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熱狂、熱唱、そして涙…ファンたちが感極まった『オアシス:ドント・ルック・バック・イン・アンガー』応援上映の模様をレポート!

  • 2026.9.16

イギリスが世界に誇るロックバンド、オアシスの2025年の再結成ワールドツアーの模様を追ったドキュメンタリー『オアシス:ドント・ルック・バック・イン・アンガー』が9月11日より日本公開された。そもそもオアシスはギター兼ソングライターのノエル・ギャラガーとフロントマン、リアム・ギャラガーの兄弟間の決定的な不和により2009年に解散。再結成は不可能と思われていたなかで、15年を経ての奇跡的なリユニオンにファンが沸き、ツアーは日本を含む世界中をめぐり200万人以上を動員した。

【写真を見る】109シネマズプレミアム新宿で展開中!「モーニング・グローリー」の世界に入り込める大型フォトスポット

今年の現地時間9月5日、ヴェネチア国際映画祭で初上映された際には8分間ものスタンディング・オベーションで迎えられ、音楽ファンだけでなく映画ファンからも高い評価を獲得。9月11日からの日本公開を前に、このニュースは瞬く間に伝わり期待は大いに高まった。そんななか、実施されたのが9月10日に109シネマズプレミアム新宿での「応援上映」。声出し・手拍子OKという自由度の高さに加え、公開日前日にいち早く作品を観られることから、チケットは発売から間髪おかずにソールドアウト。本気のファンが集った、この特別上映の模様をリポートする。

応援上映に熱狂的ファンたちが殺到!オアシスの過去から現在までに浸る

開場時間、ラウンジは、すでに多くのファンが集っていた。昨年の来日公演時に買ったとおぼしきTシャツを着たファンが多く見られたし、バケットハット、ギャラガー兄弟愛用のadidasのジャージを身に着けたファンも多い。ラウンジ脇には名盤『モーニング・グローリー』のフォトスポットが設置されており、記念撮影に興じる方が列をなしていた。また入場口脇のショップにはオアシスのレコードやTシャツも多数置かれており、これらを眺めているだけでも気分がアガってくる。

【写真を見る】109シネマズプレミアム新宿で展開中!「モーニング・グローリー」の世界に入り込める大型フォトスポット
【写真を見る】109シネマズプレミアム新宿で展開中!「モーニング・グローリー」の世界に入り込める大型フォトスポット

映画の本編が始まる前に、まずはウォームアップとばかりに「ワンダーウォール」「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」のミュージックビデオが上映された。どちらもオアシスを代表する名曲で、客席からは早くもシンガアロングの声がチラホラと聞こえてくる。首や体を揺らしながらビートに身をゆだねる方の姿も。

いよいよ本編がスタート。1994年のデビューから2009年の突然の解散までがフッテージと共にダイジェスト的に語られ、その時代、時代のインタビューからはバンド内の不協和音が高まっているのが伝わってくる。プロ意識の強いノエルと、我が強く気まぐれなロックスターであるリアムの兄弟ゲンカはデビュー時から何度となく英国の音楽誌を通じて伝えられており、当時のファンは“またか…”程度の感覚で受け止めていた。しかし、2009年のそれは衝撃的だった。パリでのステージの直前、突然中止が発表されたばかりか、ノエルはオアシスからの脱退を宣言。フッテージの締めくくりでは、こう語られる――“これ以降、兄弟は15年、口をきかなかった”。

リアムとノエルは、いまなにを語るのか… Courtesy of Oasis: Don't Look Back in Anger
リアムとノエルは、いまなにを語るのか… Courtesy of Oasis: Don't Look Back in Anger

極上の音響環境でシングアロング!そして涙…場内を包む異様な熱気

インタビュー、ライブ、貴重なリハーサル風景まで観ることができる『オアシス:ドント・ルック・バック・イン・アンガー』 Courtesy of Oasis: Don't Look Back in Anger
インタビュー、ライブ、貴重なリハーサル風景まで観ることができる『オアシス:ドント・ルック・バック・イン・アンガー』 Courtesy of Oasis: Don't Look Back in Anger

応援上映とはいえ、ここまでは緊張が支配し、それはさらに続く。2025年5月、再結成ワールドツアーのための6週間におよぶリハーサルが開始された。リアムは2日目にバンドに合流。この日のリハからは「ハロー」と「スライド・アウェイ」の断片が披露されるが、兄弟の間にはまだどこかピリピリした空気が流れている。しかも「シャンペン・スーパーノヴァ」では演奏が終わっていないにもかかわらず、リアムがバッグを手にスタジオを後にする姿も映し出される。後日のリハーサルの模様も映し出されるが、ノエルとリアムの和解を示すサインは見て取れない。“酒もクスリもやらない。今回は失敗しない”というリアムの意志的な発言に望みを託し、観客もかたずをのんで見守るしかない。

そして2025年7月4日、イギリス、カーディフでのツアー初日。「これまで放置してきた問題と向き合う機会だ」というノエルの発言、そしてステージへと向かうバンドがスタジアムのステージに上がると、現地のオーディエンスと同様に、館内に拍手と歓声が響いた。オープニングナンバー「ハロー」では体を揺らしながら合唱する声が響く。世界中のオアシスのファンは、この時を長年待ち続けていた。109シネマズプレミアム新宿の音響は坂本龍一の監修によって設計されており、しかもここシアター3はDolby Atmosの立体サウンド仕様。極上の音響でオアシスの復活を追体験する喜びを、多くの観客が感じていたに違いない。

再結成に全世界のファンが湧き立った!
再結成に全世界のファンが湧き立った!

「(再結成に)あれほどの意味があったとは思わなかった」と、この時ノエルは語る。“あれほど”とは、とにかく多くのファンが待ち望んでおり、公演を心から喜んでいたこと。映画『オアシス:ドント・ルック・バック・イン・アンガー』は、ある意味ではまさにそこにスポットを当てた映画でもある。これ以降、オアシスの地元であるマンチェスター、アイルランド、ブラジル、韓国、アルゼンチンなどの公演地を追い、映画は各地のファンの声を拾っていく。その多くは、解散後に彼らの曲を耳にしてファンになった若いオーディエンスだ。それぞれの人生の小さなひとコマにオアシスの歌が重なり、ドラマを織りなす。この辺から、場内にはすすり泣きのような音も聞こえ始める。

マンチェスターでの「サム・マイト・セイ」、アイルランドでの「ロール・ウィズ・イット」、韓国での「アクイース」とノリのいいナンバーが続き、場内の歌声も高まる。しかし、もっともシンガロングが起こると思われた後半の「リヴ・フォーエヴァー」や「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」、そして最後の「シャンペン・スーパーノヴァ」は、ちょっと事情が違った。というのも、これらが涙を誘うような配置をされていたから。ネタバレを避けるために詳細は省くが、観客の多くが目頭に手を当てている、そんな仕草が印象に残った。

会場に集結したオアシスのファンたちは、本作を観てなにを思ったのだろう? [c] 2025 Harriet T K Bols
会場に集結したオアシスのファンたちは、本作を観てなにを思ったのだろう? [c] 2025 Harriet T K Bols

ところで、あれほど緊張していたノエルとリアムの関係はどうなったのだろう?映画の最後には、笑い合いながら共にインタビューを受ける彼らの姿を見ることができる。その中身は観ていただくとして、劇中でノエルは「大事なのはWe(=俺たち)だ」と語る。これは“I(=俺)”ではないということ。さらにいえば、この”We”にはバンドのメンバーだけでなくファンも含まれる。「シャンペン・スーパーノヴァ」をプレイする前に、オーディエンスに向かってリアムが語った「バンドを復活させてくれて、ありがとう」というMCに対して劇場内で大きな拍手が起こったが、本作がオアシスとファンの共同体的な世界観に立脚していることを思えば、それも当然だろう。

「東京公演の映像がなかったのは残念」という声もあった一方、上映後の観客の表情は満足げ。カーディフやマンチェスターの公演にも足を運んだという30代の男性は「せっかくの応援上映なので全曲歌いました。『ドント・ルック・バック・イン・アンガー』は周りでも多くの人が歌っていたので盛り上がりました」と振り返る。

折しもオアシスは2027年のワールドツアーを発表。その日程に日本はいまのところ含まれていないが、キャリアを通じて12度も来日ツアーを行ってきた彼らのことだから、今後発表される可能性も決して低くない。奇跡と呼びたい瞬間を収めたこの映画を、じっくりと何度も味わって、今後への期待を高めてみてはどうだろう。

取材・文/相馬学

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