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「家に帰れますか?」数日おきに“何度も質問”をする90歳患者の家族…→直後、放った一言に看護師「考えさせられた」

  • 2026.10.29
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは、病棟看護師もなです。

「家に帰れますか?」

医師から説明を受けていても、数日経つとまた同じ質問をされるご家族がいました。

「この前まで歩いていたんです」

そう話すご家族から、私は入院前の患者さんの様子を聞きました。デイサービスでは冗談ばかり言い、周囲の人を笑わせていたというのです。

私が関わっていたのは、90歳の患者さんでした。入院後は歩くことが難しくなり、食事も思うように摂れなくなっていました。

目の前の患者さんの状態と、ご家族が語る以前の姿。その大きな違いが、心に残りました。

「この前まで歩いていたんです」家族が語った入院前の姿

その患者さんは、自宅で倒れて入院した90歳の方でした。

入院前は自分の足で歩いて生活されていたそうです。

ところが、入院後は歩くことが難しくなり、食事もむせ込みが目立って、思うように食べられなくなってしまいました。

医師からは現在の状態や今後の見通しについて説明がありました。それでも、ご家族からは数日おきに「家に帰れますか?」と尋ねられました。

「この前まで歩いていたんです」

その言葉には、入院前の姿を知るご家族だからこその戸惑いが表れているように感じました。

さらに、食事について「クッキー食べさせていいですか?」と尋ねられたこともありました。

歩くことも、食べることも難しくなった患者さん。ご家族が知っているのは、歩いて出かけ、冗談を言って周囲を笑わせていた頃の姿です。

同じ人物でありながら、入院を境に、生活は大きく変わっていました。

繰り返される質問の奥に、何があったのか

同じ質問を何度も受けると、医療者側は「先ほども説明したのに」と感じてしまうことがあるかもしれません。

しかし、ご家族が話してくれた入院前の様子を知ると、「家に帰れますか?」という質問も、単に退院の可否を確かめる言葉としては捉えきれないように思いました。

デイサービスで冗談を言い、周囲を笑わせていた人が、今は歩くことも食べることも難しくなっている。

ご家族にとっては、以前の姿を知っているからこそ、現在の変化を簡単には受け止められなかったのかもしれません。

ご家族の本当の気持ちを、質問や言葉だけで決めつけることはできません。それでも、「この前まで歩いていたんです」という言葉からは、医療者が説明する現在の状態と、ご家族が記憶している患者さんの姿との間に、大きな隔たりがあることを感じました。

私はこの出来事を通して、患者さんの今の状態だけでなく、その人がどのような生活を送り、どんな人として周囲と関わってきたのかを知ることも大切なのだと感じました。

目の前の状態だけでは、その人のすべては分からない

看護師には、患者さんの状態を正確に伝え、安全を守る役割があります。

むせ込みがある場合、ご本人の「食べたい」という希望があっても、嚥下機能や安全性を確認せずに食事を勧めることはできません。

一方で、安全に配慮することと、本人や家族の思いに耳を傾けることは、どちらか一方を選ぶものではありません。

同じ質問が繰り返されたとき、説明を理解していないと決めつけるのではなく、何を心配しているのかを確かめます。ご家族が語る以前の生活にも耳を傾け、その人が大切にしてきたものを知ろうと寄り添います。

そうした関わりが、患者さんやご家族を理解する手がかりになるのだと思います。

デイサービスで冗談を言って周囲を笑わせていたという患者さんの姿は、ご家族の言葉を通して私が知ったものでした。

病棟で目にする姿だけが、その人のすべてではない。この当たり前のことを、私は改めて考えさせられました。

その人らしさは、目の前の姿だけでは分からない 

病気や入院によって、患者さんの生活は大きく変わることがあります。

その変化に戸惑うのは、本人だけではありません。

目の前の状態だけで判断せず、それまでの暮らしや、その人らしさにも目を向けること。

患者さんを一人の生活者として理解する姿勢を、これからも大切にしていきたいと思います。


もな|病棟看護師・看護師ライター

看護師歴7年。急性期・整形外科、地域包括ケア病棟(混合病棟)、訪問看護を経験し、現在も看護師として勤務しています。日々の看護で出会った出来事を通して、技術だけではない看護の本質や、人と向き合うことの意味を発信しています。誰かの経験が、読んだ方の明日につながる記事を目指しています。


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