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インタビュー中も息ぴったり!西畑大吾&福本莉子が明かす、『時給三〇〇円の死神』で築いた信頼とアドリブ裏話

  • 2026.10.3

西畑大吾と福本莉子がW主演を務める映画『時給三〇〇円の死神』(公開中)。藤まるの同名ライトノベル小説を映画化した本作では、未練を残したまま亡くなった人に与えられる人生の“ロスタイム”という、死の事実がなかったことになった世界で、死者がもう一度だけ日常を過ごせる最後の時間を描く。

【写真を見る】存在感に惹きつけられる…!西畑大吾&福本莉子の“死神バディ”ショット

“死神”の仕事は、死者たちの心残りに寄り添い、願いを叶える手助けをしてあの世に送り出すこと。その仕事を手伝うという不思議なアルバイトに誘われた大学生の佐倉真司(西畑)は、同級生の花森雪希(福本)と“死神バディ”を組んで、死と向き合う人々と出会うなかで成長していく物語が展開する。西畑が佐倉を、福本が花森を演じ、雇用期間は6か月、依頼内容は郵便受けに投函され、交通費はなし。そして気になる時給は…たったの300円というアルバイトで、様々な死者たちと出会っていく。

【写真を見る】存在感に惹きつけられる…!西畑大吾&福本莉子の“死神バディ”ショット 撮影/MISUMI ヘアメイク/suzawa(JOUER)(西畑)、伏屋陽子(福本) スタイリスト/小林美月(西畑)、Lim Lean Lee(福本)
【写真を見る】存在感に惹きつけられる…!西畑大吾&福本莉子の“死神バディ”ショット 撮影/MISUMI ヘアメイク/suzawa(JOUER)(西畑)、伏屋陽子(福本) スタイリスト/小林美月(西畑)、Lim Lean Lee(福本)

——本作の物語をどのように感じましたか?原作や脚本を読んだ時の感想をお聞かせください。

西畑大吾(以下、西畑)「時給三〇〇円?死神?なに?って思って(笑)。すごく気になる要素が多かったのですが、原作を読んでみたらものすごく感動してしまって。死者の残している未練は重いものだけど、その重さを和らげたり、癒やしたりする描写にはとても惹かれたし、このアルバイトを通して佐倉くんや花森さんが成長していく姿にすごく感動しました。脚本ではオリジナルティあふれる原作のよさを、いい感じで抽出してくださっている印象がありました」

福本莉子(以下、福本)「同じく時給三〇〇円の死神ってなんだろうというところから始まって、読み進めていくと2人の掛け合いが本当にコミカルでおもしろくて。ボケとツッコミのような2人の空気感がとてもかわいらしいと思いました。死を扱っているので重いテーマにはなるのですが、コメディシーンとのバランスはすごく絶妙だと思いました。いろいろな死者が出てくるのですが、それぞれ世代が違っていて。親目線であったり、子ども目線であったり。家族をテーマにしているのですごく普遍的なものでもあります。どの世代の方でも感情移入できる作品ですし、いままで読んだことがないような物語ですごく楽しめました」

西畑大吾と福本莉子のアドリブが炸裂!2人のコミカルな掛け合いにも注目 [c]2026藤まる/双葉社・「時給三〇〇円の死神」製作委員会
西畑大吾と福本莉子のアドリブが炸裂!2人のコミカルな掛け合いにも注目 [c]2026藤まる/双葉社・「時給三〇〇円の死神」製作委員会

——佐倉、花森、それぞれが演じたキャラクターの印象についてもお聞かせください。

福本「花森さんは友達もいるけれど、1人でふっと消えてしまいそうな儚さがあります。でも行動力はある。私も1人でフラッとどこかに行ったりするタイプなので、そういうところは似ている気がしました」

西畑「受け身なところは似ています。佐倉くんと花森さんの関係って、先に花森さんが話しかけて佐倉くんが答えるという形。特に最初のほうは受け身の姿勢でいることが多くて。僕も基本的に自分からなにか行動を起こすということがあまりないし。相談とかもするよりされることのほうが圧倒的に多いので…」

——では悩みは自分で解決するタイプですか?

西畑「自己完結しちゃいますね。佐倉くんと似ているところは結構あると思います、ちょっと暗いところとかも(笑)」

雨が降る交差点のシーンは、細部にまでこだわった映像演出が施されている [c]2026藤まる/双葉社・「時給三〇〇円の死神」製作委員会
雨が降る交差点のシーンは、細部にまでこだわった映像演出が施されている [c]2026藤まる/双葉社・「時給三〇〇円の死神」製作委員会

——お2人は映画初共演でW主演を務めていらっしゃいますが、2人の掛け合いがものすごくおもしろく、アドリブも飛び出す楽しい現場だったと伺っています。お互いの印象についてお聞かせください。

西畑「アドリブシーン、多かったですね」

福本「撮影の序盤に結構多かった気がします」

——序盤から自然に?

西畑「自然に、でしたね。最初はあのシーンじゃない?」

福本「『天ぷらの“ぷら”ってなに?』というセリフがあるのですが、それは原作にもあるフレーズなので、アドリブではないのですが。そこから派生して例えば『目玉焼きになにかける派?』みたいなテーマを花森さんが佐倉くんにどんどん投げかけていくようなシーンは自然にアドリブになっていきました」

西畑「僕はどちらかというと受け身。福本さんは大変やったと思います(笑)。花森さんは天真爛漫ですごく明るいけれど、その明るさの理由というのが解き明かされていくなかでの切り替えや集中力は本当にすばらしくて。なんかもう…オーラを放っていましたね。それを見てかっこいいと思っていました」

福本「佐倉くんは花森さんから最初はめっちゃ暗い人だと思われています。でも、ツッコミもしてくれるし、2人がだんだん打ち解けていって、最終的にはいいバディになる。その2人の関係性を作っていくなかで、西畑さんの持っているやさしさが佐倉くんにも通じているように感じて。どっしり構えていらっしゃるから、なんでも受け入れてくれる。そういう懐の広さはお芝居をしていてもとても助けられたし、頼りたくなると思いました」

——福本さんがアドリブをバンバン投げられたのは、西畑さんの安心感があったからこそだと。

福本「まさにそうです。なんでも返してくれるし、花森さんを演じていても、この人だったら話してもいいかも…と思えるような佐倉くんのキャラクター像を西畑さんが作ってくださっていたので、すごくありがたかったです」

西畑「こちらこそです!」

「2人の掛け合いがコミカルなシーンはすごく好き」(西畑)

「愛すべき時間や尊い物事が鮮度や彩度を上げてくれる。なにごとにも感謝しようと改めて思った」 撮影/MISUMI ヘアメイク/suzawa(JOUER) スタイリスト/小林美月
「愛すべき時間や尊い物事が鮮度や彩度を上げてくれる。なにごとにも感謝しようと改めて思った」 撮影/MISUMI ヘアメイク/suzawa(JOUER) スタイリスト/小林美月

——西畑さんはご自身が受け身タイプとおっしゃっていましたが、酒井監督からのコメントには、座長として常に撮影現場を引っ張ってくれたとのコメントがありました。

西畑「引っ張った記憶はないけれど…。でも酒井監督が作り出してくれた現場の空気や、作品へのこだわりや愛に僕たちもついていこうという想いはありました。座長らしいことといえば、差し入れしたことくらいかな。みんな喜んでくれるから、気持ちよくなって(笑)」

福本「宇都宮の餃子の差し入れはテンションが上がりました。私、撮影中に1パック、食べました。ごちそうさまでした!」

西畑「ロケで宇都宮に行ったので、お昼ご飯に大量に差し入れました」

不幸続きの人生に絶望している大学生の佐倉真司(西畑大吾) [c]2026藤まる/双葉社・「時給三〇〇円の死神」製作委員会
不幸続きの人生に絶望している大学生の佐倉真司(西畑大吾) [c]2026藤まる/双葉社・「時給三〇〇円の死神」製作委員会

——西畑さんのコメントに「酒井監督が撮る綺麗な映像が好き」とありましたが、お2人のお気に入りシーンをお聞かせください。

西畑「お気に入りはたくさんあるけれど、やっぱり死というものを題材にしているからこそ“シリアル”な…」

福本「おいしいですよね(笑)。大丈夫ですか?さっきからお腹が空いているようですが…」

西畑「さっきからずっとお腹がグーグー鳴っていて(笑)」

福本「本当にずっと、グーグー (笑)」

西畑「シリアルちょっと買ってきてもらおうかな…ってまたボケとツッコミがはじまりそうなんで危険です(笑)。シリアス!です。シリアスなシーンはすごく多いけれど、そんななかでもクスッと笑えて癒しとなるようなシーンがあります。僕が好きなのは2人が浮気調査をしているところ。尾行のシーンとかも結構アドリブです」

福本「用意されていた穴が開けてある新聞紙を使って、ノリノリで覗いてみたりとか」

西畑「そういったシーンで佐倉くんと花森さんの関係性も垣間見えたりするので、やっぱり2人の掛け合いがコミカルなシーンはすごく好きです」

佐倉を死神バイトに勧誘する、不思議な雰囲気をまとった同級生の花森雪希(福本莉子) [c]2026藤まる/双葉社・「時給三〇〇円の死神」製作委員会
佐倉を死神バイトに勧誘する、不思議な雰囲気をまとった同級生の花森雪希(福本莉子) [c]2026藤まる/双葉社・「時給三〇〇円の死神」製作委員会

福本「私は最初の出会いのシーンが好きかもしれないです。2人が出会うシーンは雨を降らして撮影したのですが、見たことのない大きさの雨降らしの機材があって」

西畑「デカクレーン!」

福本「そう!デカクレーンで交差点を封鎖して撮影したのですが、CGもあるシーンだから実際にどういう映像になるのかすごく気になっていて。出来上がった映像は実写なのにアニメみたいな美しさ、ファンタジー感があって。現実とファンタジーの融合がすごくいいバランスで冒頭から引き込まれるシーンになっています」

西畑「僕はまた尾行する場面の話になるけれど、浮気調査でホテルの中に入るシーンで、螺旋階段を使った撮影がすごく印象に残っていて。熱烈なキスをしている2人を螺旋階段の下から見るという構図。なかなか見る機会のない角度だったし、あと…」

福本「それ以上いくと、ネタバレしちゃいそうだから」

“死神バイト”を通して、死者たちと出会い、成長していく男女を描いた物語 [c]2026藤まる/双葉社・「時給三〇〇円の死神」製作委員会
“死神バイト”を通して、死者たちと出会い、成長していく男女を描いた物語 [c]2026藤まる/双葉社・「時給三〇〇円の死神」製作委員会

——お気遣い、ありがとうございます(笑)。いろいろなロケ地に行って撮影したと伺っています。

福本「桜の木の撮影がすごく印象に残っています。餃子を差し入れてもらった宇都宮でのロケです。公園で撮影したのですが、そのシーンのためだけに宇都宮まで行って。本当に綺麗な桜で、ちょうど桜の木の下に湖があって、満開の桜が反射して見える。桜が綺麗な場所はほかの作品でもよく行きますが、なかでも印象に残る場所だと思いました。1週間で2回訪れたことも思い出に残っている理由だと思います。どうしてももう一度撮りたくて、2回目はリトライのために足を運びました」

「みんな様々な気持ちを抱えながら生きているんだなって思うと、ちょっと世界にやさしくなれる」(福本)

切なすぎる感涙小説と話題!藤まるによる同名小説を、酒井麻衣監督が実写映画化 [c]2026藤まる/双葉社・「時給三〇〇円の死神」製作委員会
切なすぎる感涙小説と話題!藤まるによる同名小説を、酒井麻衣監督が実写映画化 [c]2026藤まる/双葉社・「時給三〇〇円の死神」製作委員会

——佐倉と花森は徐々に関係性が変化していきますが、お2人は最初から自然といまのようなノリだったとも伺っています。

西畑「関西人が多くて、最初から関西弁祭りだったので、読み合わせの時とかイントネーションが関西弁になってしまうことが多くて。『なんかいまの関西やったよな』みたいにツッコミを入れたりすることもよくありましたが、やっぱり現場で関西弁が聞けると、安心感はありますね。福本さんがよく好きな映画の話をしてくれたのですが、ちょうど観たくなるところで話を終えるんです。え?その先は?みたいな。そういう時、やっぱ、話上手いな〜と思っていました」

福本「私がおすすめした映画を撮影中に『観たよ!』って。すごくまめな方だと思ったし、おすすめした映画を実際に観て、感想まで話してくれたことがすごくうれしかったです」

死神のアルバイトによって、佐倉の人生が動き始める [c]2026藤まる/双葉社・「時給三〇〇円の死神」製作委員会
死神のアルバイトによって、佐倉の人生が動き始める [c]2026藤まる/双葉社・「時給三〇〇円の死神」製作委員会

——ちなみに酒井監督とはどのようなお話をして、キャラクターを作り上げたのでしょうか。

西畑「僕は結構『抑えて!』と言われることが多くて。福本さんが演じる花森さんがすばらしくて、感動して涙が自然と出てしまうこともあったんです。このシーンではそこまで泣いちゃダメってことで、『抑えて!』というリクエストはありました」

福本「本読みの時に監督と2人きりで話したことがすごく印象に残っています。現場に入ってからも、花森さんのアドリブなどを動きながら考えたりとか、大事なシーンの前に2人で話す時間をいただけたりとか、すごく親身になってくださる監督でした。役作りをする時って孤独だと思うことが多いのですが、今回は監督がいたことが心強くて。二人三脚と感じるくらいにサポートしてくださったのが印象的でした」

「悩みやトラウマ、人には言えない想いや気持ちがあってもいいと温かく包みこんでくれる作品」 撮影/MISUMI ヘアメイク/伏屋陽子 スタイリスト/Lim Lean Lee
「悩みやトラウマ、人には言えない想いや気持ちがあってもいいと温かく包みこんでくれる作品」 撮影/MISUMI ヘアメイク/伏屋陽子 スタイリスト/Lim Lean Lee

——酒井監督からのコメントに、福本さんには様々な挑戦をしてもらったとありましたが、福本さん自身が挑戦したと感じていることを教えてください。

福本「この役自体がすごく挑戦でした。監督と2人で話した時に、普段の感じがいい、そこになるだけ近づけたいと言われて。でも、セリフを言うとどうしても綺麗になりすぎたり、単調に見えるところもある。そういうところにどう変化をつけていくのかがすごく自分の中で挑戦でした」

——お芝居だけど普段の福本さんに近づけるアプローチ。新鮮ですね。

福本「普通の喋りの感じがいいけれど、小悪魔みたいなかわいさも、シリアスな表現もしなければいけない。そのバランスの取り方みたいなところは、かなり難しかったけれど、新しい挑戦ができてよかったです」

映画『時給三〇〇円の死神』は公開中! [c]2026藤まる/双葉社・「時給三〇〇円の死神」製作委員会
映画『時給三〇〇円の死神』は公開中! [c]2026藤まる/双葉社・「時給三〇〇円の死神」製作委員会

——お2人が本作から受け取ったメッセージ、本作を通して考えたことを教えてください。

西畑「いま生きているこの時間もそうですが、当たり前のように思っているものも当たり前じゃないということ。その儚さやすばらしさのようなものを受け取っていただける作品になっていると思います。愛すべき時間や尊い物事が鮮度や彩度を上げてくれるような。なにごとにも感謝しようと改めて思うようになりました。人に対して大きな愛を、大きな感謝をと心掛けたいと思っています」

福本「誰しも生きているうちは悩みやトラウマ、人には言えない想いがありながらも懸命に生きていると思います。この映画はそういう気持ちがあってもいいと温かく包みこんでくれる、寄り添ってくれる作品だと思いました。この作品を観たらすごくやさしい気持ちになれると思います。人の気持ちって外からは見えないけれど、みんながそういう気持ちを抱えながら生きているんだなって思うと、ちょっと世界にやさしくなれるというか。そういう思いがつながっていくと花森さんが目指している世界平和へとつながるんじゃないかなと思います」

取材・文/タナカシノブ

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