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“ベストキャスティング”の人気女優2人…!グラデーションのような“絶妙なさじ加減” に相次ぐ好意的な声【月9】

  • 2025.8.18

放送中の月9ドラマ『明日はもっと、いい日になる』は、これまでドラマで扱われることが少なかった児童相談所が舞台。虐待やネグレクトだけではないさまざまな親子の事情が描かれている。その物語の中心にいるのは、主人公・夏井翼を演じる福原遥だ。

※【ご注意下さい】本記事はネタバレを含みます。

警察から児童相談所へ出向した新人・児童福祉司

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福原遥(C)SANKEI

『明日はもっと、いい日になる』は、神奈川県警強行犯係の刑事であった夏井翼が、児童相談所への出向を命じられるところから始まる。幼い頃から強い正義感を持ち、刑事になることに憧れていた翼は、急な異動辞令に戸惑うことに。実際に児童相談所で働き、正義か悪かだけでは判断できない親子の問題に直面し、翼はこれまでの考え方が全く通用しないことを痛感する。

翼の強すぎる正義感と児童相談所の対応への慣れなさは、福原の表情や声色のとげなどで丁寧に表現されている。福原はこれまで『正直不動産』の月下咲良や『18/40〜ふたりなら夢も恋も〜』の仲川有栖のような健気で頑張り屋の役を演じることが多かった。今回演じている翼は、新人であっても刑事としての経験があるために、自分の考えに固執してしまう頑なさと未熟さがある。

自分の考えに固執するような役柄は、性格がキツく見えてしまったりと視聴者から誤解を受けやすくなりがちなところを福原は絶妙なさじ加減で翼の人柄を成立させている。上司の蔵田総介(林遣都)から注意された際にはきちんと反省し行動を変えるよう努力し、周りが思いつかない部分まで配慮しようと自分の正義のためではなく相手を思った行動ができるようになっている。福原が、そんな翼の変化をグラデーションのように表現しているから、違和感なく物語に没入できるのだろう。

児童心理司の葛藤

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生田絵梨花(C)SANKEI

児童相談所で働く者の葛藤を丁寧に表現している女優は福原遥だけではない。第4話では、児童心理司として働く蒔田向日葵(生田絵梨花)の葛藤が描かれた。向日葵は、翼に対して総介と共にクライアントに踏み込みすぎない方がいいと、優しく助言する先輩的立場の人物だった。しかし、彼女にも線引きがうまくできないクライアントがいた。

新人の頃に担当した石田葉月(白鳥玉季)は、親からネグレクトとは呼べない程度に放任されており、それが彼女の心に影を落としていた。しかし、葉月の事案では児童相談所は積極的に介入ができない。向日葵は個人的に葉月に会い続け、心のケアをしていた。

第4話ではそんな向日葵と葉月のエピソードが描かれた。葉月は向日葵を友人のように信頼していたが、向日葵は葉月と児童心理司として関わらなければならない責任がある。そんな2人の感覚の違いに互いが傷ついてしまう場面には胸が締め付けられた。向日葵の言動が葉月を傷つけたことを向日葵が自覚して後悔する場面では、生田の表情からプライベートと職務の板挟みになる苦しさが伝わってきた。翼とは異なり新人ではなくなったからこその難しさを、生田は丁寧に表現していた。

SNSでは福原に対して「真っ直ぐな思いが伝わってくる」、生田に対しては「いい芝居するなあ」と好意的なコメントが多い。福原と生田が演じる役柄は、作中で特に分かりやすくクライアントとの関わり方に悩まされる。2人を通してさまざまな親子の事情を眺めることで、児童相談所の業務の難しさを改めて感じさせられる。児童福祉司と児童心理司の葛藤を描く上でベストキャスティングと言えるだろう。


ライター:古澤椋子
ドラマや映画コラム、インタビュー、イベントレポートなどを執筆するライター。ドラマ・映画・アニメ・漫画とともに育つ。
X(旧Twitter):@k_ar0202