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「よかれと思っていました…」高齢母の“預金1,500万”を管理しようとした50代娘、銀行で知った意外な事実に“肩を落としたワケ”

  • 2026.10.11
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関勤務のおがわ163です。20年間、金融機関の窓口で資産運用や家計相談に携わってきた経験をもとに、お金にまつわるリアルなエピソードをお届けしています。

今回ご紹介するのは、離れて暮らす母親の口座を見守ろうとした50代女性Aさんの体験談です。よかれと思った方法が、思わぬリスクを招くと知った理由とは。

解約した口座に、引き落としが残っていた

先日、相談にいらした54歳のAさん。一人っ子で、地方で一人暮らしをする83歳の母親のことが気がかりだと話してくださいました。

きっかけは、夏に届いた1通の封書でした。母親の自宅に、火災保険料が引き落とせなかったという通知が届いたのです。年払いで2万8,000円。確認すると、母親は春に銀行の口座を一つ解約していました。

「もう使っていないと思ったから」というのが母親の言い分です。実際には、火災保険料と水道料金がその口座から引き落とされていました。通帳を見る習慣がなく、どの口座から何が落ちているのかを把握できていなかったのです。

母親の預金は、複数の銀行に合わせて1,500万円ほど。認知症の診断は受けていませんが、こうしたことが続くのではないかと、Aさんは不安になりました。

「離れているので、何かあってもすぐには気づけません」

IDとパスワードを教えてもらえば、と考えた

Aさんが思いついたのは、母親のインターネットバンキングのIDとパスワードを教えてもらうことでした。自分のスマートフォンから残高や入出金を確認できれば、異変にも早く気づけると考えたのです。

ところが、母親の取引先の銀行に問い合わせたAさんは、それはできないと説明を受けます。

インターネットバンキングの規約では、IDやパスワードを本人以外に教えることが禁じられています。家族であっても例外ではありません。理由は、取引をしたのが本人かどうかを区別できなくなるからです。

さらに重いのが、補償への影響です。万が一、不正に送金されるような被害に遭っても、パスワードを第三者に教えていた場合は、銀行の補償を受けられなくなるおそれがあります。守るつもりの行動が、かえって母親の資産を危うくしかねません。

「よかれと思っていましたが、逆に守れなくなるんですね」Aさんは肩を落としました。

家族で見守るための、正式な方法がある

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

では、どうすればいいのか。担当者が挙げたのは、本人の意思が確認できる今のうちに手続きをしておく方法でした。

一つは代理人カードです。本人が届け出れば、親族(同居・別居の条件は銀行による)が使えるキャッシュカードを発行してもらえます。もう一つが、代理人の届け出です。全国銀行協会が2021年に示した考え方では、本人から親族への有効な代理権の付与があり、銀行が任意代理人の届け出を受けている場合には、その代理人と取引ができるとされています。各行がこうした仕組みを整えており、呼び方や条件は銀行ごとに異なります。

より本格的な備えとしては、任意後見契約や家族信託という選択肢もあります。判断能力が低下してからでは契約できないため、元気なうちに検討することが前提です。

もっと手前の備えもあります。どの口座から何が引き落とされているかを一覧にしておくこと。通帳をまとめて保管しておくこと。使っていない口座は、引き落としの有無を確認してから解約すること。今回のような事態は、これだけで防げます。

「まずは母と一緒に、口座の整理から始めてみます」

離れて暮らす親の口座で確認しておきたいこと

元気なうちにできることがあります。次の点を押さえておきましょう。

  • IDやパスワードは家族にも教えない(規約違反になる)
  • パスワードを教えると不正利用の補償を受けられないおそれがある
  • 代理人カードは発行の条件が銀行ごとに異なる
  • 代理人カードや代理人の届け出は本人が元気なうちに手続きする
  • 任意後見契約や家族信託は判断能力があるうちに契約する
  • どの口座から何が引き落とされているかを一覧にする
  • 使っていない口座は引き落としを確認してから解約する

代理人の仕組みは銀行によって名称も条件も異なるため、取引先の銀行の窓口で確認するのが確実です。成年後見制度や任意後見契約については、家庭裁判所や法テラス、お住まいの地域の地域包括支援センターでも相談できます。

「家族なら共有しても大丈夫」と思い込む前に、正式な方法があることを知っておくことが、親の資産を本当に守る第一歩です。


執筆:おがわ163
金融機関勤務(勤続20年)。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。窓口業務・資産運用相談の現場経験をもとに、生活に役立つお金の知識をわかりやすくお届けしています。


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