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【ヨモギ】端午の節句との関係は?知られざる栄養とおいしい食べ方を栄養士ライターが解説!

  • 2025.4.30

知られざるヨモギの栄養パワー

端午の節句の時期によく食べられるヨモギ
端午の節句の時期によく食べられるヨモギ

端午の節句の時期によく食べられる、ヨモギを練り込んだ柏餅や草餅などの和菓子。新緑の頃に葉をいっぱいに茂らせる香り高いヨモギは、古くから邪気(じゃき)をはらう薬草として親しまれてきました。実際のところ、ヨモギにはどのような栄養パワーが宿っているのでしょうか。

食べて・飲んで・浸かってよし!ヨモギは和の万能ハーブ

▲葉の裏に白い綿毛が生えているのがヨモギの特徴。この綿毛を集めたものがお灸のもぐさです。
▲葉の裏に白い綿毛が生えているのがヨモギの特徴。この綿毛を集めたものがお灸のもぐさです。

ヨモギはキク科ヨモギ属の多年草で、河川敷や野山など日本全土に生えていて繁殖力も旺盛。ヨモギ属は日本に約30種類あるとされ、沖縄で食べられているフーチバーもヨモギの一種です。

春から初夏にかけてやわらかい若葉の部分を食用として味わうほか、ヨモギ茶、漢方薬、お灸のもぐさ、入浴剤、塗り薬の材料としても利用されています。食べてよし、飲んでよし、燃やしてよし、浸かってよし、塗ってよし。まさに、和の万能ハーブと言えそうです。

ヨモギは抗酸化パワーが宿った緑黄色野菜

 ▲ヨモギの天ぷら。春菊に近い味わいが楽しめます。
▲ヨモギの天ぷら。春菊に近い味わいが楽しめます。

ヨモギは濃い緑色の見た目からも分かる通り、緑黄色野菜に分類され、強い抗酸化作用があるβ(ベータ)-カロテンが豊富に含まれています。その含有量は100gあたり5300μgと西洋カボチャ(100gあたり2600μg)の2倍以上です。

また、歯や骨を丈夫にするビタミンK、正常なDNAをつくる手助けをする葉酸、皮膚や粘膜の健康を守るナイアシン、貧血を予防する鉄、高血圧予防に働くカリウム、食物繊維も多く含まれています。ヨモギを料理にしていただく場合は、脂溶性のβ(ベータ)-カロテンやビタミンKを効率的に吸収できる天ぷらがおすすめ。ハーブ感覚でオリーブオイルと混ぜて作るジェノベーゼやピザのトッピングにしても香りと味わいを楽しめそうです。

特有の香りがイライラを鎮めてリラックスを誘う

なお、ヨモギを摘んだときに香り立つ特有の爽やかな香りには、シネオールやα-ツヨンなどの揮発性の成分が含まれ、たかぶった神経を鎮め、リラックスを促す香りとして知られています。手軽に香りを楽しめるヨモギ入りのハーブティや入浴剤を入れたお風呂は、寝る前のリラックスタイムに良さそうですね。

ヨモギのペーストを作っておくと便利

ヨモギの若葉はしおれやすく日持ちしないので、摘みとってすぐヨモギペーストにしておきましょう。冷凍保存可能なので、思い立った時にヨモギ団子や草餅などを作ることができますよ。

<ヨモギペーストの作り方>

(1)摘んだヨモギの葉は、茎などのかたい部分を手で折って取り除き、よく水洗いをして葉に付いたほこりなどを洗い流します。(2)鍋にたっぷり沸かした熱湯に重曹(または塩)を小さじ1程度加え、2~3分を目安に葉の軸が指でつぶれるくらいの柔らかさになるまで茹でます。重曹はナシでも構いませんが加えると繊維がやわらかく緑色が鮮やかになり、アクも抜けやすくなります。(3)水にさらして水気をしっかり絞り、包丁で叩くように細かく刻みます(フードプロセッサーやすり鉢を使うと、より細かくなめらかに仕上がります)。 ヨモギペーストを冷凍する時は、できるだけ平らに伸ばした状態で冷凍用保存袋などに入れて冷凍すると後で使いやすくなります。

なお、次回の記事で柏餅やヨモギ団子を手作りする際に使う、上新粉・白玉粉・もち粉・だんご粉の違いを解説しますので、そちらも参考にしていただけたら嬉しいです。

まとめ

▲ヨモギ入りの柏餅で無病息災パワーを授かりましょう!
▲ヨモギ入りの柏餅で無病息災パワーを授かりましょう!

ヨモギの若葉が芽吹くのは、新茶がおいしい時期とも重なります。ご家族の無病息災を願ってヨモギ団子や草餅を新茶と一緒にいただきながら、楽しい端午の節句をお過ごしください!

※参考文献:『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年』、杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』NHK出版,2019、東邦大学医学部東洋医学研究室監修『薬膳と漢方の小事典』日本文芸社,2019

(野村ゆき)

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