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「触らないでください」客を警戒した僕が、次に脚立を運んだ理由

  • 2026.9.18
ハウコレ

店に入ってまだ日が浅かったころ、壁のギターを見ている客へ「触らないでください」と声をかけました。その人が手を後ろで組んでいたことも見えていました。それでも僕は、先に注意しておくことを選びました。

客の手ばかり見ていました

前の勤め先でも売り場に立っていたため、値の張る商品を傷つけないよう気を配ることには慣れていました。この店でも、高い位置に掛かった楽器を見ている客がいると、手元を確認するようになっていました。

働き始めて間もないころ、棚の前にいた客へ声をかけても返事をもらえず、そのまま帰られたことがあります。それ以来、客との距離の取り方に迷うくらいなら、先に注意しておけばいいと考えるようになっていました。

その人は、入荷したばかりのギターを見上げていました。両手は後ろです。それでも僕は斜め後ろまで近づきました。

「触らないでください」

その人は手を胸の高さまで上げ、壁から1歩離れました。僕はそれ以上話さず、レジへ戻りました。

警戒が正しいと思いたかった

レジへ戻ってからも、その人の動きが気になりました。小物を手に取ると顔を上げ、棚へ戻すところまで見ます。目が合うと伝票へ戻り、また店内を確認しました。

途中から、その人は両手をポケットへ入れて歩いていました。当時の僕は、注意したから触らなくなったのだと受け取りました。

自分が客を不快にさせた可能性より、自分の判断が正しかったと思える材料を探していたのだと思います。

オーナーが教えてくれたこと

奥から出てきたオーナーは、その人を見つけるとすぐに声をかけました。

「いらっしゃってたんですね!どれか弾きたいのとかあります?」

そして脚立へ上がり、僕が触られないよう警戒していたギターを外して、その人へ渡しました。自分のギターも持ってきて、丸椅子を2脚並べます。

「この人、うちで何本も買ってくれてる人だよ」

僕は伝票の角をそろえました。謝りに行けば済む話でしたが、自分が最初から相手を決めつけていたと認めることから逃げました。

その人は最後まで僕に何も言わず、オーナーへ「ありがとうございます」と伝えて店を出ていきました。

そして...

その人がもう一度店へ来たとき、今度は僕からレジを出ました。脚立を運びます。

「よかったら、出しますよ」

その人はギターを試し、そのまま購入しました。

今は客がギターを見ていても、最初から手の位置を追うことはやめました。まず声をかけ、弾いてみたいものがあるか聞いています。

(30代男性・楽器店勤務)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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