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父の遺産を相続→年3.5万円の手数料が引かれる“ぼったくり投信”で…その後、子を襲った“想定外の大誤算”【お金のプロは見た】

  • 2026.3.3
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写真:photoAC(イメージ)

高齢の親がいる方は、「資産状況」を確認してあげましょう。

たとえばネット証券を活用すれば手数料負担を抑えて優良な金融商品を購入できますが、高齢者は「インターネットが苦手」という理由で敬遠している方も多く、銀行や対面型の証券会社の営業マンから直接金融商品を購入し高い手数料を支払っているケースもあるでしょう。

そこで今回は、これまでFPとしてさまざまなご家庭でお金の相談を受けてきた筆者が、高齢者が営業マンから“地雷商品”を買わされていたケースを紹介します。

「毎月分配型投資信託」の落とし穴

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写真:photoAC(イメージ)

父親が亡くなり相続が発生し、遺産分割協議が無事に整ったAさん(仮名)。

Aさんは父親が運用していた投資信託を相続することになり「このまま運用し続けるべきか、売却して現金化したほうがよいか」で悩んでいました。

Aさんの父親が運用していた投資信託を確認させてもらうと、大半を占めていたのは手数料が高いかつハイリスクのアクティブファンドや、毎月分配型の投資信託でした

毎月分配型の投資信託とは、1ヵ月ごとに決算を行い購入者に毎月分配金を支払う投資信託です。「運用成果を毎月受け取りたい」というニーズに合っているものの、残念ながら毎月分配型投資信託の中に、優良な商品はほとんどありません。手数料が高いうえに、分配金は投資信託の純資産から支払われる(基準価額が下がる)ため、運用効率が悪いのです。

口座を開設している証券会社は対面営業型の会社で、おそらくAさんの父親は、証券会社の営業マンに勧められるがままに購入した可能性が高いでしょう。

筆者はAさんに「速やかに現金化して、Aさん自身で運用商品を選び直してください」と伝えました。Aさんに理由を尋ねられたため、筆者は「長期保有に適さないから」「手数料が高いから」「もっとまともな金融商品があるから」といった理由も伝えました。 

特に、毎月分配型の投資信託は購入手数料が1.5%、保有している期間中に発生する信託報酬が年率2%以上もする商品でした。

つまり、この商品を100万円分購入すると、購入した瞬間に1万5,000円分の購入手数料が取られ、毎年2万円の信託報酬の合計3万5000円を保有するだけで支払うことになります。

「年金の上乗せとなる安定的なインカムを得られる」「偶数月には公的年金、奇数月に投資信託から分配金を受け取れば、毎月収入を得られる」などのセールストークを受けたのでしょう。

しかし、毎月分配型の投資信託は一般的に手数料が高く、分配金を支払うごとに基準価格が減るため運用効率が悪くなります。これらの理由も含めてAさんに伝えたところ、「もっと早く父親の資産状況を把握しておくべきだった」と後悔していました。

昨今は購入時手数料が無料の「ノーロード」で、信託報酬も0.1%未満に抑えられる商品が増えている中で、Aさんの父親が保有していた商品は、いわば「ぼったくり」の商品といえるでしょう。

高齢の親がいる方は親の資産状況をチェック

高齢の親がおり、資産運用をしている場合は、どのような商品を購入しているのかチェックしてあげてください。 

一般的に、毎月分配型の投資信託やアクティブファンドは手数料が高いため、おすすめしません。もし親の証券口座に「営業を受けて買った」という商品があれば、事情を説明して解約を進めるとよいでしょう。 

モラルに欠ける金融機関の営業マンは、ノルマ達成を最優先に考え、顧客ではなく自分本位の提案をしてきます。そして残念ながら、この手の営業マンは私の知る限りどの金融機関にも存在します。

もし親が開設している証券口座が対面営業型の証券会社の場合、子がネット証券の口座開設を手伝ってあげましょう。ネット証券では営業を受けるリスクがほとんどないため、地雷商品を提案されるリスクを軽減できます。

あわせて、親に対して安易に金融機関の窓口へ行かないこと、営業を受けても無視することを伝えましょう。営業を受けた商品は「顧客のためになる商品」ではなく「営業マンが売りたい=金融機関側が儲かる商品」である可能性が高いためです。

特に高齢者で、かつ金融リテラシーが高いとはいえない方は、営業マンのカモになってしまう恐れがあります。

親から「何を買えばよいのか」と聞かれたら、「オルカン」の愛称で人気の「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を選ぶとよいでしょう。

一般的に高齢期になるとリスクが大きい株式への投資は控えるべき、とされています。しかし、投資する金額を抑えて預貯金の保有割合を増やせばリスクコントロールは可能です。

「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は信託報酬が年率0.05775%以内と、トップクラスに低コストです。Aさんの父親が買わされていた商品と比較すると、雲泥の差です。

両親の資産は、相続の発生に伴って自分が承継する可能性があります。つまり、親がゴミ金融商品を買わされていると、相続が発生したときに損をするのは自分なのです。 

高齢の親がいる家族では、親の資産状況や運用商品について確認することが大切です。年末年始やお盆など、親族が集まりやすいタイミングで話すとよいかもしれません。

まとめ

高齢の親がいる場合、子が資産を守ってあげましょう。証券口座を保有している場合は運用している商品を確認し、「なぜ買ったのか」「営業を受けたのか」を確認してみてください。

自分の意思で購入したわけではない商品に関しては、ゴミ金融商品である可能性が考えられます。無駄な手数料を払い続ける事態を防ぐためにも、親子で金融リテラシーを高める意義は大きいはずです。


ライター:柴田充輝

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。 FP1級と社会保険労務士資格を活かして多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。

※本記事の内容はライター自身が体験したエピソードをもとに構成されており、すべてに当てはまるものではありません。また、本記事に掲載されている内容は、あくまで情報提供を目的とするものであり投資行為等の勧誘や、投資による利益を保証するものではありません。最終的な投資判断はご自身で下していただくよう、お願いいたします。