害を受けたときに利用できる制度です。

台風で自宅が壊れた、地震で墓石が倒れた、プライベート用のスマホが盗まれた、といった場合が、雑損控除の対象となります。

制度を活用するために、必要書類と申告期限を確認しておきましょう。

・損失を証明する資料を用意する 雑損控除を受けるには、損失を証明する資料が必要です。例えば、災害を受けた際の「り災証明書」や、警察に被害届を出した際の「警察証明」などです。

・確定申告する 雑損控除を受けるには確定申告が必要で、原則として、損害を受けた翌年の2月16日から3月15日の間に申告します。

もし忘れてしまっても、会社員など給与所得者の場合は、損害が発生した年の翌年から5年以内に申告すれば控除を受けられます。自営業者や確定申告済みの給与所得者の場合は、基本的に申告期限から5年以内であれば、確定申告のやり直しが可能です。

控除できる金額は、次の計算式のうちどちらか多い方の金額です。

(1)差引損失額 – 総所得金額など × 10%(2)差引損失額のうち災害関連支出額 – 5万円

対象となる損失や資産の種類などを正しく理解して、確定申告をスムーズに進められるようにしましょう。続く後編ではより詳しく、具体的な計算方法や手続きについて解説します。

<参考資料>・国税庁「No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」・国税庁「No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」・国税庁「No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」・国税庁「No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」・国税庁「II 質疑応答編」・国税庁「災害により被害を受けられた方へ (所得税及び復興特別所得税関係)」・警視庁「警察証明のオンライン申請要領」・国税庁「No.2020 確定申告」・No.2030 還付申告|国税庁・No.2026 確定申告を間違えたとき|国税庁・国税庁 令和5年分 確定申告書等作成コーナー「よくある質問 雑損控除とは」

(奏かえで)

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