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大雨時のアンダーパス冠水に潜む危険とは?事故を防ぐポイントと緊急時の対処法

  • 2026.9.25

全国的な大雨が相次ぐ中、道路冠水による事故が後を絶ちません。

中でも、周囲より低いアンダーパスと呼ばれる場所は雨水が一気に集まり急増水する危険な場所です。最近でも湿った空気や秋雨前線、台風などの影響で、福島県や千葉県などでアンダーパスが冠水し、車が水没して尊い人命が失われる事故が発生しました。

少しの水たまりに見えても進入すればエンジンが停止し、脱出不能に陥るリスクがあります。この記事では、アンダーパスの危険性と事故を防ぐポイント、緊急時の脱出手順を解説します。

アンダーパスとは?

アンダーパスとは、交差する鉄道や他の道路の下を通過するために、周辺の地面や前後の区間と比べて道路の高さが低くなっている道路区間のことです。地形的にすり鉢状(くぼ地)になっており、雨水が集まりやすい構造をしています。

主に市街地などに多く見られ、国土交通省のまとめによると全国に3841か所(2025年3月末時点)存在します。

アンダーパスで冠水が起こる理由

アンダーパスは構造上、周囲から雨水が一気に集まりやすい「くぼ地」となっています。通常は排水ポンプで処理されますが、ポンプの能力を超える雨が降ると排水が追いつきません。さらに、排水先の河川や下水道の水位上昇によって水が押し戻されたり、落ち葉やゴミが排水口に詰まったりすることで、冠水しやすい特徴があります。

通常の道路冠水との違い

一般的な道路の冠水は、平坦な土地に水が広がるため、周囲の状況から冠水エリアを把握しやすい特徴があります。また、道路の脇や路肩に避難できたりと、周囲へ逃げる選択肢が残されています。

一方、アンダーパスは構造そのものが逃げ場のないくぼ地である点が大きく異なります。道路自体が壁で囲まれているケースが多く、ひとたび水が溜まると自力でのUターンや車外への脱出が困難になります。進入した時点で退路が断たれやすい空間になってしまう点が、通常の道路冠水との大きな違いです。

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アンダーパスに潜む危険

アンダーパスでの冠水事故は、ドライバーの「これくらいなら大丈夫だろう」という油断から発生します。周囲より低い場所だからこそ生じるリスクを正しく理解しておくことが大切です。

水深が浅く見えても浅くない

アンダーパスの入口では水が浅く見えても、中央へ進むほど一気に深くなる構造になっています。水深が車の床の高さを超えると、車内に水が入って窓やスライドドアなどの電気系統が動かなくなったり、マフラーから水が入ってエンジンが止まってかからなくなったりします。

また、水が浅くてもスピードを出して走ると、車が跳ね上げた水を吸い込んでエンジンが停止するおそれがあります。さらにタイヤが水に沈むと、車が水に浮いて操縦不能となり、流されてしまうため危険です。

あっという間に冠水する

急激に大雨が降ると、アンダーパス内には周囲から一気に雨水が流れ込んできます。排水ポンプの処理能力を超える激しい雨が降ると排水が追いつかず、あっという間に水深が増していきます。浅く見えていても、通過するわずかな時間の間に急速に水深が増し、途中でエンジンが停止して車内に取り残される危険もあります。

夜間は特に注意が必要

夜間は視界が悪くなり、どこからが冠水している水面なのか判別するのが難しくなります。さらに水深の深さや道路の端の境界も見えづらくなり、危険に気づかないまま通常通りのスピードでアンダーパスへ進入してしまう危険性もあります。その結果、急に深い水たまりへ突っ込んでブレーキが効かなくなったり、そのまま水没して動けなくなったりするリスクが高まるため注意が必要です。

アンダーパスで冠水事故を防ぐためのポイント

アンダーパスでの水没事故を防ぐ基本は危険をあらかじめ避ける行動です。
未然にリスクを回避するために、日頃から意識しておくべきポイントを確認しましょう。

冠水路に入らない

冠水している道路や、そのおそれがあるアンダーパスには「絶対に進入しない」ことが鉄則です。進入禁止を示す道路情報板の表示や遮断機が作動していない場合でも、道路に水たまりが見えたら迷わず引き返しましょう。「少しの水深なら走り抜けられるだろう」という思い込みや過信が、取り返しのつかない水没事故を引き起こします。

アンダーパスを避けたルートを選択する

大雨が予想される際や気象警報が発令されている時は、あらかじめアンダーパスを通らないルートを選ぶことも大切です。

国土交通省が提供する「重ねるハザードマップ」では、メニュー内の「道路防災情報」を表示することで、アンダーパスをはじめとした全国の「道路冠水想定箇所」を地図上で簡単に確認できます。

通勤・通学路やよく使う道路の冠水リスクを把握し、迂回路を事前に検討しておきましょう。また、走行中も道路掲示板などの情報に注意し、規制が始まる前に安全なルートへ変更することが重要です。

冠水場所に入ってしまった場合の対処法

万が一、冠水したアンダーパスに進入して車が動かなくなってしまった場合は、命を守るためにも冷静に行動することが重要です。状況に応じた脱出手順を確認しておきましょう。

慌てずに脱出する

万が一、冠水場所に進入して車内にまで浸水してしまった場合は、焦らず冷静に対応することが重要です。まずは安全な場所に車を止めてエンジンを停止させ、シートベルトを外します。水圧でドアが開かなくなる前に、速やかに窓を開けて車外へ脱出しましょう。脱出用ハンマーやシートベルトカッターは、緊急時にすぐ使えるよう運転席から手が届く場所に常備しておくことも大切です。

車外へ脱出したら、まずは片足を浸けて水深や流れを確認してから慎重に降ります。水が濁っていると路面や足元の状況がまったく分からないため、進んできた安全な方向へ一歩一歩足元を確かめながら歩いて戻りましょう。

ドアが開かない場合

電気系統の故障で窓が開かず、水圧によってドアも開かない場合は、脱出用ハンマーを使って側面のドアガラスまたはリヤガラスを割り、脱出経路を確保します。ガラスの四隅を強い力で叩き割ることがポイントになります。

なお、フロントガラスや一部のドアガラスは「合わせガラス」で割れないため注意が必要です。

脱出用ハンマーがない場合は、車内に水が入ってくるのを落ち着いて待ちます。車内外の水位差が小さくなると水圧の抵抗が和らぐため、息ができる空間を確保しながらタイミングを見計らい、両足でドアを強く押し開けて脱出します。

大雨時のアンダーパスは一瞬で危険な現場へと変わります。「絶対に冠水路に入らない」ことを基本とし、万が一の際も冷静な行動と正しい知識で大切な命を守りましょう。

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<執筆者プロフィル>
田頭孝志
気象防災アドバイザー(国土交通大臣委嘱)

田頭気象予報士事務所代表。愛媛の気象予報士・防災士。防災や気象関連の記事執筆をはじめ、テレビ番組の監修、防災教材開発などを行う。BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。

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