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かつて『から騒ぎ』でさんまを笑わせた美女。引退して「探偵」を宣言→いまスキンケアブランドの社長に

  • 2026.10.10
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2006年9月、DVD「Change Brid」の発売記念イベントを行った渡部いずみ(C)SANKEI

20年前の2006年9月、土曜夜のお茶の間を沸かせた日本テレビ系『恋のから騒ぎ』の12期生・渡部いずみが、ファーストDVD『Change Bird』の発売記念イベントを行った。番組を卒業して半年、彼女がファンの前に直接姿を見せるのは、この日が初めてのことだった。

明石家さんまとのやりとりで笑いをさらってきた彼女のこと、ステージでもしゃべりで客席を沸かせたのだろうと思っていた。だが、秋葉原のイベント会場で彼女がファンへの感謝として差し出したのは、一本のサックスから紡ぎ出された名曲『虹の彼方に』の音色だった。

さんまが名付けた「南米の鳥」ともうひとつの顔

渡部が『恋のから騒ぎ』に出演していたのは、2005年からの1年間。いつもカラフルな衣装だったことから、さんまに「南米の鳥」と命名された。

「もっこりもこみち」「どんだけだよ」といったギャル語を巧みに使いこなし、番組でも注目を集めるメンバーに。翌年3月の卒業後は雑誌のグラビアに進出し、公式ブログ『たまらなく挑発的』で独自の恋愛観を綴っていた。

画面越しの彼女は、どこを切ってもしゃべりの人。だがその裏には、音楽大学でサックスを学び、10年ものあいだ楽器と向き合ってきたという、知られざる顔が隠されていた。

1人でも泣くと書いた前日の不安

イベントの舞台となったのは9月18日、いまはなき秋葉原のヤマギワソフト館8階のイベントスペース。

テレビではあれほど堂々と立ち回っていた彼女だが、自分のファンと対面する前日、ブログに、お客さんがたった1人でもうれしくて泣く自信がある、と書いていた。大切な時間を自分のために使ってくれるのだから、という理由まで添えている。テレビの姿とは裏腹に、初めてのイベントを前にした彼女の胸にあったのは、来てくれる人がいるのかという心配と、足を運んでくれる人への謙虚さだった。

迎えた当日、その心配は杞憂に終わる。会場には多くのファンが駆けつけ、ステージに上がった渡部の第一声は、「みんなの顔見たらほっとしたよ」という安堵の一言だった。

水着や私服での撮影タイム、トーク、握手会、2ショットチェキと盛りだくさんのプログラム。グラビアタレントのイベントには珍しく、客席には女性ファンの姿もあった。

言葉を尽くす代わりに選んだ10年の音色

そしてこの日、渡部はサックスの生演奏も披露した。ファンへの感謝を込めて選んだナンバーは『虹の彼方に』。

『から騒ぎ』仕込みの話術なら、ありがとうの気持ちをいくらでも面白おかしく、何通りもの言葉で表現できたはずだ。それでも彼女が選んだのは、10年の歳月をかけて血肉にしてきたサックスの音色そのものだった。前日に、たった1人でも泣くとブログに書いていた彼女が、足を運んでくれたファンに捧げた、不器用なまでに誠実な恩返しだったと思う。

このサックスというアイデンティティは、その後のグラビア活動でも顔をのぞかせる。2007年12月、初写真集『イズミリズム』の発売記念イベントでは、お気に入りのショットに「手ブラにサックス」を挙げた。

さらに、さんまへの報告をどうするのか問われると、「小島よしおさん経由で渡してもらうことになりました」とニッコリ。番組を離れて1年半あまりが過ぎても、つてを探して、さんまへ届ける道を自分で開いていた。

引退と「探偵」宣言から実業家へ

しかし2008年4月、渡部は突然の転機を迎える。ブログで、所属事務所を離れ、タレント活動から引退すると発表したのだ。

テレビ東京系『やりすぎコージー』の「やりすぎガール」を務め、写真集を出してからわずか数カ月後のこと。そして、次に進むと宣言した道は、なんと「探偵」だった。

その後、渡部はビジネスの世界へ進む。2013年に株式会社Twenty Companyを設立し、代表としてスキンケアブランド「PINCHER(ピンシャー)」を展開。2022年には初の著書『イルカ肌洗顔のススメ』を上梓した。

興味深いのは、その商品の名前だ。化粧水は「skin lotion Op.1」、乳液は「Op.2」、クリームは「Op.3」。クラシック音楽の作品番号と同じ「Op.」が並び、シャンプーには「Mozart」の名が付いている。彼女が世に送り出すボトルの文字を眺めていると、あの日、秋葉原のステージで響かせたサックスの音がふと重なってくる。

2022年11月、日本テレビの特番で『恋のから騒ぎ』が一夜限りの復活を果たした際には、渡部も出演した。放送後のブログで彼女は、2時間ちょっとの収録が放送では30分ほどになった裏話を明かしつつ、普通の話をしているだけでみんなが笑ってくれる環境と、さんまへの感謝を綴っていた。

あの秋の日にファンが受け取ったもの

振り返れば20年前、「南米の鳥」と呼ばれ、ギャル語で名を馳せた彼女が、初めて向き合った自分のファンに感謝として差し出したもの。それは、テレビで見せる軽妙な話術ではなく、10年間息を吹き込んできたサックスの音色だった。

あの秋の日に『虹の彼方に』を聴いたファンたちは、画面の中の「南米の鳥」とはまた違う、彼女の素顔の温もりを誰よりも早く受け取っていたのかもしれない。


※記事は執筆時点の情報です

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