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「今日のお昼、どこ行きます?」いつも優しかった同僚→給湯室での行動で、いつもの優しさが妙に怖く見えた瞬間

  • 2026.9.19

失敗しても、真っ先に笑って声をかける人だった

以前勤めていた職場に、おっとりした雰囲気の女性がいました。

誰かが書類の数字を間違えたり、電話の取り次ぎでもたついたりしても、責めるようなことは言いません。

困っている人を見ると、自然に声をかける人でした。

「大丈夫、大丈夫。そんなに気にしなくていいよ」

私も、その言葉に何度か救われています。

会議の資料を一枚抜かしたまま配ってしまったときも、彼女はすぐに気づいて予備の束を持ってきてくれました。

「これ使って。まだ間に合うから」

「ごめん、本当に助かった。ありがとう」

「いいよ。こういうときはお互いさまでしょ」

そう言って笑う彼女を見て、私はほっとしたのを覚えています。

いつも穏やかで、感情を荒らげるところをほとんど見たことがありませんでした。

給湯室でも、声はいつもと変わらなかった

夏の昼前、私は給湯室で水筒を洗っていました。

蛇口の音にまぎれて足音がして、振り向くと彼女が入ってきました。

「お疲れさまです」

「お疲れさま。今日も暑いね」

「暑いですね。外に出るのが嫌になります」

そんな何でもない話をしていると、彼女の手にティッシュがあることに気づきました。

その上には、小さな虫が一匹いました。

「あ、虫…」

思わず声を出すと、彼女は手元をちらっと見ました。

「ああ、これ?」

それだけ言うと、すぐにまた私のほうを見ます。

「今日のお昼、どこ行きます?」

そう聞きながら、彼女はティッシュを二つに折りました。

そして、こちらを見たまま指先でぎゅっと押さえたのです。

私は一瞬言葉が出ず、水筒を持ったまま彼女の手元を見ていました。

虫をティッシュで処理した。

ただ、それだけのことです。

なのに、いつもとまったく変わらない笑顔で話しながら手を動かす姿に、なぜか目を奪われてしまいました。

返事をしない私を見て、彼女が少し首をかしげます。

「あれ、聞こえなかった?」

そして、先ほどと同じ調子でもう一度聞きました。

「今日のお昼、どこ行きます?」

「あ…まだ決めてないです」

ようやく答えると、彼女は「あ、そうなんだ」と笑いました。

「じゃあ、決まったら教えて」

そう言って丸めたティッシュをごみ箱に入れると、彼女はいつもと変わらない様子で給湯室を出ていきました。

私は蛇口を閉めながら、今見た光景をしばらく考えていました。

もちろん、虫がいたらティッシュで処理すること自体は珍しくありません。

ただ、私と目を合わせて昼食の話をしながら、まったく表情を変えなかったことが妙に印象に残りました。

その後も、彼女は何も変わりませんでした。

私が伝票を打ち間違えた日にも、いつものように声をかけてくれました。

「大丈夫。まだ直せるから、そんなに焦らなくていいよ」

「ありがとう。ちょっと慌てちゃって」

「分かるよ。私もあるから」

以前と同じ、やさしい会話です。

それでも給湯室で二人きりになると、ときどき私は彼女の手元をちらっと見るようになりました。

その職場を離れた今は、もう彼女と顔を合わせることもありません。

彼女が何かおかしなことをしたわけではありません。それなのに、笑顔のまま「今日のお昼、どこ行きます?」と二度聞いてきたあのときの表情だけは、不思議なくらい今も覚えています。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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