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「一千万は下らないから」とお金の心配をしないでと言った90歳の母。だが、妹から聞かされた口座の残高

  • 2026.9.19

90歳の母が暮らす家のことが気になった

90歳の母は、父が建てた一軒家で今も一人で暮らしています。

妹は母の家から自転車で十分ほどのところに住んでいて、買い物や通院のときに付き添うことがあります。私は少し離れた場所に住んでいますが、時間を見つけては様子を見に行っていました。

ある春、母の家で固定資産税の納税通知書を見る機会がありました。

父が亡くなってから土地も建物も母の名義です。母が元気なうちはいいものの、この先、家や預金のことをどうするのか、兄妹できちんと把握していないことが急に気になりました。

そこで私は、市の相談窓口で税理士に話を聞くことにしました。

「家のことばかり気にしていたんですが、何から確認すればいいんでしょうか」

税理士は資料を見ながら答えました。

「不動産だけではなく、預貯金や保険なども含めて整理しておくといいですね。まず、ご本人がどんな財産を持っているのか、家族で確認するところからだと思います」

税金がいくらかかるという話ではなく、まず現状を知ることが大切なのだと分かりました。

数日後、母の家へ寄ったとき、台所でお茶を入れている母に聞いてみました。

「母さん、ちょっと聞いてもいい?」

「なに、そんな顔して」

「今って、預金はどのくらいあるの?」

母は一瞬きょとんとしたあと、笑いました。

「お金の心配なんかしなくていいよ。一千万は下らないから」

「そんなにあるの?」

「あるよ。ちゃんとやってるんだから」

母があまりにあっさり言うので、私もそれ以上は聞きませんでした。

三人で話すと、母から200万円という数字が出た

その夜、妹にも電話しました。

「今日、母さんに預金のこと聞いてみたんだ」

「なんて言ってた?」

「一千万は下らないって」

「へえ…そんなに持ってるんだ」

妹も知らなかったようでした。

その週の日曜、三人で母の家の座卓を囲みました。

私は相談窓口でもらった資料を見せながら、家や預金について一度整理しておきたいと話しました。

「今すぐどうこうする話じゃないよ。ただ、俺も妹も何も知らないままだと、いざというとき困るからさ」

母はしばらく資料を眺めてから言いました。

「だったら、あんたたちに200万円ずつくらい、先に渡しておこうか?」

思いがけない言葉でした。

「いや、それは急がなくていいよ」

妹もすぐに首を振りました。

「そうだよ。お母さんがこれから使うお金なんだから。もし本当にそうするなら、ちゃんと確認してからにしよう」

「そう?まあ、私はそれでもいいんだけどねえ」

その日は結論を出さず、まず預金などを確認してから考えることになりました。

妹が通帳を見たあと、母の返事が変わった

それからしばらくして、母から電話がありました。

「この前のお金の話だけどね、やっぱり何もしないでおくよ」

「うん。それならそれでいいよ」

「私が持ってたほうが安心だから」

声は普段と変わりませんでしたが、私は少し引っかかりました。

数日後、母の家を訪ねた帰り、妹が車まで送ってくれました。

門を出たところで、妹が急に声を落としました。

「兄さん、この前の話なんだけど」

「うん?」

「この前、お母さんに頼まれて通帳を一緒に見たの」

私は妹の顔を見ました。

「それで?」

妹は少しためらってから言いました。

「私が見た口座、残高が400万円くらいだった」

「……400万円?」

「うん」

「でも、一千万は下らないって言ってたよな」

「私も気になった。でも、ほかの口座や定期預金がどれだけあるのかまでは、まだ分からない」

母が金額を勘違いしていたのか、ほかにも預金があるのか。それとも、私たちに心配をかけたくなくてそう言ったのか。

その時点では、何も分かりませんでした。

振り返ると、母が玄関先からこちらに手を振っていました。

私は手を振り返しながら、財産をどう分けるか考えるより先に、母が今どんなお金を持ち、これからどう暮らしたいと思っているのかを、一緒に確認する必要があるのだと思いました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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