1. トップ
  2. エピソード
  3. 「すみません、押さないでもらえますか」城のチケット売り場で背中を2度押された私。だが、窓口で見た光景に唖然

「すみません、押さないでもらえますか」城のチケット売り場で背中を2度押された私。だが、窓口で見た光景に唖然

  • 2026.9.21
「すみません、押さないでもらえますか」城のチケット売り場で背中を2度押された私。だが、窓口で見た光景に唖然

入口の前に何重にも折れた列

三十代の私は、連休の一日を使って、前から行ってみたかった観光地の城を訪れました。

坂道を上りきると、入口のチケット売り場の前はかなりの人です。窓口は2つあり、そこへ続く一本の列が何重にも折れ曲がっていました。

最後尾に並んで数分たったころ、背中を手のひらでぐっと押されました。

驚いて振り向くと、50代くらいの女性がすぐ後ろに立ち、私の横から前の様子をのぞき込んでいます。

「あの、まだ前は動いてないみたいですよ」

私がそう言うと、女性は窓口のほうを見たまま答えました。

「そうなの?ずいぶん待つのね」

どうやら、なかなか進まない列に焦れているようでした。

しばらくすると、前の人が数歩進みました。私も続こうとしたそのとき、また背中を押されました。

思わず前につんのめりそうになり、今度はすぐに振り返りました。

「すみません、押さないでもらえますか。前が進んだら私も動きますので」

少し強めに伝えると、女性は一瞬きょとんとした顔をしました。

「あ、ごめんなさい。早く進まないかなと思って」

「前の方も詰まっているので…」

「そうね、ごめんなさい」

女性はそれ以上何も言わず、少し距離を取ってくれました。

窓口の係の人が伝えた言葉

それから少しずつ列は進み、ようやく私が先頭になりました。

この売り場では、先頭まで来た人が、2つある窓口のうち空いたほうへ進むようになっていました。

やがて奥側の窓口が空き、私はそちらへ向かおうとしました。

ところがその瞬間、後ろにいた女性が私の横からすっと前へ出て、そのまま窓口へ向かったのです。

突然のことで、私は思わず足を止めました。

女性は財布を取り出しながら言いました。

「大人一枚お願いします」

すると窓口の係の人が私のほうを確認してから、女性に声をかけました。

「すみません。先にお待ちいただいていた方がいらっしゃいますので、順番にご案内しますね」

女性は少し驚いたように振り返りました。

「え、こっちが空いたから来たんですけど…」

係の人は声を荒らげることなく、もう一度伝えました。

「はい。こちらの方が先にお待ちでしたので、次にご案内します。少々お待ちください」

女性は私と係の人を交互に見たあと、小さくうなずきました。

「……分かりました」

そう言って一歩下がります。

係の人は私に向き直りました。

「お待たせしました。どうぞ」

「ありがとうございます」

私はほっとしながら窓口へ進み、大人一枚分の料金を支払いました。

チケットを受け取ると、係の人がにこやかに言いました。

「どうぞ、ごゆっくりお楽しみください」

「ありがとうございます」

それまで少し張りつめていた気持ちが、その一言でようやくほどけました。

振り返ると、女性は私の次にチケットを買っていました。今度は何も言わず、そのまま入口のほうへ歩いていきます。

私も門をくぐり、青空の下にそびえる天守を見上げました。

せっかく楽しみにしていた場所です。気持ちを切り替えて歩き始めると、ようやく景色を楽しむ余裕が戻ってきました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ