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ジュースをこぼし「すみません」と謝り続けた母親。だが、店員の対応にうつむいていた息子も顔を上げた

  • 2026.9.20
ジュースをこぼし「すみません」と謝り続けた母親。だが、店員の対応にうつむいていた息子も顔を上げた

休日の昼、隣の席でコップが倒れた

休日の昼、夫と二人で入った飲食店は、家族連れでほとんどの席が埋まっていた。

料理を待っていると、隣の席からコップの倒れる音がした。見ると、テーブルの端からジュースが床へ流れ落ちていた。

隣にいたのは、4歳くらいの男の子とお母さんだった。

「あっ…ごめん!」

お母さんは慌てて紙ナプキンを取り、テーブルを拭きながら周りにも頭を下げた。

「すみません、本当にすみません……」

男の子は何も言わず、両手を膝の上に置いたまま固まっていた。周囲の視線が集まったことにも気づいたのか、だんだん顔が下を向いていく。

そこへ、エプロン姿の若い女性の店員さんがタオルを持ってやって来た。

「大丈夫ですよ。こちらで拭きますから」

「でも、床までこぼしちゃって…すみません」

「いえいえ。こちらはやりますので、お子さんのほうをお願いします」

店員さんはそう言うと、テーブルに広がったジュースを拭き、床に落ちた分も手早く片付けていった。

昼のいちばん混む時間で、厨房からは次々と料理を呼ぶ声が聞こえていた。それでも、店員さんに急かすような様子はなかった。

店員さんが気にしていたのは、床だけではなかった

片付けがひと段落すると、店員さんは男の子の椅子の横にしゃがんだ。

「びっくりしたね。服、濡れなかった?」

男の子はうつむいたまま、自分の袖を見た。

「ここは大丈夫そう?」

そう聞かれると、小さくうなずいた。

「ズボンは?」

男の子は自分で膝のあたりをぽんぽんと触ってから、小さな声で答えた。

「ぬれてない」

「そっか。よかった」

店員さんが笑うと、それまでこわばっていた男の子の表情も少しだけ緩んだ。

お母さんが、申し訳なさそうにもう一度頭を下げた。

「本当にすみません。忙しいのに…」

店員さんは笑顔のまま首を振った。

「大丈夫ですよ。こういうこと、ありますから」

その言葉を聞いて、お母さんもようやくほっとしたように息をついた。

店員さんは使ったタオルをまとめ、「では、ごゆっくり」と言って厨房のほうへ戻っていった。

しばらくして私たちの料理が届くと、夫が隣の席をちらりと見ながら小声で言った。

「優しい店員さんだったね」

「うん。こぼしたことより、あの子が気にしてるのを心配してた感じだったね」

夫も小さくうなずいた。

「さっきまで固まってたもんな」

私も隣を見ると、男の子はもうお母さんと普通に話しながら食事をしていた。

食べ終えるころ、隣の親子も席を立った。

レジへ向かう途中、男の子がふと振り返った。少し離れたテーブルを片付けていたあの店員さんを見つけると、大きく手を振った。

店員さんも気づき、手を止めて笑いながら振り返していた。

ジュースをこぼしたことだけではなく、そのあと優しく声をかけてもらったことも、男の子の記憶に残るのかもしれない。そんなことを思った休日の昼だった。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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