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かつて“エビ売れ”で一世を風靡した国民的モデル。20年後、SNSに「おかえり」の声…マクドナルドに帰ってきた現在

  • 2026.10.14
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2005年10月、マクドナルドのCM会見で「えびフィレオ」を手にする蛯原友里(C)SANKEI

20年前の2006年9月、マクドナルドが期間限定メニューとして打ち出したのが『焙煎ごま えびフィレオ』だった。テレビCM「和モダン」篇に起用されたのは、当時まさに社会現象の渦中にいた“エビちゃん”こと蛯原友里である。

このCMの見どころは、そのスタイリングだ。2色のソースと白ごま・黒ごまをモチーフに、エビちゃんは白と黒のバイカラーの衣装をまとっていた。全身をコテコテの和装で固めるのではなく、衣装のところどころに和のテイストを散りばめている。

ハンバーガーのソースの色を、そのままファッションとして身にまとう。食べる姿より先に、彼女の着こなしを通して商品の世界観を伝えるという、ファストフードとしてはなんとも洒落たアプローチだった。「エビちゃん」が「えびフィレオ」の顔になる、言ってしまえば他愛のないダジャレのようなこのタッグを、当の本人はどんな思いで楽しんでいたのだろうか。

「和モダン」篇に忍ばせた「えびハート」

この「和モダン」篇は、前年から大ヒットを記録していた「えびフィレオ」シリーズの続篇にあたる。隅々まで目を凝らすと、シリーズのお約束でもあった“えびハート”のデザインがさりげなく仕込まれていた。2匹のエビが向かい合ってハートの形を描く、あの可愛らしいマークだ。

CMの発表に寄せたコメントでエビちゃん自身が見どころとして挙げたのも、おとぎ話のようなメルヘンチックな世界や和のテイストが、これまでのシリーズとどう絡んでくるか、という点だった。白と黒の衣装、ほんのり香る和のフレーバー、そしてさりげなく隠されたハート。商品の味やスペックを声高に説明するより、画面の中から遊び心を見つけ出す楽しさを差し出すCMだった。

ちなみに焙煎ごまについて、彼女は「ごまは以前からすごく大好き」と明かした。当時は、1日10粒は食べようと心がけ、料理にもよく取り入れていた。

熱狂の「エビ売れ」の季節

そもそも「えびフィレオ」という商品は、エビちゃんのブレイクとともに定番メニューへと成長していった歴史を持つ。2005年10月に期間限定で初登場するやいなや、彼女を前面に押し出したキャンペーンが功を奏し、発売からわずか4週間で1,000万個を突破。その反響を受け、年が明けた1月には早くもレギュラーメニューの座を勝ち取った。

当時のエビちゃんは、まさに破竹の勢いだった。専属モデルを務めていたファッション雑誌『CanCam』で彼女が身につけた服やバッグは、売り切れや追加生産が相次ぎ、「エビ売れ」と呼ばれた。彼女が出演した日焼け止めのCMでは、CMソングのCDまでチャートの上位に入った。

同じ年の夏、夏ファッションを真似したい女性タレントを女性に聞いたアンケートでも、中高生から40代まで全世代で堂々の1位を獲得。露出を抑えた涼やかな着こなしや、白いノースリーブワンピースが似合う姿は、同性からの絶大な支持を集めていた。

白いワンピースが似合うと言われたトップモデルが、秋には白と黒の衣装でごまの香りを届ける。その年の新語・流行語大賞には「エビ売れ(エビちゃん)」がノミネートされ、年末の日本レコード大賞では司会まで務めた。2006年の日本は、雑誌を開いてもテレビをつけても、どこにでもエビちゃんがいた。

絶頂期に求めたもうワンテイク

華やかに時代を牽引する一方、彼女が自らの見せ方にどれほどこだわっていたかを物語るエピソードがある。このマクドナルドのCMに先立つ2006年8月、明治製菓「Fran」の新CMキャラクター発表会でのことだ。同じく人気モデルの相沢紗世とともに登場した彼女は、撮影の舞台裏を明かしている。

現場で監督からOKが出たあと、エビちゃんは自分からもうワンテイクを望んだ。「ちょっとかわった表情、動きを試したかった」と理由を口にし、その結果よいCMができたと手応えを語っていた。

人気絶頂のさなかにありながら、OKテイクで満足せず、さらにその先にある見せ方を貪欲に模索する。ただカメラの前に立って消費されるだけのアイコンではなく、表現者として自らの映り方を能動的に選び取ろうとしていたように見える。

「自分の分身」と20年後のハート

その後、『焙煎ごま えびフィレオ』は2007年秋に再登場し、2015年10月にはえびフィレオ発売10周年を記念して復活を遂げた。そのアニバーサリーのCMで再びカメラの前に立ったのも、やはりエビちゃんだった。

10周年に寄せたコメントの中で、彼女はえびフィレオとの始まりを振り返っている。最初に話をもらったときは、「エビちゃん」で「えびフィレオ」とは面白いシャレだと思い、ハンバーガーの発表会なのにファッションショーをしたことも、とても楽しかった思い出だと語った。

そして何より印象的だったのは、彼女がえびフィレオのことを「ちょっと自分の分身に感じていました」と表現したことだ。制作スタッフも10年前のメンバーが多く集まった撮影では、手に持ったえびフィレオを食べてもいいかと尋ね、これから撮影に使うのでダメだと断られて、本当に残念がっていた。

それからさらに歳月が流れた2026年9月、エビちゃんは再びマクドナルドの舞台へと帰ってきた。今度はテレビCMではなく、公式Instagramや公式Xのタイムラインの中だ。エビを使った期間限定のサイドメニュー「プリプリエビプリオ」の広告に登場し、再会を呼びかけた。

反響を呼んだのが、雑誌の表紙を模した公式Xのビジュアルだ。「おかえり エビちゃん復活」という大きな見出しとともに、彼女が手にしていたのは、ハート形のプリプリエビプリオだった。

20年前、白と黒の衣装のCMにさりげなく隠されていた、2匹のエビが向き合うハート。名前のシャレから始まった縁の中で、えびフィレオはいつしか「自分の分身」と呼べる相手になった。そして2026年の秋、今度は彼女自身がその手の中にハートを携えて戻ってきた。ファストフードと一人のモデルが紡いできた物語として、粋で息の長い関係ではないだろうか。


※記事は執筆時点の情報です

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