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世界に残された人間はたったの10人…絶滅危惧種の少女と彼女に恋してしまったキメラ族の少年が紡ぐ、切なくも美しいファンタジー【書評】

  • 2026.10.1

【漫画】本編を読む

『リストルージュ』(灯晴ほく/秋田書店)は、人間が絶滅危惧種となり、保護される世界を舞台にした異色のファンタジーである。「人間が守られる側になったら」という大胆な発想の先で描かれるのは、種族を超えて芽生える優しさと恋心だ。

この世界に残された人間は、わずか10人。かつて人間を主食としていたキメラ族は、人類が絶滅しないよう保護する立場へと変わっていた。キメラ族の少年・ミラも、人間の少女・カレンの世話係を任されることになる。当初は「保護対象」として接していたミラだったが、一緒に過ごす時間が増えるにつれ、カレンをひとりの少女として大切に思うようになっていく。しかし、人間を絶滅から救うため、カレンに結婚話が持ち上がってしまうのだった。

人間という希少な存在をめぐって周囲の思惑が交錯する一方で、ミラとカレンの心の距離はだんだんと近づいていく。しかし現実は無常だ。結婚式は刻一刻と迫り、ミラの心は世話係としての立場と恋心の間で大きく揺れ動いていく。ふたりの穏やかな時間があるからこそ、ふたりに立ちはだかる現実が、より切なく胸に迫ってくるだろう。そしてついに訪れた結婚式当日、ミラが下す決断とは——。

もともとは「食べる側」と「食べられる側」という対等ではないキメラと人間の関係。普通なら共存などあり得ないはずのふたつの種族が、日々をともに過ごし、相手を知っていくことで、キメラ族の価値観も少しずつ変わっていく。その姿を通して「命を守るとは何か」「種族を超えて理解し合うことはできるのか」といったテーマを読み手に問いかけてくる。そんな複雑な感情が生き生きと力強いタッチで描かれているのも惹きつけられる大きなポイントだ。

そして2026年9月15日発売の第5巻では、カレンの結婚式の日を境に物語は大きく動き、数年後を舞台にした新たな展開に突入する。唯一無二の世界観の中で描かれる切なくも美しい物語から目が離せなくなるだろう。

文=馬風亭ゑりん

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