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昔、愛用していたサイフォンでコーヒーを一杯。マダム3人、思い出の味をもう一度【書評】

  • 2026.9.19

【漫画】本編を読む

長くしまい込んでいた道具に、ふと手が伸びる日がある。たとえば、昔使っていたコーヒーサイフォン。今淹れる一杯は、昔とは違う味わいが感じられそうだ。

『マダムたちのルームシェア』(seko koseko/KADOKAWA)は、何げない毎日を自分たちらしい遊びで彩る3人のマダムが魅力的なコミック。栞、晴子、沙苗。3人は食卓を囲んで昔話に花を咲かせる。そんな何気ない時間が、何だかとても贅沢に感じられてくる作品だ。

ある雨の日、3人の家に「喫茶店シオリ」がオープンした。マスターを務める栞が取り出したのは、昔愛用していたコーヒーサイフォン。2人はそれを見て、以前、栞にコーヒーを淹れてもらったことを思い出す。長くしまわれていたものの、大切に使っていたため、交換が必要だったのはフィルター部分だけ。サイフォンを囲み、かつての記憶をたどりながら、コーヒーが出来上がるのを待つ時間は心地いい。

完成した一杯を味わい、「今ならわかるわ、味の違い」「あの頃の私には負けない」と、過去の自分に謎の闘志を燃やす栞。今の自分は昔の自分に比べて「知識も増えて魅力も増したかなって」という栞に、沙苗は……。

思い出話をしながら味わう、おいしい一杯。特別な店へ出かけなくても、気の置けない友人とひと手間かけてコーヒーを淹れれば、家で過ごす時間は豊かなものになる。雨の日にこんな喫茶店が開いたら、外へ出られない一日も、間違いなく充実したものになるだろう。

文=アサトーミナミ

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