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「どの学校がいいか」より先に考えるべきこと。中学受験の専門家が語る、子どもの将来へのビジョン【監修者インタビュー】

  • 2026.9.15

【漫画】本編を読む

近年、首都圏を中心に中学受験熱は高まりを見せている。そんな中、中学受験は「頭のいい子が偏差値の高い学校へ行くためのもの」だけでなく、子どもたち一人ひとりが、それぞれの目的を達成するための選択肢にもなっている。「発達障害があるからこそ、中学受験をする」という選択をした4つの家庭の受験体験を描いたコミックエッセイが『発達障害っ子の中学受験』(モンズースー:著、小川大介・橋本圭司:監修/KADOKAWA)だ。作中では、異なる特性を持つ4人の子どもたちとその家族の体験を、「受験を決意した理由」「塾・学校選び」などテーマごとに紹介。医師と中学受験専門家、それぞれの視点から書かれたコラムも掲載され、「なんのために中学受験をするのか」という本質にも迫った一冊だ。本書を監修した教育家の小川大介先生にインタビュー。30年以上にわたって中学受験指導にあたってきた小川先生に、発達障害のある子どもの中学受験に加え、定型発達児の中学受験についても、広くお話を伺った。

※発達障害という言葉は近年、“神経発達症”という名称に変わっています。本記事ではわかりやすい表現として発達障害と表記しています。

――まず、中学受験は志望校選びから考えて、そのうえで塾を選んだ方がいいのでしょうか? 時系列的に塾から先に検討してしまいそうです。

小川大介先生(以下、小川):まず、本書の監修時には触れていませんが、今、日本の大学の入試のあり方は大幅に変わろうとしているんですね。具体的に言うと、特に旧帝国大学や日本をリードしている大学たちは、日本の国力を上げるために、本当に学問に向き合って研究を進めていける学生に入学してもらおうとしている。主体的に、研究意欲を持ってその大学の研究分野に参加してくる学生を求め、国立大学協会では2040年までに外国人留学生の比率を全体で3割以上に高める将来像を公表しています。そうした学生を、高校から小手先でやるような受験対策で育てられるわけがないんです。今、中学受験を考えている世代の子を持つ親御さんは、ここをちゃんと意識した方がいい、となると「どの学校がいいか」という話から始めてしまうと本質を見誤ります。「うちの子はここからの10年でどういうふうに成長していきそうかな」「どういう部分に自信を持たせてあげながら応援していくと、この子は楽しい人生を歩めるんだろう」という将来についてのビジョンから持つべきなんです。

――なるほど、まず子どもの将来全体から考える必要があるわけですね。

小川:そこから逆算して、どんな中学・高校時代が理想かというと、「うちの子はこういう環境だったら自分らしくいられそう」という場所です。そこが見えてくれば学校のホームページを見ていても、「ここは違う気がする」と勘が働くようになってくるわけです。学校選びと子どもを理解することは表裏一体。そして最終的な学校選びはネットで見てもわからない、肌感覚の話になってきます。

「目標の学校のレベルを決めたらその合格に必要な得点がどのくらいかわかって、目の前の勉強の意味がわかるからやる気が出る」という偏差値に縛られた学校選びは、平成の受験観・教育観が反映されたやや古い考え方です。いち早く目先の表面的な偏差値競争から抜け出して、どっしりと軸を持っていただきたいです。その意味で言うと、本書に登場する親御さんはまさに絶対的な“我が子”という軸に対する理解を持って中学受験に挑んでいる。すごく中学受験の王道の話が描かれているとも言えると感じました。

――その軸を持ったうえで、子どもに合った学校選び、塾選びが非常に大事になってくるかと思います。まずはどのように情報を集めていくのがいいのでしょうか?

小川:情報を集める前に「何のための情報か」というのを見定めておくのが大切ですね。まず中学受験というのは、子どもの願望の実現よりも、圧倒的に親の都合である場合が多い。親の「こういう学校に進ませてあげたい」があって、そういう学校の合格実績や受験情報を持っている塾を選ぶ。これが外側の情報収集です。一方で「うちの子どもがその塾の環境において学習しやすそうか」などは、我が子を知っている親でないと判断できないので、子どもに関する情報も必要です。先ほどの話とも共通しますが、もちろん本質的なのはこちらで、外側の情報ばかりを重視してしまうと失敗しやすい。子ども自身の特性、僕は“才能タイプ”と呼んでいるんですが、これと向き合うことが最優先事項になるべきです。

これは本書を僕が監修する中でも一貫して盛り込んでいる視点で、「受験は情報戦」と言われる方もいますが、そういった言葉に騙されてはいけない。むしろ今の時代、外側の情報は生成AIに聞いても教えてくれます。「我が子そのものについての理解」という絶対にずらしてはいけない軸があって、初めて情報が使えるわけです。とにかく情報をかき集めることが情報集めだと思ってしまうと、情報の中で溺れてしまいますから。そこが情報集めにおいてすごくわかっておいてほしいことですね。

取材・文=原智香

小川大介

教育家・才能タイプ子育て研究所 所長。京都大学法学部卒業。30年以上にわたる中学受験指導と8000回を超える親子面談を通して、子どもの学び方と行動の傾向を90タイプで捉える独自の「才能タイプ理論」を確立。一人ひとりに合った子育て・学力育てを実現する「才能タイプ子育て」を提唱している。成績向上だけでなく、子どもの自信、主体性、学習意欲、親子関係の改善までを支援。自らも一人の親として実践し、息子は灘・開成・筑駒に合格後、京都大学医学部に在学。著書・監修書28冊、メディア出演700回超。

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