1. トップ
  2. エピソード
  3. 「燃えるゴミの日に、缶まで入れて」隣の区から捨てに来た男性。だが、残された袋から見えた住所

「燃えるゴミの日に、缶まで入れて」隣の区から捨てに来た男性。だが、残された袋から見えた住所

  • 2026.10.8

夜の集積所に止まった車

私の家は道路に面していて、数歩先に町内のゴミ集積所があります。

ゴミは収集日の朝に出す決まりで、翌日は燃えるゴミの日でした。

その夜、仕事から歩いて帰ってくると、集積所の前に見慣れない車が止まりました。

降りてきた40代くらいの男性が、後ろの座席からゴミ袋を取り出しています。

袋の中には、ペットボトルや空き缶が透けて見えました。

気になって、私は声をかけました。

「すみません。収集は明日の朝ですよ。それに、分別の決まりもあって…」

男性はそのまま袋をネットの端へ押し込みました。

「ゴミ袋なんか、どこの集積所に出しても同じだろ」

近所では見たことのない顔でした。

「この辺りの方ですか?」

すると男性は初めてこちらを向き、面倒そうな顔をしました。

「関係ないだろ。こっちは朝が早いんだよ」

「でも、ここは町内の集積所なので…」

私が言い終わる前に、男性は運転席へ戻りました。ドアが閉まり、車はそのまま走り去っていきます。

私は何もできないまま、残された袋を見つめていました。

残された袋から見えた住所

翌朝、集積所へ行くと、あの袋だけが回収されずに残っていました。

回収できないことを知らせる紙が貼られ、カラスがつついた穴から容器や空き缶が道に散らばっています。

そこにいたのは、その週のゴミ当番をしていた地主のおじいさんでした。町にアパートをいくつも持っている人です。

私も一緒に散らばったゴミを拾いながら、昨夜のことを話しました。

「ゆうべ、車で来た男性が置いていったんです」

おじいさんは袋の中を見て、困ったように息をつきました。

「ひどいもんだな。燃えるゴミの日に、缶まで入れて」

袋を持ち上げようとしたとき、おじいさんの手が止まりました。袋の内側に封筒が張りついていて、外から住所と名前が読めたのです。

住所は、隣の区にあるアパートでした。

おじいさんは住所を見て、「このアパートの持ち主とは古い知り合いなんだ」と言いました。

そして、その日のうちに袋をアパートの所有者へ届けたそうです。

数日後に聞いた、袋のその後

数日後、集積所でおじいさんに会うと、その後のことを教えてくれました。

アパートの所有者は名前から住人を確認し、あの袋を男性の部屋の玄関に置いたそうです。そこには、「次に同じことがあれば、契約のことも含めて話をします」という注意の紙も1枚添えられていました。

「袋は、ちゃんと本人のところへ帰ったよ。わざわざよその区まで捨てに来て、名前の入った封筒を残していたんだからな」

さらにアパートの所有者から聞いた話では、男性は玄関で袋と紙を見つけて青くなり、その日のうちに訪ねてきて、何度も頭を下げたそうです。

それ以来、夜の集積所にあの車が止まることはありませんでした。

あの夜は何を言っても聞いてもらえませんでしたが、置いていった一袋が、結局そのまま本人のところへ戻ることになったのでした。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ