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「午前中指定ならもっと早く来いよ」11時55分に荷物を届けた私が、黙って伝票を見せた理由

  • 2026.9.19

玄関を開けるなり、響いた声

40代で軽貨物の配達をしていたころの話です。

その日の午前便はいつもより荷物が多く、最後の一軒の前に車を停めたとき、時計は11時53分を指していました。

手元の伝票を確認すると、指定時間帯は9時から12時まで。まだ間に合っていることを確認し、私は荷物を抱えてインターホンを押しました。

少しして扉を開けた男性は、私の姿を見るなり眉をひそめました。

「遅いよ。もう昼じゃないか」

突然強い口調で言われ、私は反射的に頭を下げました。

「お待たせしました」

すると男性は、さらに声を大きくしました。

「お待たせしましたじゃないだろ。ギリギリじゃねえか」

私は一瞬、返す言葉に詰まりました。

確かに12時まではあとわずかです。しかし、指定された時間を過ぎているわけではありません。

男性は私が黙っているのを見て、もう一度言いました。

「ギリギリじゃねえか。午前中指定なら、もう少し早く来られないのかよ」

そこで私は、さっき反射的に頭を下げたことに引っかかりました。

遅れていたなら、こちらにも非があります。でも今回は、指定された時間の範囲内です。

伝票に書かれていた時間

私は言い返すのではなく、手元の伝票を男性にも見えるように向けました。

「こちら、9時から12時までのご指定になっています」

男性は伝票に目を落としましたが、すぐに顔を上げました。

「そんなの見れば分かるよ。でも、もう12時前だろ」

私は腕時計を確認しました。

「はい。今は11時55分ですので、時間内にはお届けできています」

できるだけ静かにそう伝えました。

男性は何か言いかけましたが、もう一度伝票の「9時〜12時」という欄を見て、少し黙りました。

「…じゃあ、判はここでいいの?」

先ほどまでより、声は小さくなっていました。

「はい、こちらにお願いします」

男性は受け取りの欄に判を押し、荷物を受け取りました。

謝罪されたわけではありません。私も、それ以上何か言おうとは思いませんでした。

「ありがとうございました」

そう告げると、男性は短くうなずいて扉を閉めました。

車へ戻ったころには、時計は12時少し前になっていました。

運転席に座り、私は小さく息を吐きました。

「時間内だったんだから、必要以上に謝らなくてもよかったんだよな」

接客の仕事をしていると、相手が怒っているだけで、とっさに「すみません」と言ってしまうことがあります。

けれど、怒られたからといって、すべてこちらに非があるとは限りません。

私は伝票をしまい、午後の最初の届け先を確認してから、再び車を走らせました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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