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1,000万円を米ドル預金に入れた60代女性→「ずいぶん増えているはず」と思いきや…2年後、銀行で告げられた事実に「そんな…」

  • 2026.10.9
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関勤務のおがわ163です。20年間、金融機関の窓口で資産運用や家計相談に携わってきた経験をもとに、お金にまつわるリアルなエピソードをお届けしています。

今回ご紹介するのは、2年前に外貨預金を始めた60代女性Aさんの体験談です。円安が進んだ今こそと窓口を訪れたAさんが、提示された金額に戸惑った理由とは…?

手数料無料のキャンペーンで、1,000万円を米ドルに

先日、相談にいらした61歳のAさん。パートを続けながら、再雇用で働く夫と暮らしています。

Aさんが1,000万円を米ドルの定期預金に預け替えたのは、2024年9月のことでした。円預金の金利がまだ低かった時期で、米ドルの金利の高さに魅力を感じたといいます。背中を押したのが、為替手数料が無料になるキャンペーンでした。

当時のレートは1ドル143円ほど。手数料がかからなかったため、そのままの水準で換算して、約6万9,900ドルになりました。年3.5%ほどの金利で2年間運用し、税引き後の利息はおよそ3,950ドル。残高は約7万3,900ドルに増えています。

その後、円安も進みました。2026年9月には1ドル159円台をつける場面もあります。

「ニュースを見るたびに、ずいぶん増えているはずだと思っていました」

自宅のリフォームを考えていたAさんは、全額を円に戻すつもりで窓口を訪れます。

ニュースのレートと、実際に使われるレートは違った

担当者が提示した金額は、Aさんの計算より少ないものでした。

Aさんは159円で計算し、1,175万円ほどになると考えていました。ところが実際の入金額は1,167万円ほど。その差は7万円を超えます。

理由は、適用されるレートの違いです。ニュースで目にするのは市場のレートで、銀行の取引では仲値と呼ばれる基準のレートをもとに、円から外貨に替えるときのTTS、外貨を円に戻すときのTTBが決まります。TTSは仲値より高く、TTBは仲値より低い。その差が為替手数料です。

Aさんの銀行では、米ドルの手数料は1ドルあたり1円。約7万3,900ドルなら、7万4,000円ほどになります。2年前のキャンペーンで無料になっていたのは、円から外貨に替える片道分だけでした。

「そんな…。無料と聞いて、手数料そのものがない商品だと思い込んでいました…。」

為替手数料は往復でかかるのが原則です。契約時に受け取っていた商品概要の説明書にも記載がありましたが、2年のうちにすっかり忘れていたそうです。

なお、手数料は取引の方法によっても変わります。窓口より、インターネットバンキングのほうが安く設定されている銀行は少なくありません。1ドルあたり0.5円という水準なら、今回のケースで3万7,000円ほどの差になります。

全額を戻すか、使う分だけ戻すか

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

もう一つ、担当者がAさんに伝えたことがあります。

リフォームの見積もりは600万円ほど。今すぐ必要なのはその分です。全額を円に戻せば、残りについても手数料がかかり、その後の金利も受け取れなくなります。使う分だけ円に戻し、残りは外貨のまま置いておくという選択肢もありました。

もちろん、残した分は為替の変動を受けます。円高に振れれば、円に戻したときの金額は減ります。使う予定がはっきりしているお金かどうかが、判断の分かれ目です。

「使う分だけにしておきます。残りはしばらく様子を見ようと思います」

Aさんは約3万8,000ドルを円に戻し、残りは米ドル預金のまま保有することにしました。

外貨預金を始める前に確認しておきたいこと

為替の動きだけでは、損得は決まりません。次の点を確認しておきましょう。

  • 為替手数料は円から外貨、外貨から円の往復でかかる
  • キャンペーンの無料がどちらの方向かを確かめる
  • ニュースのレートと実際のTTS・TTBは異なる
  • 窓口とインターネットバンキングで手数料が違う場合がある
  • 使う予定のある分だけ円に戻すという考え方もある
  • 外貨預金は預金保険の対象外

為替手数料や適用されるレートは、金融機関や通貨、取引方法によって異なります。契約内容は商品概要説明書で確認できるほか、取引先の金融機関の窓口でも教えてもらえます。なお、外貨預金の利息には源泉分離課税がかかり、為替差益は雑所得にあたります。年間の金額によっては確定申告が必要になるため、取り扱いは国税庁のホームページや税務署で確認してください。

「円安だから増えているはず」と考える前に、往復の手数料を金額に直してみることが、思い違いを防ぐ第一歩です。


執筆・監修:おがわ163
金融機関勤務(勤続20年)。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。窓口業務・資産運用相談の現場経験をもとに、生活に役立つお金の知識をわかりやすくお届けしています。

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