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「韓国ドラマ俳優の見分けがつかない」は認知機能低下の証拠? もの忘れや注意力低下に脳トレで対策を『川畑式脳トレ』【インタビュー】

  • 2026.10.23
 『川畑式いきいき脳トレテスト』 (川畑智 / 自由国民社)
『川畑式いきいき脳トレテスト』 (川畑智 / 自由国民社)

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「もの忘れが増えてきた」「単語が出てこない」などの悩みは加齢に伴って誰にでも出てくるというが、症状が進むにつれて「認知症になるのでは…」という不安が強くなる。さらには「もう以前の自分とは違う」と自信を失いがちだ。

それなら、認知機能の低下をゆるやかにするような脳トレを試してみてはいかがだろうか。認知症ケアの第一人者、理学療法士・川畑智さんによる脳トレドリル『川畑式いきいき脳トレテスト』(自由国民社)なら、楽しみながら、のんびりと、自分の生活を支えるための脳トレを実践できそうだ。

川畑さんへのインタビューでは、川畑式脳トレを試した人の実例や活用法のほか、認知機能が心配な家族に取り組んでもらう場合のアドバイスなどを聞いた。

●川畑式脳トレはどんな人に役立つ?

——以前考案した「川畑式パズル」は厚生労働大臣賞優秀賞を受賞、そして本書で紹介されている脳トレはご自身が運営する「脳いきいき教室」で実際に使われているものです。どんな人が使うと良さそうですか?

川畑智さん(以下、川畑):もの忘れなどが気になる方から、認知症の診断がある方まで、広く使っていただけます。

——「認知機能低下のサイン」についても紹介されていました。自分の状態を知っておくと、認知症の対策がスムーズにできるそうですね。

川畑:もの忘れなどが気になる人は、本書にあるセルフチェックを試してみてください。20代や30代のときと比べるのがポイントです。もの忘れでいえば、同僚や友人の名前がスッと思い出せないのは誰にでもあること。年齢相応になってきている合図で、この状態をSCDといいます。

【主観的認知機能低下(SCD)】

・今、やろうとしたことを忘れる

・身近な知り合いの名前を思い出せない

・買ったことを忘れて、同じものを買ってしまう

・表現したい言葉がすぐに出てこない

・相手に話を聞き返すことが増えた…など

【もの忘れが多い(健忘型 MCI)】

・覚えにくい

・覚え続けにくい

・不要な情報を忘れられない

【注意・集中力の低下(非健忘型 MCI)】

・熟練した家事の失敗

・仕事や作業の失敗

・同時処理が苦手

川畑:その次の段階として、周りの人たちが変化に気づきやすくなるのがMCIです。もの忘れをする健忘型、注意・集中力が低下する非健忘型の2つに分かれます。たとえば、韓国映画に出ている人たちの顔の見分けがつかなくて、2週間かけてやっとわかってくるのは健忘型。簡単な料理はできるけど、小難しい料理が面倒になるのが非健忘型。自己判断は難しいので、気になる場合はもの忘れ外来などに相談するのもいいですね。

●記憶・計算・空間・視覚。4つの力を鍛える

——本書で実践できる「ペンシルパズルプログラム」の特徴を教えていただけますか?

川畑:パズルなどの道具を使わなくても鉛筆だけあれば気軽にでき、家族や仲間と一緒に解きやすいのが特徴ですね。ポイントは「短期記憶力」「計算処理力」「空間認識力」「視覚処理力」の4つのメニューに分かれているところです。

——うっかり忘れを減らす「記憶力」を鍛える「線引き」のテストなど、さまざまなトレーニングがありますね。苦手だと感じるものほど、積極的に取り組んだほうがいいですか?

川畑:この脳トレで活用してほしいのは生活対策です。「記憶」は苦手だけど「計算」はできる。だったら、お金の支払いが苦手にならないように「計算」をがんばろうねっていうふうにチャレンジするといいですよ。一章から始めなくてもいいので、サクサクと解けるものから試してみてください。苦手と感じるものは誰かと一緒に解いてみるのもいいですね。

——問題を解いているときに4つの言葉が出てくることが、上手に取り組めている目安だそうですね。このキーワードにはどのような意味がありますか?

【大切なキーワード】

「うんうん」=はじめからわかっていたとき

「あーあー」=途中から理解が深まったとき

「そうそう」=順調に解いているとき

「はいはい」=すべてを理解したとき

川畑:難しくて頭を抱えながら解いていたら、こういう言葉は出てこないはずですよね。だから、この4つのキーワードが出てきたら楽しめている証拠。不安の解消や、自信の回復ができている状態です。

人って、できたときに笑うんです。ただ、5歳くらいの子どもが1日に300回から400回笑うのに対して、70歳の人たちが笑うのは1日2回程度。笑わないと鬱になりやすいんですよ。問題を解いて笑ってもらえたら、鬱予防にもなると思います。

——笑うという行為が脳にいいのでしょうか。

川畑:面白い、楽しいといった喜怒哀楽が鬱予防になります。さらに、感情は記憶と結びつきます。たとえば、初めて付き合った恋人のことをしっかりと覚えているのは、それだけ感情を揺さぶられたから。朝ごはん何食べましたか? って言われても、そんなに心揺さぶる朝食ってないですよね(笑)。感動するほど美味しかった朝食なら覚えているでしょう。本来、記憶力を上げるには相当の手間がかかるもの。上手に記憶力を上げるためにも、面白い、楽しいといった環境の中で脳トレをするのがいちばんです。

●脳トレによるコミュニケーションが認知症を防ぐ

——数多くある脳トレ本の中でも、誰かと一緒に解けるのが特徴と言えそうです。

川畑:料理でも、美味しいって反応する人がいると作った甲斐があるじゃないですか。この本も、できたときに褒めてくれる人がいるほうがいいです。サポートする側は答えを言わないで、「途中で足してみたら?」「こうしてみたら?」などのヒントを言います。そして必ず本人に解いてもらう。そうすると本人の不安の解消、自信の回復につながりますよ。

——自分のために買った人はどのように活用するのがおすすめですか?

川畑:やっぱり誰かと一緒に解いてほしいです。歳を重ねると同級生の友だちはどんどん減っていきますが、仲間は増やせるんですよね。目的なく集まれるのが友だちですが、目的があって何かをするのが仲間。仲間と一緒にがんばれば、笑顔も増えていくはずです。

——仲間を増やすことでも、認知機能の低下を遅らせることにつながりそうですね。

川畑:そうですね。認知症対策は、再生医療などによる進行の予防と、孤立化の予防、この両輪が大事だと言われています。もの忘れなどで自信を失うと閉じこもりやすいので、それを避けるために、コミュニケーションツールとしても本書を活用してほしいですね。

●認知症の家族を支える人たちにアドバイス

——認知機能が心配な家族に本書を手渡したい人もいると思います。もし本人が「そんなのは必要ない」と嫌がったら、どんな声がけをするのがいいでしょうか。

川畑:「もの忘れが多くなったでしょ」って言われると、それを認めたくない人もいると思うので、「面白そうな本を見つけたから一緒にやってみない?」と言って2冊買い、一緒に解くのがいいと思うんです。「私、覚えるのが苦手になってきたから」と自分のせいにしてもいいと思います。

——『マンガでわかる!認知症の人が見てる世界』(文響社)などの著書も好評です。認知機能が低下したご家族との関わり方について、アドバイスをいただけたら。

川畑:本人もご家族も、無理しないでいいですよっていうことですね。ワンオペは無理なので、サポートを得ていきましょう。一度にがんばろうとせず、ゆっくり、ひとつずつでいいです。「私がするから座ってて」ではなく、寄り添って一緒にできるといいですね。この本もそうですが、大事なのはコミュニケーションです。

取材・文=吉田あき

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