1. トップ
  2. 「車のドア」開けたら自転車が激突…死亡事故なら罪重い?「同乗者が開けた」場合も運転手の責任?【弁護士に聞く】

「車のドア」開けたら自転車が激突…死亡事故なら罪重い?「同乗者が開けた」場合も運転手の責任?【弁護士に聞く】

  • 2026.9.17
車から降りようとドアを開けたときに通行中の自転車に当たった場合、どうなる?(画像はイメージ)
車から降りようとドアを開けたときに通行中の自転車に当たった場合、どうなる?(画像はイメージ)

車を路肩に停車させて降りる際、運転席のドアが車道側に開くため、後方から来る車や自転車と接触する危険があります。9月12日には東京都内で、自転車に乗っていた人が、前方に止まっていた車の運転手が開けたドアにぶつかって転倒した際、後続の車にはねられ亡くなってしまう事故が発生しました。

もし車から降りようとドアを開けたときに通行中の自転車やバイクに当たってしまい、乗っていた人がけがを負ったり、亡くなったりしてしまった場合、どのような法的責任を問われる可能性があるのでしょうか。アトム法律事務所の松井浩一郎弁護士に聞きました。

「わざとじゃない」は通用する?

Q.停車中の車から降りようとドアを開けた際、後方から来た自転車やバイクと衝突し、相手がけがを負ったり亡くなったりしてしまった場合、運転手はどのような刑事責任や行政処分を問われるのでしょうか。「わざとじゃなかった」という言い訳は通用するのでしょうか。

松井さん「そもそも、道路交通法71条4号の3は、運転者に対し『安全を確認しないでドアを開けたり、車両から降りたりしないこと』を義務付けています。

その上で、これが人身事故に発展した場合は、状況に照らして考える必要があります。事故当時、車が発進可能な状態で『運転』の一環と評価されるか、すでに完全に停止し、降車の準備段階に入っていたかによって、適用される罪名が変わるというのが実務上のポイントです。

前者であれば過失運転致死傷罪(7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)、後者であれば重過失致死傷罪(5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)が問題になります。

また、9月に東京都内で発生した事故のように、ドアとの接触で転倒し後続車にひかれて死亡したという経過をたどった場合、死亡という結果と運転者の不注意との間に、法律上の因果関係が認められるかも争点になります。過去の裁判例では、介在事情があったとしても、予見可能な範囲であれば因果関係を肯定する傾向にあります。

『わざとじゃなかった』という弁解は責任を否定する理由にはならず、むしろ問われるのは『必要な注意を尽くしていたかどうか』です。十分な安全確認をしていたことを客観的に説明できれば過失はないという判断の余地もありますが、確認を怠っていたと評価されれば、責任を免れるのは難しいでしょう。

人身事故は在宅捜査が多いですが、証拠隠滅や逃亡の恐れがあると判断されれば逮捕に至るケースもあります」

Q.民事上の「損害賠償」や「過失割合」について、基本的にはドアを開けた車側の過失が圧倒的に重くなるのでしょうか。自転車側の過失が考慮されるケースはありますか。

松井さん「停止中の車の運転者には、ドアを開ける前に後方から来る車両や自転車を確認する義務があります。この義務違反はそれなりに重く評価されるため、自動車側の過失割合が大きくなるのが基本的な考え方です。

もっとも、自転車側の速度超過や著しい前方不注視、あるいは『タクシー乗降場付近でドアが開くことが容易に予測できる状況だったか』といった事情があれば、自転車側にも一定の過失が加算されることになるでしょう」

助手席や後部座席の同乗者が開けた場合は誰の責任?

Q.運転手ではなく助手席や後部座席の同乗者がドアを開けて事故を起こしてしまった場合、法的責任は誰が負うのでしょうか。

松井さん「道路交通法71条4号の3は、運転者本人がドアを開ける場合だけでなく、同乗者がこれらの行為により交通の危険を生じさせないよう必要な措置を講じることも運転者の義務としています。

つまり、助手席や後部座席の同乗者がうっかりドアを開けてしまった場合でも、運転者が同乗者への注意喚起や車内からの安全確認を怠っていたと評価されれば、運転者自身も法的責任を問われる可能性はあります。同時に、実際にドアを開けた同乗者本人も、自らの不注意で他人にけがをさせた以上、独立した不法行為責任を負う可能性があります。

車から降りる際は、後方から誰か来ている可能性が高いと意識的に気を付けることが大切であると思います」

オトナンサー編集部

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ