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「これはロシアの話ではない」。『プーチンの愛国教室』に17名の言葉

  • 2026.9.15

ロシアの小学校で進む愛国教育を、現役の教員が内側から撮り続けた。本年度のアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞に輝いた『プーチンの愛国教室』の日本公開を前に、各界17名の推薦コメントと、作品の入り口になる紹介漫画が届いた。(フロントロウ編集部)

「大人たちよ、わきまえるな」

ロシアの教育現場に何が起きているのかを問うドキュメンタリーとしてフロントロウでも紹介した『プーチンの愛国教室』が、10月3日にシアター・イメージフォーラムほかで公開される。それに合わせて解禁されたのが、映画監督、俳優、漫画家、翻訳者、ラッパーまで、分野の異なる17名から寄せられたコメントだ。

並んだ言葉には、共通する手ざわりがある。これはよその国の話ではない、という感覚だ。

映画監督の森達也は「観ながら震撼する。国旗を掲揚して愛国心の高揚。『外国の代理人』とは『外国のスパイ』のこと。これはロシアの話ではない。今の日本の話でもある」と書いた。翻訳者・コラムニストのキニマンス塚本ニキは「大人たちよ、わきまえるな。空気に流されるな。沈黙と無力感と服従が子どもたちを戦地に送り出すさまを目に焼き付けろ」と綴っている。

俳優で一般社団法人Get in touch代表の東ちづるは「学校で銃を構える仕草をする少年のあどけなさに涙。まるで他人事とは思えない・・・我が国とも重なりそうで、胸が締め付けられた」。映画『教育と愛国』の監督である斉加尚代は「教師が息苦しさを感じる日本でこそ必見です」と寄せた。

ドキュメンタリー映画監督の坂上香の表現は、より直截だ。「表情がこわばり、魂が抜き取られていく子どもたち。怖っ、ホラーかよ。いやいや、これ、この国の鏡だから」。

ブロードキャスターのピーター・バラカンは「母と同様に国を無条件で愛することを強制? そんなプーチン政権の恐ろしさを小学校の現場で淡々と撮影した強烈な記録です」と評した。ほかに、漫画家の武田一義、スポーツ研究者の平尾剛、デザイナー・アクティビストのeri、映画作家の想田和弘、ドキュメンタリー監督の大島新と五百旗頭幸男、ゲンロン代表でロシア文学者の上田洋子、作家・エッセイストのマライ・メントライン、ラッパーのダースレイダー、ライター・編集者の月永理絵、ライターのISOがコメントを寄せている。

漫画で読む、ある教員が声をあげるまで

同時に、作品の内容を追える紹介漫画も解禁された。手がけたのは、イラストレーター・ビジュアルストーリーテラーのウラケン・ボルボックス。広告や書籍で映画・歴史・外来種問題などをわかりやすく伝えるイラストを手がけ、noteで政治や表現について発信するほか、社会に対して声をあげるムーブメントで使えるプラカードやアイテムの制作も行っている人物だ。

漫画は、ウクライナ侵攻以降にロシアの学校現場で進んだ愛国教育の実態と、その影響を追う。そして主人公である教員パーシャ(パヴェル・タランキン)が、「プロパガンダの片棒担ぎはごめんだ。声をあげなきゃいけない」と覚悟を固めるところまでを描き出す。この漫画は、近日より一部の上映劇場に置かれるコメントフライヤーでも読める。

『プーチンの愛国教室』の内容を紹介する漫画
漫画:ウラケン・ボルボックス

撮影担当の先生が、カメラを回し続けた

舞台は、ウラル山脈の麓にある小さな田舎町の学校、カラバシュ初等・中等学校。パヴェル・タランキンは母校であるこの学校で、イベントを企画し記録する撮影担当教員として働いていた。子どもたちからは“頼れるお兄さん”として慕われる人気者で、愛用のビデオカメラで彼らの成長を日々撮っていた。

その日常が、2022年2月のウクライナ侵攻で一変する。プーチン大統領の教育令により、学校は子どもたちに戦争参加を使命として教え込み、訓練する場へと変わっていった。手榴弾投げコンテストが催され、傭兵が教壇に立つ。逆らう者は“国家の敵”とみなされる。葛藤する教師たち、戦時教育に染まっていく子どもたち、次々と戦地へ送られる卒業生たち――その全てを、タランキンのカメラは記録し続けた。

映画『プーチンの愛国教室』の一場面
© 2025 made in copenhagen Aps, Pink Productions s.r.o.

タランキンはこの現状を世界に告発するため、アメリカ人ドキュメンタリー作家のデヴィッド・ボレンスタインと共同で、本作を極秘裏に制作した。原題は『Mr. Nobody Against Putin』。「名もなき男」対プーチンである。

映画の中でタランキンは、カメラの前でこう呟いている。「国を愛することは、国旗を掲げることでも国歌を歌うことでもない」。

『プーチンの愛国教室』は、10月3日よりシアター・イメージフォーラムほかにて全国順次公開。

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