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「代引きの5000円、払ってください」兄の赤線入りメモ。だが、私が3000円の明細で返した理由

  • 2026.9.21
「代引きの5000円、払ってください」兄の赤線入りメモ。だが、私が3000円の明細で返した理由

「帰ったら払うね」と伝えた昼

何年も前、兄と二人で部屋を借りて暮らしていたころの話です。

その日はネットで注文した品物が代引きで届く予定でしたが、私は朝から外せない用事がありました。

玄関で靴を履きながら、居間にいた兄へ声をかけました。

「今日、荷物届くんだけど、代引きなんだ。悪いけど受け取ってもらっていい?」

兄が新聞から顔を上げました。

「いくら?」

「5000円。帰ったらすぐ返すから」

「わかった」

そこでお金を渡せばよかったのですが、時間を気にしていた私は、そのまま家を出てしまいました。

電車に乗ってから「あ、お金渡してない」と気づいたものの、もう戻れる時間ではありません。

昼過ぎ、兄から「届いた」とメッセージが来ました。

私はすぐに返しました。

「ありがとう。5000円、帰ったら払うね」

既読はつきましたが、返事はありませんでした。

兄はもともと口数が少なく、メッセージも必要なことしか返さない人だったので、そのときは気にしていませんでした。

赤い線が引かれた置き手紙

夜、家に帰ると、居間のテーブルに段ボール箱が置かれていました。

その上には、二つ折りにされた便せんが一枚あります。

開いてみると、兄の角ばった字でこう書かれていました。

「代引きの5000円、立て替えました。払ってください」

しかも「5000円」と「払ってください」の下には、赤いボールペンでまっすぐ線が引かれていました。

私はしばらく便せんを見つめました。

「…帰ったら払うって送ったのに」

兄の部屋のドアは閉まっています。

わざわざ呼びに行くほどでもないと思い、5000円を用意しようとしたとき、ふと先月のことを思い出しました。

兄が払うことになっていた電気代3000円を、私が代わりに立て替えていたのです。

そのときは私も「今度でいいよ」と言ったきりで、兄に催促はしていませんでした。

私は5000円を封筒に入れ、兄が残した便せんの空いている部分に書き足しました。

「5000円、返します。荷物受け取ってくれてありがとう」

そこまで書いて、一度ペンを止めます。

それから、その下にもう一文加えました。

「そういえば、先月立て替えた電気代3000円、まだもらってなかったね。急がないけど、忘れないでね」

電気代の明細も一緒に置き、兄が使った赤いボールペンで「3000円」の下に一本だけ線を引きました。

やってから少し大人げなかったかなとも思いましたが、その便せんと封筒を兄の部屋の前に置きました。

翌朝、戻ってきた便せん

翌朝、居間へ行くと、テーブルの上に昨夜の便せんが置かれていました。

兄がさらに下へ短く書き足していました。

「3000円返します。赤線、やりすぎた。ごめん」

その横には、3000円の入った封筒があります。

ちょうど洗面所から出てきた兄が、こちらを見て少し気まずそうに言いました。

「電気代のこと、完全に忘れてた。悪かった」

「でしょ」

私が便せんを持ち上げると、兄は赤い線をちらっと見ました。

「昨日のも、念のため書いただけなんだけどさ」

「それにしては赤線が強すぎない?」

「……うん。書いてから俺もちょっと思った」

思わず笑ってしまいました。

「まあ、荷物受け取ってくれたのは本当に助かった。ありがとう」

「ん」

それで話は終わりました。

それ以来、兄の置き手紙に赤い線が引かれることは一度もありませんでした。

しばらくして居間のテーブルに置かれていたメモには、黒いペンで「しょうゆ買っておいた」とだけ書かれていました。

それを見たとき、私は少しだけ笑ってしまいました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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