1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 夫が病気で“10日間”入院することに→「入院給付金があるから大丈夫」と思いきや…後日、50代夫婦を待っていた“想定外の大誤算”

夫が病気で“10日間”入院することに→「入院給付金があるから大丈夫」と思いきや…後日、50代夫婦を待っていた“想定外の大誤算”

  • 2026.10.11
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの小泉です。

「保険に入っているから、いざというときも安心」と考えて、医療保険の保障内容を細かく確認していない方も多いのではないでしょうか。ところが、実際に入院してみると、医療費以外にも思わぬ出費が重なることがあります。

今回は、夫の入院をきっかけに知った、公的医療保険ではカバーされない「想定外の負担」と、民間保険との上手な付き合い方を見ていきます。

「入院給付金があるから大丈夫」と考えていた夫婦の誤算

58歳の夫と妻のAさん夫婦。夫が病気の治療のため10日間入院することになり、妻は加入している民間の医療保険を確認しました。「入院給付金は1日1万円。10日間の入院なら10万円。これなら何とかなるわね」そう考えていたところ、医療費について説明を受け、妻は少し戸惑いました。

「でも、公的医療保険にも自己負担を抑える制度があるんですよね?」

そこで確認したのが「高額療養費制度」です。医療費100万円でも、自己負担が約9.3万円となるケース。高額療養費制度は、医療機関や薬局の窓口で支払う保険診療に係る自己負担額が、年齢や所得に応じた自己負担限度額を超えた場合、その超えた部分について支給を受けられる制度です。

2026年8月からの制度では、70歳未満で年収約370万円~約770万円の人が、保険診療の総医療費100万円の治療を1か月に受けた場合、高額療養費制度により、保険診療分の自己負担は約9万3,000円まで抑えられます。

ただし、ここは誤解しやすいところです。

「保険診療の医療費の総額が100万円の治療を受けても、誰でも9.3万円で済む」という意味ではありません。自己負担限度額は年齢や所得区分によって異なります。また、高額療養費の対象となるのは、基本的に公的医療保険が適用される医療費の自己負担です。

 「9.3万円払えば、入院費は全部終わり」ではない

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

Aさん夫婦がさらに驚いたのは、ここからでした。高額療養費制度では、入院時の食事にかかる負担や、患者が希望して利用する差額ベッド代などは、自己負担限度額の対象には含まれません。しかも、入院時の食事にかかる標準負担額は、2026年6月から見直されています。一般所得者の場合、現在は1食550円です。仮に10日間、毎日3食の食事が必要だったとすると、単純計算で550円×3食×10日=1万6,500円となります。

もちろん、実際の負担額は所得区分や入院先、入院日数などによって異なります。

また、個室などを希望して差額ベッド代が発生する場合、その費用も高額療養費の対象外です。

つまり、「高額療養費制度があるから、入院するときの自己負担はすべて一定額以内」と考えるのは正確ではありません。

民間の医療保険は「公的保障で足りない部分」を確認する

ここでAさん夫婦は、民間の医療保険についても考え直しました。民間保険から受け取れる給付金は、契約内容によって異なります。たとえば、1日1万円の入院給付金という契約なら、10日間の入院で10万円ですが、それだけで入院にかかるすべての費用を補えるとは限りません。

大切なのは、「民間保険だけで備える」のではなく、公的医療保険でどこまで保障されるのかを確認したうえで、不足する部分を民間保険や預貯金でどう備えるかを考えることです。

入院前に確認しておきたい「4つのポイント」

Aさん夫婦は、最後に次の4点を確認しました。

  • 自分の年齢と所得区分における高額療養費の自己負担限度額
  • 民間の医療保険で受け取れる入院・手術給付金
  • 入院時の食事代など、高額療養費の対象外となる費用
  • 差額ベッド代など、希望や選択によって追加される可能性のある費用

「医療保険に入っているから安心」ではなく、「公的保障でどこまでカバーされるのか」を知る。そのうえで、民間保険や預貯金を含めて不足する部分を考える。病気や入院は、いつ起こるか分かりません。

だからこそ、元気な今のうちに民間保険の保険証券だけでなく、公的医療保険で受けられる保障まで一度確認しておきたいものです。


執筆・監修:小泉@社労士ライター

20年以上の社労士経験を通じて、多くの相談者から「こんな制度があるとは知らなかった」「もっと早く相談しておけばよかった」という声を聞いてきた経験から、専門知識を、必要とする人に、正しく、わかりやすく届けることを大切にしている。社会保険・労働保険、公的年金をはじめ、暮らしや仕事に関わる制度について、専門家としての正確性と、生活者目線のわかりやすさを両立した情報を執筆・発信。保有資格は、社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士など。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる

注目コンテンツ