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『恋空』『パパムス』『逃げ恥』…引っ張りだこの【国民的女優】19年前、「できれば30歳になる前に」と語った結婚の“答え合わせ”

  • 2026.10.23
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2007年10月、映画『恋空』の試写会で舞台あいさつする新垣結衣(C)SANKEI

19年前の2007年10月、主演映画『恋空』の女子高生限定試写会のステージに、新垣結衣の姿があった。客席に集まったのは、100人の女子高生たち。同世代のリアルな恋愛模様にひとしきり耳を傾けたあと、話題が結婚に及ぶと、新垣は「できれば30歳になる前に」と答えた。

理想の結婚については、とびっきりの笑顔で「お互いにやりたい事をやって、心は離れないというのは素敵です」と打ち明けている。

この年の春に高校を卒業した、19歳の言葉だった。彼女が思い描いていたのは、それぞれが好きなことに打ち込みながらも、心は離れない二人だった。

その9年後、新垣はドラマで「仕事としての結婚」をする女性を演じ、さらに5年後、その相手役と結婚する。いま振り返ると、19歳の試写会で彼女が口にした素朴な言葉は、その後に歩んだ道と並べて読みたくなる。

制服が着たいと懐かしがった等身大の19歳

試写会の会場では、集まった女子高生の大多数が「彼氏にリードしてほしい」と答えていた。会場の声を聞いた新垣も、優柔不断な自分もリードしてほしいと共感した。「彼氏がいても他の男性が気になる」という際どい意見にも、わからなくもない、自分もなかったと言えば嘘になると、飾らない本音を漏らしている。

中学から高校1、2年のころは20歳までに結婚したいと思っていた時期もあったが、それは延ばしたとも明かしている。

客席の女子高生たちをうらやましがった新垣は、「ちょっと制服が着たいと思いました」と高校生活を懐かしんだ。ステージには、共演の三浦春馬と今井夏木監督も登壇していた。

「涙待ち」の果てに見つけた幸せを伝えること

2007年の新垣結衣は、出演作が次々に世に出る怒濤の渦中にいた。TBS系ドラマ『パパとムスメの7日間』では、舘ひろし演じる父親と人格が入れ替わってしまう高校2年生の小梅を演じた。中身が父親になった女子高生を自然体で見せ、19歳の演技力は注目を集めた。

そして試写会のわずか5日後に封切られた映画『恋空』は、興行収入39億円の大ヒットとなった。新垣が演じた主人公の美嘉は、どんな逆境に置かれても人を愛する心を失わない役で、号泣する場面も話題になった。年が明けると新人賞が次々に続き、2008年2月の日本アカデミー賞の授賞式で、彼女は撮影の日々を振り返っている。

まったく経験のないことばかりで、精神的にも肉体的にもつらかった。泣く芝居はいちばん力を使い、本当の涙が出るのを待つ「涙待ち」もあった。だが、作品を駆け抜けた彼女が得たものは大きかった。

新垣は、この作品の撮影が終わってから、本当に幸せな気持ちは相手にきちんと伝えていこうと感じた。試写会で心は離れない関係への憧れを語ってから、わずか3か月あまり後の言葉だ。過酷な現場を乗り越えて一歩大人へと近づいた実感が、こもっているように思う。

契約結婚を提案するヒロインと9年越しの制服

2016年10月、新垣はTBS系ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』で主人公の森山みくりを演じた。職も恋人もないみくりが、恋愛経験のない独身サラリーマン・津崎平匡(星野源)に持ちかけたのは、雇用主と従業員という関係に基づいた「仕事としての結婚」だった。家事に給料が支払われる、不思議な契約結婚。星野が書き下ろした主題歌『恋』とともに、「恋ダンス」も大きな話題を呼んだ。

19歳の試写会で、優柔不断だからリードしてほしいと話していた少女は、28歳を迎え、自分から結婚のあり方を提案する大人の女性を演じた。もちろん役柄と本人は別物だが、そのコントラストには、彼女自身の確かな成熟が重なって見える。

また、この作品にはひとつの美しい巡り合わせがあった。第6話の妄想シーンで、新垣は『パパとムスメの7日間』の制服をもう一度身にまとった。奇しくも、『パパムス』でカメラを回していたチーフカメラマンと、『逃げ恥』のチーフカメラマンは同一人物だった。同じ姿を同じカメラマンに撮ってもらい、新垣は時の流れを感じてむずがゆい気持ちになりながら、その再会をとても喜んだ。かつて試写会で制服を着たいと懐かしんでいた19歳の願いは、9年の歳月を経て、思わぬ形で叶った。

2021年1月2日には、新春スペシャルが放送された。契約結婚から本当のパートナーとなったみくりと平匡が、妊娠をきっかけに正式に籍を入れ、出産や育児という現実の壁に向き合っていく物語だ。

「お互い」の重心が動いた春

そのスペシャルドラマの放送から4か月あまり後、2021年5月19日に、新垣結衣と星野源は結婚を発表した。所属事務所を通じて出された連名の文書には、「これからも互いに支え合い豊かな時間を積み重ねていけたら」と記されていた。

「お互い」という言葉は、14年前のあの試写会で新垣が使った言葉でもあった。

19歳の新垣が語ったのは、お互いにやりたいことをやって、それでも心は離れないという、自立と適度な距離感を重んじる理想だった。結婚を知らせる文書に記されたのは、互いに支え合い、豊かな時間を積み重ねていくという、寄り添いと生活の実感だった。同じ言葉を用いながらも、その重心は少し動いて見える。

連名の文書の結びには、「未熟な二人ではございますが、温かく見守っていただけますと幸いです」とあった。


※記事は執筆時点の情報です

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