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「なんで俺の分だけ大盛りなの?」母が3秒黙ってから笑った、あの日の食卓

  • 2026.9.19
ハウコレ

育ち盛りでもない息子に山を盛るのは子ども扱いだと、俺は勝手に決めていました。食べ終えた2つの茶碗を流しで並べるまで、その思い込みが解けることはありませんでした。

実家の食卓に並んだ茶碗のうち、俺の前に置かれたものだけ、ごはんが縁より高く盛られていました。

母と2人の食卓で、俺の茶碗だけが違いました

実家を出て数年になります。月に1度ほど顔を出し、母と2人でごはんを食べて帰るのが決まりのようになっていました。

その日も食卓に、母が茶碗を2つ運んできました。母の茶碗は、ごはんが縁の内側にきれいにおさまっていました。それに比べて、俺の前に置かれたものは上までこんもりしています。

食べる量について何か言われるのが気まずくて、これまで自分から量の話をしたことはありませんでした。それでも、この日は違いがはっきりしています。

箸を取る前に、俺は口に出しました。

「なんで俺の分だけ大盛りなの?」

「なんで俺の分だけ大盛りなの?」

軽い気持ちで聞いただけでした。

母は俺を見ました。うなずくのでもなく、首を振るでもありません。

数えたわけではありませんが、3秒くらいあったと思います。

母は笑って、

「足りなかったら言いなさいね」

と言いました。

聞いたことへの答えにはなっていません。

俺はもう一度聞こうかと思いましたが、そのまま箸を取りました。

育ち盛りでもない息子に山盛りのごはんを出すのは、いつまでも子ども扱いしているからだろう。そう受け取ったからです。

食べ終わるまで、その話には戻りませんでした。

洗い終えた2つを並べて、ようやく分かりました

食べ終えたあと、久しぶりに流しに立ちました。

茶碗を洗って水を切り、2つを並べて伏せたところで、初めて大きさの違いが目に入りました。

俺の茶碗のほうが、少し小さいのです。

「これ、俺のだけ小さいんだな」

そう言うと、母は台所の入り口から、

「同じだけよそってるのよ。ずっとその茶碗よ」

と返しました。

大盛りにされていたわけではありませんでした。同じ量でも、器が小さい俺のほうだけ高く見えていたのです。

言われてみれば、実家にいたころからその茶碗で食べていた気がします。

ただ、いつから使っているのか、どこで買ったものなのかまでは思い出せませんでした。

自分の部屋で普段使っている茶碗のほうが大きいから、久しぶりに見て多く感じただけだったようです。

それでも、最初に聞いたとき母がすぐそう説明しなかった理由だけは分かりませんでした。

そして...

そのあと、もう一度実家に寄りました。

食卓に置かれた茶碗も、ごはんの高さも前と同じでした。

俺は量のことを聞かず、縁より高くなったところから先に箸をつけました。

帰り道、駅の売り場に茶碗が並んでいるのが目に入りました。以前なら、大きいものを1つ買って実家に置いておこうと思ったかもしれません。

その日は何も買わず、そのまま改札を通りました。

母が答えるまでの数秒の間に何を考えていたのかは、まだ聞いていません。

(30代男性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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